東武500系リバティの終着駅、運河…地元は「聞いてないよ~」

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利根運河を渡る東武8000系
利根運河を渡る東武8000系 全 8 枚 拡大写真

千葉県流山市、チーバくんの黒い鼻の“付け根付近”にある東武野田線運河駅。4月21日のダイヤ改正から、この駅に東武特急500系リバティが到着する。大宮22時43分発、運河23時28着、アーバンパークライナー2号だ。

運河駅周辺は、川崎重工業製・KEN OKUYAMA DESIGN監修の特急が登場する衝撃をどう受け止めているか。

「えっ、初めて聞いた。こんな街に特急が走るの?」。運河駅前の不動産店の店員は、目を丸くした。「知らない。なーんにも聞いてない」。駅前で客を待つタクシー運転手は、「特急が走るの? ここに? そういえば、なんか見かけない新しい車両が走っていたのはそれか。で、いつから走るの?」と聞く。

今回のダイヤ改正で野田線へと向かう特急は、アーバンパークライナー3号が目玉。浅草を21時30分に発った6両の500系リバティは、春日部で分割し、前の3両が大宮へ、後ろの3両が野田市へ向かう。野田市には22時35分に着く。この“野田線2方向特急”とは別に、大宮発運河行きの特急が1本設定された。

東武鉄道は500系発表時に「たとえば平日の夜、野田線沿線に暮らす人が新宿や池袋、渋谷で過ごしたとき、JR線で大宮まで来てもらって、そこからアーバンパークライナー2号を使って帰ってもらえれば」と話していた。運河行きUPL2号、大宮・野田市行きUPL3号とも、平日のみの運行だ。

「まあ、運河駅を終着駅にすんのは、わかる。だって、南側にはつくばエクスプレスも常磐線も走ってるから、都心から帰ってくる人はみんなそっちを使って帰るでしょ。わざわざ(北側の)春日部を経由して戻ってくるっていう人は、ここ(運河)ぐらいが限度じゃない?」(タクシー運転手)

流山街道にはオレンジ色の「運河駅入り口 降車専用」と記されたバス停。東武バスイーストによる深夜急行バス(柏駅→川間駅)がとまる停留所で、月~金曜の毎日、柏駅西口を0時44分に出発し、流山おおたかの森駅東口(1時02分)、運河駅入口(1時19分)、七光台駅(1時47分)、川間駅南口(1時52分)と走る。

東武グループは平日深夜、野田線の流山・野田エリアへ、JR常磐線からはバスで、JR東北線からは新型特急でフォローする。

1911(明治44)年、千葉県営軽便鉄道の駅として開業した運河駅は、「もともと西口が正面だった」という。駅のすぐ西側には流山街道が線路と並んで走り、駅前には看板が傾いたスナックや居酒屋が並ぶ。不動産屋も多い。1966(昭和41)年に東京理科大学野田キャンパスが開校し、次第に東口がにぎわうようになった。別の不動産店の店員は、運河駅の利用者についてこう教えてくれた。

「大学や宗教法人の街といわれるけど、休みの日にのんびり過ごすエリアとして親しまれている。利根川と江戸川を結ぶ利根運河は、桜の名所で、春になるとここを目指してクルマや電車で訪れる人でにぎわう」

この駅に新型500系が入ってくるのを「いま初めて知った」というタクシー運転手は、「柏駅とか流山おおたかの森駅から、この運河駅まで深夜バスが走ってるんだけどさ、大宮まわりで特急がここまで入ってくれば、2方向から夜中に客が帰ってくるから、タクシーを利用する客も、増えるといいけどね」とも話していた。

運河駅周辺は、「聞いてないよ」という人たちばかりだったが、線路周辺は着々と準備がすすむ。運河駅の北には東武鉄道 運河変電所が2016年から稼働。浅草からきた“野田線2方向列車”が分割される春日部駅の4番ホームには、「伊」「野」と記された出発反応標識(東邦電気工業製)と移動禁止合図器が追加された。

《レスポンス編集部》

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