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F-35Bの垂直着陸は自動で行う…フライトシミュレーターも公開

岩国基地へのF-35B配備記念式典にあわせ、製造メーカーのロッキード・マーティンは同機のフライトシミュレーターを公開した。 全 16 枚

ロッキード・マーティンは『F-35B』の岩国基地配備記念式典にあわせ、F-35シリーズのフライトシミュレーターを報道陣に公開した。固定型であり、油圧脚によるモーションを含むタイプではないが、同機による基本的な操縦を再現できるようになっているという。

このフライトシミュレーターは防衛装備品関係を展示するビジネスショーなどで防衛関係者向けにこれまで披露されてきたもの。パイロットの訓練に使用するほどの精度は持たないが、実際の戦闘機パイロットがコントロールした場合には「F-35シリーズによる操縦感覚を体験できる」程度の精度は有しているとされる。2012年に名古屋で開催された国際航空宇宙展の会場にもこれと同様のものが持ち込まれ、一般人の立ち入りが禁止された「秘密の小部屋」を用意して航空自衛隊関係者に公開していた。

F-35シリーズには空軍向けの「A型」、岩国にも配備されることとなった海兵隊向けの「B型」、海軍向けの「C型」の3種類があるものの、操縦席の構造や機器配置は3種類ともまったく変わらないという。B型はSTOVL(Short TakeOff and Vertical Landing)機で、垂直着陸の機能も有しているが、垂直離着陸機(STOL/VTOL)として有名な『AV-8 ハリアーII』にはスロットルレバーと並ぶように存在する推力ノズル偏向用のレバーも見当たらない。

では、どのようにしてパイロットは垂直着陸を行うのか。これについてロッキード・マーティンの説明員は「いくつかのスイッチを押しさえすれば、あとは自動で垂直着陸が行われる」と語り、今回はシミュレーターでその手順も体験することができた。

F-35シリーズは空軍向け「A型」、海兵隊向け「B型」、海軍向け「C型」の3タイプあるが、操縦席のデザインは3種とも一緒だという。

着陸する場所に接近したバイロットは脚部操作レバーの直上にあるスイッチを押すと、その直後からF-35Bの制御系は「STOVLモード」に移行し、操縦席背後のリフトファンが作動するとともにエンジンの排気ノズルも下向きに変化。宙に浮いたホバリング状態となる。通常時の操縦棹(サイドスティック)は「前に押すと下降、後方に引くと上昇」だが、これがSTOVLモード時になると「前に押すと前進、後方に引くと後進」に変わる。

パイロットは操縦棹を前に押して前進を続け、着陸ポイント真上に達したらスロットルレバーを手前に引いてエンジン出力を下げると、そこから先は自動制御に。機体の姿勢制御やエンジン出力のスロットル制御はコンピューターが行い、極端に言うと「操縦棹やスロットルレバーから手を離した状態でも着陸が完了する」ということになる。手動で操作することも可能だが「基本は自動モードで行う」とのこと。

操縦席のデザインは一緒なので、シミュレーターもソフトの切り替えだけで全タイプに適合する。この日は「B型」モードだった。

AV-8は垂直着陸の操作が自動化されておらず、パイロットは訓練によって経験を積み重ねていく必要があった。事故を完全に防ぐことはできず、垂直着陸の難易度も非常に高いものだったが、F-35Bではこれをコンピューター制御とすることで垂直着陸時の高い安定性と、確実性を得ている。

《text:石田真一》