ピレリ『ドラゴンスポーツ』で上海のF1サーキットを走る

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上海サーキット 全 6 枚 拡大写真

中国製アジア市場向けスポーツタイヤ

ピレリといえば、F1にタイヤを供給しているメーカーとして知られている。多くのプレミアムカーやスポーツカーにOEMとして新車装着されている一流のブランドである。本社はイタリアだが、今では世界各国にタイヤ工場を持っている。需要がある場所で造ることが、生産効率が上げられるからだ。

そんなピレリの国際戦略の中で、アジア・パシフィック地域向けのハイパフォーマンスタイヤが今年の春から発売されたた。中国に増設した最新設備の工場で生産し、地元中国はもちろん、日本も含めたアジアのマーケットに向けたスポーツタイヤである。

その名もピレリ『ドラゴンスポーツ』とアジアっぽいネーミングだ。毎年F1グランプリが開催される上海サーキットで試乗してきたので、タイヤの解説とそのインプレッションをお伝えしよう。

3つの課題に対応

トレッドパターンを見ると、4本のストレートグルーブ(溝)をベースとした典型的なスポーツタイヤの顔である。太いストレートグルーブは雨の日のハイスポード走行でも水捌けをよくして、ハイドロプレーン現象を抑えてくれる効果がある。

コーナリングで大きな負担がかかるアウト側には大きなブロックを配する。これは接近したミディアムブロックとともにカーブでのしっかりしたグリップと限界付近の穏やかな挙動を保つために有効なデザインである。

センターには1周つながったリブがあり、直進時のハンドル手応えとレスポンスの良さ、さらに安定感を引き出す効果がありそうだ。ブレーキング時に負担がかかるセンター部と両ショルダー部は前後方向がつながったデザインになっていて、強いブレーキングパワーを発揮しやすくデザインされている。

車体の内側になるショルダーブロックとミディアムブロックは外側とは別のデザインにして、騒音や乗り心地の対策を施してある。

典型的なスポーツタイヤの顔であるが、細かく見るとグリップだけでなく乗り心地や音対策も兼ね備えたモダンなデザインであることがわかる。スポーティ、セーフティ、ファッションという大きな3つのテーマを満足させることで、顧客のニーズに応えている。

強いけど粘って穏やかで、さらに

ピレリが用意してくれたのは、たくさんの種類のクルマと、上海サーキットの本コースの中にパイロンを使って設定したジムカーナのような難しい試乗コースだ。当日はときどき雨模様になる天気で、タイヤテストにはむしろ最適だった。

一直線上に間隔をおいて並べられたパイロンを縫うように走るスラローム走行では、225/45R18 95Wサイズのドラゴンスポーツを履いた『マークX』で走った。ハンドルを切ったときのレスポンスが良く、トレッドパターンから想像した通りの力強いグリップが印象的だった。スラロームが終わってUターンするときにも、多少スピードが高めでもハンドルの切り足しに良く追従して曲がってくれた。グリップの限界付近や限界を超えて滑り出した状態でもキーというスキール音が目立たなくて良かった。

225/45R17 91Wというサイズを履いたコンパクトカーのフォード『フォーカス』では危険回避をするような急激なレーンチェンジが連続するコースが設定されていた。ここでは腰砕けにならないしっかりとしたグリップを感じることができ、緊急時でも運転操作ができる安心感がある。ドラゴンスポーツは粘るようなグリップなので、限界付近でも急に滑るなどの予想外の挙動変化がないのは、スポーツドライビング好きにはありがたい。

FFのVW『シロッコ』やアウディ『A3』でも試乗した。両者ともフロントヘビーを感じさせずハンドルを切ったとおりよく曲がるところが良かった。タイヤに荷重がかかった状態でのグリップ力が高いから、FFでもハンドルの動きに正確に追従してくれるからだ。攻めた走りでコーナリング中にアクセルオフでリヤが滑りだすような状況でも、その挙動変化は穏やかでコントロールしやすい。

またこのときには路面がウエットになって、テスト走行にはちょうど良かった。ウエットになっても粘るグリップは健在で、限界付近でも扱いやすかった。

さまざまなクルマでハードな走りを試すことができたが、強いけど粘るグリップで結果的に穏やかに走れることを確認した。

ここまでグリップが強くしっかりしていると乗り心地が心配になるが、コーナーにあるデコボコがある縁石に乗って試したところによると、トレッド面の柔軟性を感じるほどのソフトな印象だった。グリップと乗り心地を両立している。

この乗り心地とグリップとの両立は、スポーツドライビングを目指すドライバーには魅力的なはずだ。インチアップしてちょっと幅広タイヤを選んでもドラゴンスポーツなら安心して走れるからだ。

《協力:ピレリ》

《こもだきよし》

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