【マツダ ロードスター RF】上質な走りと静粛性、RFならではの価値はどう生まれたか?

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マツダ ロードスター RF
マツダ ロードスター RF 全 12 枚 拡大写真

マツダはここ数年、試乗会も含め広島より多くの技術メンバーを引き連れて、いわゆる「ワークショップ」を積極的に開催している。これは単に試乗するだけでなく、開発背景や技術について理解がより深まる。

横浜~静岡県今井浜間での試乗に加えて、今回は普段より少し短め(ゆえにミニ)ではあったが用意された“3つのお題”の中から2つを選び参加した。

RF開発にも引き継がれた「人間中心」の考え

編集部はその中からまず「深みのある上質な走り(パフォーマンスフィール)と静かなキャビン」についてのプレゼンテーションを受けることにした。

何よりもまず『ロードスター RF』にはソフトトップ車とは異なる2.0リットル直4DOHCエンジンが搭載されている。

これまでも「人間中心」をテーマにクルマ作りを進めてきたマツダだが、今回もその考えに基づきRFには多くの改良が加えられている。

高い節度感や軽快な操作感が味わえるシフトフィールや新世代商品群ではお馴染みとなったペダルレイアウトはもちろんだが、ヒール・アンド・トゥが行いやすいコントロール性と足の筋肉への負担を減らすためにアクセルのペダル面に肉盛りをするなど「意のままにコントロール」するための工夫が数多く採用されているわけだ。

今回のプレゼンテーションの中で「躍度(やくど)」という単語が何度か出てきた。簡単に言うと加速度(単位時間あたり)の変化率のことだが、この躍度の数値が急激に変化すると人は不快感を覚えたりする。

つまり、気持ちの良い走りのためには人の感覚に沿った躍度が必要ということになるが、すでにND型ロードスターではNC型(先代)に比べ、加速度の変化を感じる領域を拡大しているという。さらにRFの場合はソフトトップ車(1.5L)以上にアクセル踏み込み初期の反応の良さから高回転まで人が感じる加速度の変化を長く維持させるセッティングを施すことで、ドライバーの意に沿った応答性とエンジン回転を最後まで使いきりたくなる“伸び感”を実現している。

また走りのフィーリングに欠かせない「音」についてもサイレンサーやデフマウント、そしてカウンターウエイトにチューニングを施すことで鼓動感(低回転域)/鼓動感(中速域)/伸び感(高回転域)を実現した。

細部へのテコ入れで、静粛性を向上

一方、キャビンの静粛性に関しても前述したエンジンサウンドの演出を生かしつつ、メタルトップの採用による静粛性の向上と長距離移動時の疲労度軽減を目的とした技術が採用されている。

まずフロント側は気持ちの良いエンジンサウンドを感じてもらうためにインパネ内の吸音機能の強化やフロアマット裏面の遮音シートの延長などにより遮音性能を向上。これらにより1.5L車に比べ、エンジン高周波を2dBも低減した。

一方でリア側には従来までの吸音材よりも性能の高い吸遮音材を採用。この素材自体はダッシュインシュレーターにも採用しているものでNC型とは比較にならないほど広範囲に使用している。さらにリアタイヤ周りの遮音性も前述した部材のほか、専用の制振材などによりタイヤのパターンノイズを低減し快適性を向上させている。

この他にもルーフ内装材にも吸音機能を持たせるなどスポーツカーに求められる音(エンジンなど)をきちんと聞かせつつ、余計なノイズ類を除去することでクローズドボディのスポーツカーと遜色のない静粛性を実現しているという。

今回、ルーフを閉じた状態で感じたのが高速道路での会話における聞き取りやすさであった。これに関してもマツダの開発陣は「狙った通りでNC型のRHTに比べると100km/hの車内音の低減だけでなく、会話明瞭度は約8%向上しています」とのこと。

「人間中心」という根本的なクルマ作りはソフトトップ車と共通だが、RFはスポーツカーを操る愉しみと同時に快適性という価値を提供してくれる。「一粒で二度美味しい」ではないが、オープンとクローズ、2つの世界をソフトトップ車以上に愉しめるのがRFの魅力と感じた。

《高山 正寛》

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