流星群の観察の仕方を国立天文台が解説…12月13-14日はふたご座流星群

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ふたご座流星群が極大 2016年12月13日(火)22時ごろ 東京の星空 (c) 国立天文台 天文情報センター
ふたご座流星群が極大 2016年12月13日(火)22時ごろ 東京の星空 (c) 国立天文台 天文情報センター 全 3 枚 拡大写真

 12月13日・14日は、8月の「ペルセウス座流星群」、1月の「しぶんぎ座流星群」に並ぶ三大流星群のひとつである「ふたご座流星群」が観察の見頃を迎える。観察の好条件時間帯は12月13日夜10時以降から14日未明にかけてで、中でも12月14日0時すぎがピークとされているが、一体いくつの流星を、どの方角の空で眺められるのか。また、観察する際の注意やコツはあるだろうか。

 国立天文台天文情報センター普及室の石崎昌春氏に、国立天文台スタッフ直伝の「ふたご座流星群」観察のポイントや用意するもの、観察に適した場所を聞いた。2016年ならではの条件や見方もあるため、今年は条件が揃わず、まだ一度も流星を目にできていない場合はおさえておきたい内容だ。

 早速、「ふたご座流星群」の観察に挑戦してみよう。

ふたご座流星群とは?

 ふたご座流星群とは、毎年12月13日・14日ごろを中心に活発に活動する流星群のこと。毎年ほぼ確実にたくさんの流星が出現するといわれていることや、夜半前から未明までほぼ一晩中流星が出現することから、初めて流星を見る者にもお勧めの流星群だという。

 石崎氏によると、“宇宙から飛び込んできた物体が大気中で光る現象”を「流星」または「流れ星」と呼ぶ。そして、「流星には、彗星を起源としたものや小惑星を起源としたもの」がある。彗星はたくさんの砂粒のようなものを軌道上にまき散らし、その砂粒が地球の大気に飛び込んでくると、砂粒が大気と勢いよくぶつかって光り、流星になる。

 「ひとつの彗星がまき散らした砂粒はすべて同じ軌道を持っているため、どれも同じ方向から地球の大気に飛び込んできます。これを地球上から見ると、流星は、放射点を中心に四方八方に広がるように現れることになります。これが『流星群』です。」(石崎氏)

観察のポイントは? 2016年は「月」の影響あり

 「ふたご座流星群」がよく見える場所は地域は、どのようなところなのだろうか。ネットでは、安全で周囲に配慮した場所であることを前提に、高速道路のパーキングエリアや地方旅行途中の道の駅、自宅から足を伸ばした里山や開けた公園で夜空を見上げている者が多いようす。

--「ふたご座流星群」の観察によい場所は、どのようなところでしょうか。

石崎氏:観察場所に適しているのは、空が大きく見渡せる場所です。近くに人工の明かりなどがない、暗い場所がよいでしょう。

 普段の年なら「なるべくなら大きな都市から離れた空の暗い場所がよい」と言うのですが、今回は明るい月があるため、都市から離れてもあまり空が暗くなりません。そういう意味では、今年は普段の年ほど気にせず、都市の近くで観察してもよいのかもしれません。それでも、都心のように人工光の多いところは避けたほうがよいですが。

流星をたくさん見たい! 軌跡の長い流星が見たい!…方角や見方のお勧め

--流星群がたくさん出現する方角はどちらでしょうか。特にこの方角の空を見るとよい、というアドバイスはありますか。

石崎氏:流星は、「放射点」の方角だけに出現するわけではありません。放射点とは異なる方角にも“均等に”出現します。ですから、観察できる流星の数だけを考えるのであれば、放射点の方向を見ていても、そうでない方向を見ていても、平均すれば同じ数の流星を見ることになります。

 2016年のふたご座流星群の場合は、放射点の近くに明るい月がありますので、月が視野の中に入らないような方角を観察したほうが、月の明るさに妨げられずに流星を観察できます。

 それと、放射点に近い方向には軌跡が短い流星が多く出現します。放射点から90度離れた方向には、軌跡の長い流星が多く出現しますよ。

観察お役立ちグッズ

 昨今では、スマホに取り付けられる天体観測用のミニ望遠鏡やカメラアプリが人気だ。貴重な瞬間は記録にも残したいものだが、まず自分の目で観察するためにはどのような道具が必要だろうか。

--流星の観察に必要な道具ありますか。また、あると便利なグッズがあれば教え
てください。

石崎氏:流星そのものは肉眼で観察することをお勧めします。双眼鏡や望遠鏡を使うと視野が狭くなってしまうため、どこに出現するかわからない流星の観察には適しません。たとえば、スマホ望遠鏡のようなものですと、倍率が高い場合は視野が狭くなりすぎて流星の観察には適しません。このような望遠鏡は、月の観察・撮影などに適しています。

 また、流星は、結構暗く、そのうえ高速で移動するため、カメラが光を蓄積できないことから、写真にかなり写りづらい対象です。普通の星が写らないようなスマホでは、とても流星までは写りません。

--撮影はプロにおまかせするとして、まずは肉眼でその姿をとらえることから始めたいですね。観察には、そのほかにどのような道具があるとよいでしょうか。

石崎氏:そのものに必要な道具はありませんが、以下のようなものは用意するとよいかもしれません。

 ・グラウンドシート:
 長時間立ったまま上を見上げるはつらいため、シートを敷いて寝転がるとよいでしょう。

 ・防寒着:
 とても寒いので、防寒に注意するよう促すことが必要かもしれません。

 ・懐中電灯:
 暗いところで活動することになりますので。

 それから「星座早見盤」はふたご座流星群の放射点を探すのに役立ちます。星座を探して楽しむのもよいでしょう。放射点の位置がわかると、見つけた流星がふたご座流星群のものかそうでないかをおおよそ判断できます。

--同じ日時に流れた流星でも、ふたご座流星群のものと、そうでないものとあるのですね。見分け方はありますか。

石崎氏:その流星がふたご座流星群の流星かどうかを判断するには、もとの砂粒の軌道を決定しなければならない、ということになります(編集部注:「◆ふたご座流星群とは?」参照)。

 ふたご座流星群に属する流星の軌跡を反対向きにたどると、必ずふたご座流星群の放射点を通ります。逆に、ふたご座流星群が活動する時期であっても、流星の軌跡を反対向きにたどったとき、ふたご座流星群の放射点を通らない流星は、ふたご座流星群の流星ではありません。

初心者も玄人も必携、国立天文台の「星図」をゲットしよう

--流星の軌跡、これはネットでは「流れ星のしっぽ」と称されているものですね。そもそも、星座が多数輝く空が見えている場合、ふたご座自体がどこにあるのかを見つけるのは難しそうです。何か便利なグッズはありますか。

石崎氏:国立天文台がWebサイトで公開している「ほしぞら情報」の星図をお使いください。1か月後の星図は、2時間後の星図として使えますよ。それから、スマホなどで使える、星座を説明するアプリも同様に便利ですね。

--12月の星空と、1月の星空の星図を手元に用意すればよいのですね。国立天文台天文情報センター作成の「2016年12月中旬20時頃」の星図を見ると、たしかにふたご座が東の空にあることがわかります。今回の観察では、この星図を手に防寒対策をしっかりとして、必ずや流星を見つけてみせます。お話をありがとうございました。

 ふたご座流星群の見頃は12月14日の0時過ぎ。見える個数は1時間に10個程度の予想(ソースは上記星図 の下本文)。石崎氏のアドバイスや国立天文台Webサイト情報を参考に、子どもと一緒に開けた場所で観察に挑戦してみてはいかがだろうか。

※編集部注:初出展時に「ペルセウルザ流星群」との誤りがありました。正しく「ペルセウス座流星群」に修正のうえ、お詫び申し上げます。

12/13・14「ふたご座流星群」ピーク時間や方角は? 2016年の観察ポイントを国立天文台に直撃

《佐藤亜希》

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