【ホンダ フリード 燃費検証】270km走って見えた、パワートレインの洗練と驚きの達成率

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ホンダフリードハイブリッドで、東京・青山~千葉・館山間約270kmを走り燃費を検証した
ホンダフリードハイブリッドで、東京・青山~千葉・館山間約270kmを走り燃費を検証した 全 28 枚 拡大写真

2016年9月16日の発売以来、約1か月の累計受注台数が2万7000台と月間販売計画(6000台)の約4倍となり、好調なスタートダッシュを切ったホンダ『フリード』。

フリードとしては初のフルモデルチェンジとなるが、最新のハイブリッドシステムを搭載し、JC08モードで27.2km/リットルを達成するなど、5ナンバーサイズながらより広く、使いやすくなった室内スペースなど販売が好調な点もうなずける。

今回は東京のホンダ本社をスタートして高速、一般道、山道の行程をミックスさせながら、約270kmの行程を走行。実燃費を検証してみた。

◆あくまでもフツーの運転を心がける

燃費テストと言われると、特殊なテクニックを使ったり、妙に燃費向上を意識した走り方をするケースはあるが、それではあまり意味をなさないと筆者は考えている。ゆえにこの手の取材の時のテーマは「フツーの走り方に徹してナンボ」にしている(元々そんなテクニックも持っていないが)。

ルールとしては
1)交通法規は守る。しかし交通の流れを遮断しない
2)エアコンは常にON(自分の中で快適な温度である25度を中心に室温をその時に応じて上下させる)。実際、この日は気温も低かったのでエアコンの温度は必然的に28度まで上げることも少なくなかった。
3)急発進、急ブレーキはなるべく控える
4)乗員は取材の関係で1名、または2名

そしてこれが重要だが、昨今のホンダ車に装着されている「ECON(イーコン)」スイッチを基本オフにして走った点だ。

ECONスイッチをオンにするとスロットルが大きく開かないようにしたりエアコンのファンの作動電圧を下げるなどの制御を行うことで実用燃費を向上させることができるのだが、過去に乗った際にもこれをオンにするとここ一番での加速などに少しだけ「緩慢さ」が出てしまう部分は否定できない。

もちろん普段使いであれば、ONが望ましいのだが、今回あえてOFFにすることで、これ以上燃費は悪化することはほぼ無い。“あまのじゃく”と言われるかもれないが、言い換えればもっと向上する可能性もあるのでは…と考えてのことだ。

◆高速のドライバビリティや安定感もレベルアップ

今回テストしたグレードは発売1か月後のデータではあるが、ハイブリッド車の中でも最も受注台数が多い「HYBRID G Honda SENSING」。今回フリードにはハイブリッド車でも4WDが選択できる点が魅力のひとつだが、テスト車はFFの7人乗り。ホンダの本社がある青山一丁目で車両を借り出し、向かいのGSでレギュラーガソリンを給油。ここで満タンにしてトリップメーター等をリセットして出発した。

まずは高速シーンをメインに計測するためにすぐ近くの首都高速「外苑」から入り、目的地を館山自動車道の最終出口である「富浦」とした。

フリードも含めホンダ車には渋滞回避能力にも優れる「Hondaインターナビ&リンクアップフリー」が設定されているが、テスト車にもオプションで装着されているこのナビを使い目的地を設定。全体の流れはスムーズな部類ではあったが、的確な案内をしてくれた点も補足しておく。

高速道は前述したように交通法規を遵守して走行したが、まず走って一番感じたのが、高速時のスタビリティの向上だ。旧型もコンベンショナルなサスペンションセッティングでこれはこれでよかったのだが、新型はリアサスの動きが非常に掴みやすい。乗り心地はもちろん、レーンチェンジなどのボディの揺れからの収まりなどが非常にスムーズになっている。特に2&3列目に乗車した際にはこの進化は乗員にとっては不快な揺れが少なく好ましいと感じた。

高速道ではこのクラスのコンパクトミニバンとしては初搭載となるACC(アダプティブクルーズコントロール)を内蔵した「ホンダセンシング」を使用してみた。高速走行時の頻繁なアクセル操作などの付加を軽減してくれるのは家族で出かける際のドライバーにはありがたいものだ。

渋滞も比較的少なく、まずは最初のチェックポイントである海ほたるに到着、ここまでの燃費は24.6km/リットル。個人的にACCは「ここで普通ならアクセル弱めるのに…」と思う部分でもスロットルを開く傾向があるので、どの位の燃費が出せるか気にしていたのだが、十分と言える結果だった。

◆一般道の落ち込みが少ない点は魅力的

海ほたるを出発して東京湾アクアライン連絡道から木更津JCT経由で館山自動車道へ。この道路は普段あまり走らないこともあるのだが、結構アップダウンが多いことや制限速度が低かった。ここからは一切ACCを使わず“自分の足”で速度調整を行いながら次のチェックポイントである富浦出口へ向かった。

ここから一般道に降りて少しだけ走った場所で燃費をチェック。ここまでの燃費も24.6km/リットルと海ほたるまでと同じ数値だった。ただ平均車速自体は約10km/h上がっていたので、意識はせずとも下り坂ではアクセルを緩めて回生を行っていたことが燃費低下に繋がらなかったと考えている。

一般道は富浦ICから国道410号線を走り房総半島のほぼ最南端を経由しながら国道128号線に入り鴨川方面へ。このルートは信号こそ少なかったが、全体的な速度ペースは遅い。特に前方に大型トラックが常に走っていたこともあり燃費には決して良い環境とは言えなかった。

さらに今回最大の鬼門なのがJR安房鴨川駅前から千葉市中央区に向かう千葉県道24号線から鴨川有料道路へのルートである。ストップ&ゴーが多く、さらに「山越え」を行わなければならないため、ここでの燃費低下は覚悟していた。

実際、このシーンでの燃費は22km/リットル台まで低下。逆に言えば、山道でもアクセルを軽く踏み込むことでモーターアシストの他、DCTによる小気味良いシフトチェンジが行われるので走り自体はなかなか軽快だ。というか、路面の追従性も含め、ロードホールディング性はかなり向上しており、前述したリアサスが「いい仕事」をしていることを一番感じたのがこの走行シーンであった。

◆燃費達成率に注目

上り坂があれば必ず下り坂はある。この走行シーンで燃費を落としてしまったが、ここから高速道に乗るまでは下り坂も多く、燃費を取り戻すには十分である。

テスト車のインパネに搭載されているMID(マルチ・インフォメーション・ディスプレイ)にはタイヤの切れ角の他、エネルギーフロー画面も表示できるが、これを表示しながら残りのルートを走行してみた。実際、エンジンやモーターの動作状況、バッテリー残量がひと目で確認できるのは便利だし、これを見てアクセルをコントロールしたわけではないが、下り坂ではやはり積極的なエネルギー回生やいわゆる「EV走行」も頻繁に行われているので燃費はかなり回復、木更津東ICの入口までの燃費は24km/リットルまで回復していた。

燃費もさることながら、一番好印象だったのがエンジンとモーターの切り替えやミッションの制御に唐突感がない点だ。下り坂でも走行シーンやアクセルの踏み方でエンジンは当然始動することもあるのだが、その際のショックは少ないことは乗員にとってもありがたいはずだ。

高速に乗り、一路ホンダ本社へ向かったが、インターナビの渋滞回避を無視して“直感”で走った結果、大渋滞(約8km)にはまってしまうという失態を犯しながら、なんとか到着。最終的な燃費は268km走って10.55リットルの給油、最終燃費は25.40km/リットルとなった。

テスト車は7名乗車が可能だが、今回はマックスで3名乗車、全体の40%程度は1名乗車によるものだ。もちろん乗員が増えればここまでの燃費性能は出せないかもしれない。しかし実際3名乗車時でもMIDの平均燃費計の数値の落ち込みは少なかったし、フル乗車でも平坦な道であれば落ち込み自体は少なめだと思う。

この結果自体には十分満足しているが、テスト車のカタログ燃費26.6km/リットルに対して、95.4%という達成率の高さに注目だろう。冒頭に述べたが、筆者は燃費運転のスペシャリストでも何でもないし、今回ECONもオフで走行している。燃費自体は個人差が最も出やすい領域ではあるが、新型フリードの実力は旧型よりさらに洗練され向上したと言えるだろう。

《高山 正寛》

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