【プジョー 208 GTi 試乗】ワインディングは独壇場、シートだけでも選ぶ価値アリ…内田俊一

試乗記 輸入車
プジョー 208GTi by PEUGEOT SPORT
プジョー 208GTi by PEUGEOT SPORT 全 33 枚 拡大写真

コンパクトモデルのプジョー『208』。そのハイパフォーマンスモデルが『208GTi』だ。そこに更にプジョースポールが鼻薬を効かせ、サーキット走行も視野に開発されたのが、今回試乗したプジョー『208GTi by PEUGEOT SPORT』である。

少し大きめのドアを開け、プジョースポール謹製のバケットシートに腰を下ろす。アルカンターラとレザーとファブリックのコンビネーションのうち、座面及び背面にアルカンターラが使われているので、体が滑らず、また、バケットのホールド具合もちょうどよいので、快適な印象を与えてくれる。

シートポジションやミラー類を合わせたのち、いまとなっては珍しくなった、キーをキーシリンダーに刺し、回転をさせてエンジンをかける。すると、なりに似合わず図太い音と共にエンジンは目覚めた。適度な重さのクラッチを踏み込み6速ギアボックスの1速にシフトしてゆっくりとクラッチをエンゲージすると、1200kgほどのボディは軽々と走り始めた。

街中を走り始めての印象は、やはり「足が硬い」ということだ。ミシュランパイロットスーパースポーツの205/40ZR18インチはクルマにとっては大径なので、それなりのショックは伝えて来るが、よく観察をしていると、40km/hを超えるあたりからしなやかさが徐々に出て来るもので、むやみに硬くはしていないことがわかる。また、シートもかなりショックを吸収しており、おなか一杯ご飯を食べた後でも、それほど苦痛なく乗ることが出来るだろう。

乗り心地はともかく、きびきび感は街中でも感じられる。コンパクトなボディサイズも相まって、最高出力208ps、最大トルク300Nmの1.6リットルターボエンジンを少し回せば、周囲のクルマたちを置いてきぼりにすることは簡単だ。

このクルマで一番“つまらない”のは高速道路だ。淡々とどこまでも続く高速道路は、シフトチェンジをするわけでもなく、加減速やハンドリングを楽しむでもない、本当に退屈な時間だった。ただ、唯一救われるのはシートが快適なことだ。前述の通りアルカンターラは体を滑らせず、バケットは適度に体をホールドしてくれるので、むやみに疲れることなく、目的地まで運んでくれる。

さて、ワインディングロードは208GTi by PEUGEOT SPORTのオンステージだ。タイトコーナーから中速、高速コーナーまでどこでも気持ちよく駆け抜けていく。特にPEUGEOT SPORTにはトルセンLSDを搭載していることから、中、高速コーナーではほとんどニュートラルステア、タイトコーナーでは軽いアンダーステアで思い通りのラインを狙うことが出来る。更に、ブレーキも302mmから323mmへと大口径化したフロントブレーキと、4ポッドブレンボキャリパーが装着されることから、安心してブレーキを思い切り踏むことが出来た。

このシーンでもシートは見事に役割をこなしてくれた。しっかりと体をホールドし、かつ、快適性も損なわない見事な仕事ぶりで、真剣にドライビングに集中することが可能だった。

プジョーのホットハッチ208GTiを更にPEUGEOT SPORTが手を入れた208GTi by PEUGEOT SPORT。その価格は368万6600円とベースとなるGTiの322万円より約46万円アップし、更に左ハンドルしかない制限はあるが、そのパフォーマンスや新たに追加されたスペックを考えると実はお買い得かもしれない。特にシートだけでもその価値は十分にあるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

内田俊一(うちだしゅんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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