「熱効率44%台を実証」燃焼技術プログラム…SIPシンポジウム

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SIPシンポジウム 2016
SIPシンポジウム 2016 全 6 枚 拡大写真

政府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のシンポジウムが10月4日、都内で開催され、世界を先導し、日本再生の鍵を握る11のプロジェクトの進捗状況や成果などが報告された。

このうち2020年までに熱効率50%を目標に掲げる『革新的燃焼技術』のプログラムダイレクター(PD)を務めるトヨタ自動車の杉山正則パワートレーン先行技術領域長は「熱効率の実証の状態はほぼ計画通り、現時点でガソリン、ディーゼルエンジンともに熱効率約44%の実証まで進んでいる」ことを明らかにした。

まずガソリンエンジンについては「熱効率44.1%までの実証ができ、2016年度の目標を達成した。このベースとなるのが超希薄燃焼で、点火を強力にして、さらに気流を強くすることで、点火の火花を長く流す。それにより超希薄燃焼でも安定した着火、燃焼ができ、44.1%を達成した」という。

一方、ディーゼルエンジンについては「現時点で44.3%まで確認ができ、16年度目標の44.5%まであと0.2ポイントとなっている。これを支える技術としては高速・低熱損失燃焼で、具体的には最初は燃料をたくさん噴射して、時間の経過とともに量を減らしていく噴射パターンにより高速燃焼をかなえる新しい噴射制御」と説明した。

また杉山氏は「我々は摩擦損失、冷却損失、その他損失を低減する研究も進めている。その一例としては、ピストンの表面にマイクロディンプル加工を施すとともに、二硫化モリブデンをコーティングすることで、摩擦係数が従来のピストンの50%以上低減。また実機でも他の低フリクションアイテムと合わせて熱効率相当で0.8ポイントの摩擦低減に成功している」ことも披露した。

さらに「16年度は技術コンセプトを構築すべく、各チームと連携をとりながら研究を進めている。さらに17年度以降は、技術アイディアをモデルでの実証、実験での実証につなげていく」との見通しも示していた。

《小松哲也》

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