JR西日本、大阪環状線の新型電車「323系」公開…「斜めの発想」とり入れ

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近畿車輛で報道公開されたJR西日本の323系。年内にも大阪環状線・JRゆめ咲線で営業運転が始まる。
近畿車輛で報道公開されたJR西日本の323系。年内にも大阪環状線・JRゆめ咲線で営業運転が始まる。 全 28 枚 拡大写真

JR西日本は6月24日、近畿車輛の本社工場(大阪府東大阪市)で、新型車両の323系電車を報道陣に公開した。早ければ年内にも大阪環状線・桜島線(JRゆめ咲線)で営業運転を開始。両線で運用されている車両のうち旧国鉄車の103系電車や201系電車を置き換えていく。

323系は、JR西日本が2013年12月から展開している「大阪環状線改造プロジェクト」の一環として開発された新型電車。大阪環状線・JRゆめ咲線用として新型車両が開発されたのは、これが初めてだ。

今回公開されたのは最初に完成した8両(8両編成1本)のうち4~8号車の5両で、各車両の番号は以下の通り。号車番号は大阪駅基準で福島方が1号車、天満方が8号車。1両あたりの定員は先頭車が139・140人、中間車が153人になる。

1号車=クモハ322-1
2号車=モハ323-2
3号車=モハ322-4
4号車(女性専用車)=モハ322-3
5号車=モハ323-501
6号車=モハ322-2
7号車=モハ322-1
8号車=クモハ323-1

全ての車両がモーター付きだが、JR西日本の新型電車では標準的となった「0.5M方式」を採用。1両につきモーター付き台車とモーター無し台車をそれぞれ1台ずつ設置し、実質的にはモーター付き4両とモーター無し4両に相当する。車体の形状は227系電車や225系電車の改良車とほぼ同じだが、基本的に複数の編成を連結した運用を行わないため、編成両端の先頭部には転落防止用ホロが設置されていない。

車体はステンレス構体で、大阪環状線の車両塗装として親しまれているオレンジ色のラインが入れられた。車両異常挙動検知システムやドア誤扱い防止システムなど、227系や225系改良車で採用された新技術も引き続き導入されている。

車内の座席はロングシートで、ドア間は10人がけ、車端部は3人がけ。一人あたりの座席幅は470mmになる。優先席は立上がりを補助するための肘掛けを設置。車椅子・ベビーカースペースは全ての車両に設けられた。車両の連結部にあるドアの取っ手は、225系の改良車でも採用されたアシストレバー付き。軽い力でドアを開け閉めできる。

客室内の照明は近年の新型車両と同じLEDを採用。LED照明からの直接光と天井面からの間接光で、客室を照らす構造にしている。車内案内表示器は日本語・英語・中国語(簡体字)・韓国語による多言語表示に対応。訪日外国人向けの無料公衆無線LANサービスも提供する。また、今回公開された編成では空気清浄機も試行的に設置された。

■防犯カメラも試行設置

これらの設備でとくにユニークなのは、袖仕切りが斜めに配置されたことだ。これによりドア付近から車内に向けてスペースが広がっていく一方、袖仕切りの座席側には三角形の小さなスペースが発生している。実際にロングシートの袖仕切り側に座ってみたところ、肩から腕までが三角形のスペースに入り込み、意外にゆったりと座ることができた。

また、大阪駅で天満方となる8号車は混雑しやすいことから、座席スペースを縮小(ドア間は8人がけ)し、ドア付近の立席スペースを拡大。袖仕切りのドア側には腰当てを設置した。このほか、今回公開された編成の8号車では車内防犯カメラも試行的に導入しており、天井の2カ所にカメラが設置された。JR西日本が在来線の車両に防犯カメラを設置するのは初めてだ。

終日女性専用車となる4号車は、他の車両との見分けが付くよう車体の内外でデザインを変えている。車体外板のドア両脇の色をピンク(他の車両はオレンジ)としたほか、車内案内表示器や荷物棚の下部にもピンク地に白文字で「女性専用車」の案内を入れている。車内のLED照明は他の車両が白色であるのに対し、4号車は電球色を採用した。

323系は今後、試験運転を経て年内にも営業運転が始まる見通し。JR西日本は本年度から2018年度にかけて168両(8両編成21本)を大阪環状線・JRゆめ咲線に順次導入し、両線で現在運用されている車両のうち旧国鉄車の103系と201系を置き換える。これによりドア数が1両につき片側3カ所に統一され、ホームドアの設置が容易になる。

《草町義和》

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