【日産 セレナ ハイウェイスター 試乗】乗り心地はズバリ、クラスベスト…青山尚暉

試乗記 国産車
日産 セレナ ハイウェイスター
日産 セレナ ハイウェイスター 全 14 枚 拡大写真

ファミリーミニバンとして絶大なる人気を誇る『セレナ』、その待望の新型「ハイウェイスター」に試乗した。

新型セレナの新しさのポイントをまとめると…

(1)日産初搭載の同一車線内半自動運転支援機能のプロパイロット
(2)2列目席の690mm超ロングスライド機構(標準は570mm)
(3)3列目席120mmスライド機構
(4)ハンズフリーオートスライドドア(ハイウェイスターのみの設定)
(5)2列目スライド機構のベアリング追加による操作性の向上
(6)メーターフードの水平基調化と-10mmの高さによるすっきり視界
(7)スライドドア部分のBピラーを50mm後方に移動したことによる乗降性向上
(8)3列目席のヒップポイントを2列目席より30mm高めたことになる視界向上
(9)デュアルバックドア/樹脂製ハーフバックドアの採用で車体後方にスペースがない場所でも荷物が出し入れできる利便性
(10)クラス唯一の電子式パーキングブレーキの採用(足踏み式ではなくなった)
(11)ガソリン車としてクラス最良の17.2km/リットルのモード燃費
(12)クラス最大長の3列目席シート座面
(13)2列目席左右スライドを右席に拡大するとともに左席のスライド量を拡大し、3列目席乗降性がより容易に

と、ファミリーミニバンに欠かせない実用性向上レベルはかなりのものと言っていい。

では、基本部分の多くを先代から引き継いだ新型セレナ・ハイウェイスターの走りっぷりもまた進化しているのか?と言えば、もちろんイ・エ・スである。

何しろ走りに効く前後サスペンション取り付け部とバックドア開口部の剛性を飛躍的に高め、ダンパーを大径化。特に専用サスペンションを備えるハイウェイスターは高性能バルブを採用し、乗り心地を重視した設定。パワステは先代より応答性を18%高めているという具合なのである。さらにスライドドア下にシール材を、リヤホイールハウス内に吸音ライナーを貼りつけ、後席、特に3列目席の静粛性を向上させているというのだから徹底している。

新型セレナの動力性能は基本的に先代同等。しかし出足が緩慢に感じられるのも事実。その理由は燃費最優先でスロットル制御をより燃費方向に振った仕様としているから。アクセルを思いっきり踏みつけるような全開シーンでは、盛大なエンジンノイズと加速力がリンクせず、これまたもっさり。思うように加速してくれない。先代ユーザーだとなおさらそう感じるかもしれない。

とはいえ、新型セレナの正しい走り方は、ゆっくり穏やかにアクセルを踏むこと。そうすれば、滑らかでスムーズな、過不足ない加速、走りを示してくれるのだ。もっともエンジン自体は気持ちよく回るタイプではないから、高回転はなるべく使わない方が幸せである。

乗り心地はズバリ、クラスベストだ。標準車もマイルドで快適だが、専用サスペンション仕様のハイウェイスターはとにかく足がスムーズによく動き、フラットかつ軽やかに走る。段差などを乗り越えた時の振動減衰性能も文句なく、振動、ショックを一発で吸収。ブルルンとした不快な振動、上下動が残りにくく、快適度はなかなかのものなのだ。これなら家族も愛犬もリラックスしてドライブを楽しめるに違いなし。

先代ユーザーの不満点のひとつだったカーブ、山道、高速レーンチェンジでの安定感も増した。ハイウェイスターは軽めのステアリングを切った時の応答性が高まり、運転のしやすさを先代以上に実感しやすく、また、走りの不安要素となる前輪の接地感は劇的に高まり、ロールもより自然で穏やかなものになっているから安心安全だ。言い方を変えれば、より誰もが運転が上手くなったと錯覚できるような運転感覚なのである。

そんな新型セレナの走りは、どこか突出した点こそないものの、逆に不満点もない実用最優先の完成度の高さが光る。つまりファミリーミニバンとして王道の仕上がりというわけだ。自動ブレーキはもちろん、前車追従型アダプティブクルーズコントロールなど先進安全装備の充実度にも注目である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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