【インタビュー】Vehicle APIなぜか日本車は無視をする標準化…慶大教授・W3C 中村修

”コネクティッドカー”飛躍の前夜のいま、日本の代表者としてW3Cに参加している慶応大学の中村修教授に、Vehicle API の意義や標準化活動について聞いた。

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【インタビュー】車両情報をオープン化するVehicle API
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これまで基本的にアクセスする手段がなかった車両情報を、Vehicle APIというインターフェイスを通じてオープン化する動きがある。Webの標準規格として「W3C」に対する標準化活動が進められているのだ。”コネクティッドカー”の実像が未だにはっきりしないなか、日本の代表者としてW3Cに参加している慶応大学の中村修教授に、Vehicle API の意義や標準化活動について聞いた。


■W3C/Vehicle APIについて

---:最初に、W3Cと中村先生の役割、Vehicle APIについて教えてください。

中村修氏(以下敬称略):日本からウェブ標準規格としてW3Cに提案するWeb全体の内容、仕様のとりまとめをしています。その中にVehicle API が含まれます。またそのほかHTML5や縦書き機能などについても提案しています。

---:Webの標準規格を提案する重要な役割ですね。Webに関する仕事には長く関わっているのでしょうか。

中村:大学を卒業して、まずリコーに就職したのですが、その後、東大の助手になって東大内のキャンパスネットワークを作りました。その時にネットワークやWebの世界に入りました。以後はずっとWebに関わってきていますね。

---:インターネットの黎明期から関わっているのですね。そしていま、W3Cで活躍されているということですね。

中村:そうですね。Webもそうですし、いまでもネットワークもやります。それから最近はセキュリティについても顔を出しています。


■標準化のメリットとは

---:クルマにアクセスするためのインターフェイス(Vehicle API)をWeb標準化する動きについて教えてください。

最近はテレビやクルマもインターネットにつながるようになってきて、標準化を考える必要が出てきました。たとえば映像は、以前は特定のプラグインが必要でしたが、いまはHTML5で規定されているので、特に意識せず再生できるようになりました。

クルマについても、自動運転の取り組みが進んでいくというタイミングで、いろんな情報を持つようになってきます。それをAPIで提供すれば、他のデータと組み合わせることで様々な意味が出てきます。例えば、ABSが動作している情報を地図上にマッピングしたら、そこが凍ってるんじゃないの、ということが分かる。ワイパーがONになっている地域があれば、そこは雨が降っている、などですね。

そう考えると、クルマの情報はすごくいろいろな意味を持っていますし、活用できればもっと世の中豊かになりますよね。そういった情報が、Vehicle APIで標準化されれば、きっといろんな人たちが意味付けをしてくれるんじゃないでしょうか。

今日のハッカソンもそうです。こういうデータがありますよと言っただけで、たった2日間でこれだけの提案が出てきました。世界中の人たちがいろんなサービスを作れば世の中変わるわけです。例えばスマートフォンの市場は、アップルやグーグルが世界観を変えました。自分たちだけでサービスを考えるんじゃなくて、みんなで考えて、いいサービスをどんどんつくって、新しいビジネスを作ってきました。標準化、オープン化にはそういう意義があります。

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実際の運転と同じように、ハンドルに見立てたスマートフォンを傾けると得点が上がる仕組み。
中村教授へのインタビューは、Webとクルマのハッカソンの直後に行われた。このハッカソンでは、Vehicle API を利用したWebアプリケーションの開発がテーマになっており、自由な発想で様々なサービスが提案された。たとえば特別賞を受賞した「今日から君がドライバー」というサービスは、実際にクルマで移動しながら、スマートフォンで運転をシミュレートできるアプリである。実際の運転を子供に任せることはできないが、このようなサービスをドライビングシミュレーターと考えれば、これ以上ないリアルなシミュレーションだ。
特別賞を受賞したサービス「今日から君がドライバー」開発チーム。
車両情報にアクセスできるようになれば、実用的なものからゲーム的なもの、あるいはビッグデータへの展開まで、車両情報というこれまでにないデータを利用したアプリが次々と生み出されることだろう。そしてそれらは、私たちのカーライフをいっそう楽しく、便利にしてくれるはずだ。
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■標準化活動の重要性

---:現時点では、自動車メーカーごとに閉じたプラットフォームですが、今後は車両へのアクセスも標準化・オープン化の流れになっていくのでしょうか。

《佐藤耕一》

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