【静岡ホビーショー2017】頑張りどころのホビー業界

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プレスデーならぬ業者日にはこんな彼女たちがお出迎えしてくれた
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昭和34年に始まって、今年で56回目を迎える伝統ある静岡ホビーショー。今年は合計80のブースが並び、14企業、1団体からの出展があった。

数年に一度、大きく賑わう年がある。正直なところ模型業界はこのところ緩やかな下降線をたどっているのではないか。そんな個人的な印象を持っている。

一昨年のショーは実は大いに盛り上がった。その原動力となったのがドローンであった。しかし、2年たって、今年のショーでドローンを見かけたかというと、それはほとんどない。いわゆるトイ・ドローンがいくつか展示されていただけで、ほとんどどこのブースに行ってもあった一昨年とは大違いである。ちなみに、現在のひそかな模型ブームはどうやら「お城」のようだ。

一口に模型と言ってもプラモデルやミニチュアディスプレイモデル、それにラジコンやスロットカー、鉄道模型等々様々。そして、どうも確実にそして徐々にシュリンクしていると感じるのが、ラジコンとミニカーの世界である。今年のホビーショーを取材しての雑感と、注目の商品についてお話ししよう。

まずはプラモデル。飛行機や戦車などのミリタリー物は相変わらず堅調なようで、今年もかなりの数の新製品が投入されていた。とはいえ時代の趨勢か、いわゆる完成品、それも塗装済みというやつも増えてきているのが昨今の特徴ではないだろうか。勿論、プラスチックの工作物は年々ディテールに凝るようになっていて、ほとんど見えない機内の様子まで再現したものなど、マニアにはたまらない商品も出てきた。飛行機で注目したのはエブロが参考出品した「ホンダジェット」。ミリタリーではないが、その出来といい素晴らしいものだった。

自動車関連は、年々高騰する値段と工作技術の要求度合いが高くなってか、新製品が少ない。その中で一番頑張っていると感じたのが青島文化教材社(アオシマ)。「430セドリック」や60周年の「スカイライン」を中心に、新しいものを出していた。それも誰もがイチオシするようなモデルではなくスタンダード仕様や、「GT-R」ではなく、ただの「GT」をモデル化するあたり、新たな路線のようにも感じられた。同じアオシマが代理店となるマカオのビーマックス社も、魅力的製品を参考出品していた。

長谷川模型は「BMW 2002tii」が大注目。 ハセガワはレベル社製の製品も扱っているが、高騰していた価格が今年は抑え気味でポルシェなどの新製品を出してきた印象を受けた。

もっとも大きなフロア面積を占めるタミヤは、バイクの「ホンダCFR1000Fアフリカツイン」が注目。その出来の良さと精巧さは他の追従を許さない。また会場内に実物のティレル「P34」F1マシンを持ち込み、ビッグスケールと1/20スケールの双方をリニュアルして出品していたが、実物に興味を示す人は少なかった。

ラジコンの凋落も少し気になるところ。レースをしようとすると、高いものだと数十万円という価格になってしまうところも気楽に遊ぶにはハードルが高い。

ミニカーの勢いも少し陰りがある気がする。全盛を誇った京商が代理店となるドイツのミニチャンプ。かつてはケースが3つあったはずだが、今年は1つに減らされていた。とあるメーカーに取材したところ、これも価格の上昇が購入意欲を削いでいるのではないかと話していた。

模型業界、今が頑張りどころ、という印象を強く持ってしまった。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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