ゆっくり移動し、人や周囲との縁を結ぶモビリティ…ヤマハが2台のコンセプトモデルを発表

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伊東豊雄氏とヤマハ発動機デザイン本部の長屋明浩本部長、05GEN、06GEN。右端は06GENのシートファブリックを使ってカスタマイズされた電動車椅子『JWスウィング』
伊東豊雄氏とヤマハ発動機デザイン本部の長屋明浩本部長、05GEN、06GEN。右端は06GENのシートファブリックを使ってカスタマイズされた電動車椅子『JWスウィング』 全 26 枚 拡大写真
ヤマハ発動機はコンセプトモビリティ「GEN」シリーズの最新作『05GEN』、『06GEN』を瀬戸内海に浮かぶ大三島(愛媛県今治市)で発表。同時に島民たちを対象にした06GENの試乗会を開催した。

この2台の乗り物は、スピードや移動距離といった効率を追求した従来の乗り物とは一線を画し、限られたエリアや短距離をゆっくりと移動するためのもの。「人と人、人と場所の縁を結ぶモビリティ」として、地域やに溶け込み、他の住民たちとのコミュニケーションを深める機能が与えられている。

大三島で「ワールドプレミア」した理由は、ここで建築家の伊東豊雄氏が地域活性化や「島づくり」のための活動を続けているため。ヤマハ発動機がこれに賛同し、この島で活用できる乗り物として開発したというのが、2台の乗り物の誕生の経緯だ。05GENはおよそ1年でデザインがまとめられ、06GENはゴルフカーの技術をベースに、大三島への提案として作られた。

同島にある伊東豊雄建築ミュージアムでは7月2日、展示をリニューアルしてスタートした展覧会「日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト」の内覧会を開催。これに合わせて新モビリティの発表と06GENの試乗会もおこなわれた。試乗コースはミュージアム敷地内を周回する遊歩道。潮風を浴びつつ起伏に富んだ道のりをゆっくり進み、島民たちは従来のクルマとは明らかに異なる感覚を楽しんでいた。

伊東氏は、この島にはタクシーが2台しかなく、しかも深夜は営業していないことを紹介。「たとえば、しまなみ海道を通るバスで本州から来た人がバス停で降りる。そうすると、そこから先の移動手段がない」という。島内を走る路線バスはあるが、当然ながらすべての集落を網羅しているわけではなく、島内の目的地とバス停を繋ぐ移動手段が必要な場合もある。今回公開された2台のコンセプトモデルは、そうした問題を解決するための回答のひとつというわけだ。

05GEN、06GENのどちらも、密閉されるキャビンを持たないのが特徴。そしてどちらもスピードを出すことはできない。従来のクルマから見れば不便に感じるかもしれないが、車内外の境界をなくし、ゆっくり移動することに価値がある。旅先あるいは生活圏内で自然環境と一体化し、車外の人とコミュニケーションを楽しむためのデザインだ。

3輪電動アシスト自転車の05GENはホイールベースが極端に短く、乗車姿勢がかなりアップライトなレイアウトを持つ。これは路上専有面積を少なくすることで人が歩く中を移動する際に邪魔にならず、乗車中も目線の高さを歩行者と同じくらいに保つためのデザインだという。

スタイリングのイメージは「体を優しくくるむ衣」で、全長は雨傘の直径と同程度に収めることで、歩行者との共存を図っている。スピードを出さない前提だからこそ可能になった、既存の自転車にはないデザインだ。

いっぽう06GENは電動ゴルフカートのコンポーネントに、マリンボートのようなボディを持つ。モチーフは日本家屋の縁側で、屋内と屋外のどちらでもない曖昧さが魅力。乗車中でも車外の人と違和感なく会話できるというのは05GENと同じ。

ひらたく言えば、今回公開された2台の乗り物は「スローライフにおける移動手段」ということになるだろうが、それは既存の交通社会へ向けたアンチテーゼではない。「ゆっくり移動することで生まれる、乗り物の新しい価値」に目を向け、従来にはなかったモビリティの可能性を示すことにあるのだろう。

《古庄 速人》

【画像】ゆっくり移動し、人や周囲との縁を結ぶモビリティ…ヤマハが2台のコンセプトモデルを発表(26枚)

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