1月18日から20日まで東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2017」。ここでクアルコムは、同社の非接触(ワイヤレス)給電技術「Qualcomm Halo」のデモを行うと共に、システムを採用するフォーミュラEのセーフティカーをイメージしたBMW『i8』を展示した。
非接触給電システムは、ワイヤレスで充電ができるシステムのこと。最近では携帯電話やビデオカメラなどにも採用されてその利用が広まりつつあるが、より高容量の電気自動車やプラグインハイブリッド車への展開はクリアすべき技術的課題があり、現在のところ一般が利用できる状況には至っていない。ただ、いずれはその実用化が進むのは確実視されており、そんな中でその開発に積極的なメーカーの一つがクアルコムだ。
同社が展示した非接触給電技術「Qualcomm Halo」は電磁誘導方式を用いたもので、磁気回路はDD型と呼ばれる八の字を描くような形状。「正円を描く丸形のサーキュラー型磁気回路に比べて八の字を描く磁気回路は小型化しやすく最大で45%まで小さくできる。これは重量増が課題である非接触給電システムにとって最大のメリット(説明員)」だという。
一方で、高容量の充電が必要な自動車での展開は高周波・高出力となるため、安全面での対策が欠かせない。人や金属物が接近した場合の安全を確保する必要があるのだ。デモでは送電コイルが人が接近や、金属との接触した場合を想定し、それを検知して送電を自動停止する様子が披露された。
コイルの周囲数十cmまで人が近づくとあらかじめ設置したレーダーがそれを検知。また、ループコイルには常に微弱な電力が流され、金属物がコイル上に乗った場合はそれを検知して送電を停止する仕組みだ。同社は「充電時にコネクターを接続する作業が不要となるメリットは大きいが、安全面での対策は必須。そのため、万一にもこの充電によって火災や事故が発生しないよう最大限の対応が仕組まれている」と話す。
なお、説明員によれば、ブース内に展示したi8はフォーミュラEのセーフティカーを模して準備した市販車両で、あくまでワイヤレス充電のデモをイメージしてもらいたくて用意したとのことだった。