AMG最高経営責任者に聞く、世界初のAMG専売店はなぜ世田谷だったのか?

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メルセデスAMG 最高経営責任者トビアス・ムアース氏
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メルセデスAMGは、13日に、世界最初となるAMG専売拠点を世田谷区にオープンする。12日のオープニングセレモニーに駆け付けたメルセデスAMG 最高経営責任者トビアス・ムアース氏に日本市場について聞いた。

AMGパフォーマンスセンターと異なる専売拠点を作るにあたって、その最初の国としてなぜ日本が選ばれたのか。背景には日本での販売実績がある。2016年は前年比21%増の5608台を売り上げるなど3年連続で2桁成長を見せる日本市場の可能性を評価したものだ。ムアース氏は「AMGでは年に2回ほど販売店を集めた議論を行っている。その中で専売拠点を作るというアイデアがだされ、とくに、シュテルン世田谷の板東社長の強いリーダーシップを評価してこのエリアの可能性にかけることにした。」と説明する。

AMGのグローバルな市場規模は、北米が1位で次がドイツ。そのあとに日本、イギリス、オーストラリア、中国と続くが、日本は平均するとグローバルで4位前後の市場だといムアース氏はいう。ただし、先進国の自動車市場は成長市場ではない。その中で2桁成長を続ける日本をロールモデルとする考えだ。2017年中には、シドニー(オーストラリア)に2番目のAMG専売拠点を構える計画もある。

店舗のコンセプトも「レーストラックの臨場感を楽しめるよう、雰囲気やスピリットを残しながら、パフォーマンスカーのディーラーとして洗練されたデザインも心掛けた。建物の構造も通常の販売店とは異なる設計にこだわった。(ムアース氏)」という。輸入車の販売店ながら、サーキットのパドックを思わせる壁、柱の位置、内装は、確かにただの高級車ディーラーとは異なる雰囲気を醸し出している。よく見ると床もサーキットのタ―マックをイメージした素材で演出されている。

日本顧客と海外市場、とくに似たような成長を見せる新興国市場の顧客との違いはあるかという質問は、他国の顧客と比較することになり答えにくそうだったが、少なくとも日本のユーザーはロイヤリティが高い傾向がある(AMGのユーザーは概してロイヤリティが高い)という。

メルセデス・ベンツは自動運転やEV化の戦略でも独自のロードマップを敷き、開発を進めている。モータースポーツ事業から始まったAMGは、自動運転やEVなどの新しいテクノロジーをどのように考えているのだろうか。

「メルセデスではEクラスが自動運転のベンチマークとなっているが、AMGのE43は、そのEクラスと同等の機能を備えている。自動運転機能をOFFにすればいつでもサーキット走行を楽しめるし、渋滞になればメールをチェックすることもできるだろう。それが悪いこととは思わない。グループとして、特定の技術について『できない』『やらない』ということはなく、新しい技術を取り入れる方針は常に持っている。」

EV・電動化についても、2020年までのキーセグメントのひとつだという認識のもと、AMGではパワートレインの拡張、「ハイパーカー」のプロジェクトとして開発を進めるとの認識を示した。

メルセデスが好調な理由は? との質問には、「第一にプロダクツ(製品)が市場に受け入れられたこと。豊富な製品ポートフォリオも貢献したと思う」と答えたように、AMGはモータースポーツやハイパフォーマンスにブランド価値を求めながら、ADAS、EVと新しいテクノロジーにも向き合う戦略が時代にマッチしているのだろう。

《中尾真二》

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