ドローンを災害時に活用…移動する利点、俯瞰する利点

航空 テクノロジー
新宿周辺周辺地域における、ドローンを用いた情報収集および滞留者誘導実証実験(2月11日、新宿中央公園)
新宿周辺周辺地域における、ドローンを用いた情報収集および滞留者誘導実証実験(2月11日、新宿中央公園) 全 33 枚 拡大写真

2011年の東日本大震災で、東京地方でも鉄道など交通機関がマヒし、大量の帰宅困難者が発生した。新宿などのターミナル駅はどこへも行けない人でうずまった。災害時の情報収集および滞留者誘導を目的に、ドローンを活用する実験が、11日に新宿で行われた。

新宿駅周辺防災対策協議会のメンバー4事業者からなる「チーム・新宿」は11日、災害時の情報収集および滞留者誘導にドローンを活用するために、実効性と課題を確認する実証実験を、日本有数の超高層ビル街である新宿駅西口エリアにおいて実施した。

実証実験を実施したチーム・新宿は協議会会員のうち損害保険ジャパン日本興亜、SOMPOリスケアマネジメント、工学院大学、理経および新宿区の5事業者。

実験は新宿中央公園で行われ、上空からの画像の撮影、画像の関係各所への伝達、ドローンに搭載したスピーカーから地上への呼びかけなどが行われた。実験後、新宿区の総務部平井光雄危機管理担当部長は「実証実験は成功だったと思う。訓練としてはうまくいった」と感想を述べた。

新宿駅周辺防災対策協議会は、2002年に「新宿区帰宅困難者対策推進協議会」として設立された。新宿駅周辺地域を中心に官民が連携して、非常時の駅前の混乱防止対策に取り組んできた。2009年からは検討課題を新宿駅周辺の防災まちづくりへと拡大し「新宿駅周辺防災対策協議会」と改組した。

新宿区の平井部長
平井部長は協議会の活動について「ターミナル駅周辺の混乱防止訓練を全国初で実施、地域のルール『新宿ルール』を策定してきた」と説明する。しかし「東日本大震災では大量の帰宅困難者が発生してしまった。その時の課題として、関係各所間での情報伝達・共有、避難者の状況把握がある」と、今回の実験に至った経緯を語った。

損保ジャパン日本興和の高橋技術部長
損害保険ジャパン日本興亜の損害調査企画室技術部の高橋良仁部長は「市内の情報を得る手段として固定のカメラやマイクがある。これらと比べて、ドローンによる移動しながらの情報収集はより効果がある。上空から俯瞰すると、人が多いか少ないか、動いているのか止まっているのか、より正確にわかる」と、ドローン活用の利点をあげる。

またビル街でのドローン使用については「通信電波やGPS信号の障害、干渉が想豫されていた。“想豫”であって誰も実際のところは誰も知らなかったわけで、それが今回の実験でわかった。ドローンは安全に飛ばすことができ、通信も安定していた。不安は全く感じられず、優秀な仕組みができた」と喜ぶ。


損害保険ジャパン日本興亜は2015年から損害調査にドローンを活用しており、自治体への災害支援として、災害における安否不明者捜索にも協力する。2016年には国土交通省から、日本全国でのドローン飛行に関する包括許可承認を、保険業界で初めて取得した。

今回の実験で明らかになった課題もあり、高橋部長は「スピーカーからの音声は、ドローンの高度が高ければいいものでもないことがわかった。音質や話し方、環境の音にも影響される。次の実験では新しい通信網も試したい」と語った。

《高木啓》

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