【シトロエン グランドC4ピカソ ディーゼル 試乗】これぞファミリーカーの決定版…中村孝仁

試乗記 輸入車
シトロエン グランドC4ピカソ BlueHDi
シトロエン グランドC4ピカソ BlueHDi 全 21 枚 拡大写真

ファミリーカーという言葉は今や死語かもしれないが、2世帯の家族が乗ろうとすれば、そう呼ばれる類のクルマが必要になる。

『グランドC4ピカソ』は3列7人乗りで4枚のヒンジドアを持つミニバンである。否、彼らはミニバンという言葉を使われることには抵抗があるだろうから、敢えて「ピープルムーバー」と呼ぶが、日本でカテゴライズする場合、このクルマはミニバンに属するはずだ。

そのグランドC4ピカソに待望のディーゼルエンジン「BlueHDi」を搭載したモデルが誕生した。それも2リットルエンジンを搭載した。ただしチューンはプジョー『308』に搭載されるものとは異なり、若干大人しめの150ps、370Nmという性能を持つ。エンジンだけでなく外観も以前に乗ったモデルと少し変わり、フロントエンドはアンダーグリルのデザインが変更されていた。

インテリアは基本的に変わっていない。例によってコラムから生えるか細いレバーで走行レンジをチョイスするあれは、かつてのシトロエンDSのよう。どうせならレバーを反対に倒してエンジンがかかるようにすればいいのにと、勝手なことを言いたくなる突っ込みどころだ。

3サイズは全長4605×全幅1825×全高1670mm。日本を代表するミニバン、トヨタ『ノア』と比較すると、全長で短く、幅で広く、高さで低いことがわかる。それはともかくとして、室内空間のボリュームで言ったら、圧倒的にノアの勝ち。とことん広さ優先の作りとデザインをしているのが日本のミニバンであって、こちらはあくまでピープルムーバーなのだから、室内で子供の着換えのことや、ベビーカーを畳まずに仕舞うなどということは考えていない。根本的にコンセプトの差があるので、この両車を比較する方が間違っている。

ただ、室内は狭くても、デザインとスタイリングは正直言ってそれも比べる方がおかしいほどグランドC4ピカソの勝ち。だから、ここは互角と考えよう。

肝心のディーゼルだが、やはり308のそれと比較してしまうとパンチ力に欠けるが、クルマの性格を考えればこれで十分である。とにかく乗っていて非常に気持ちが良くて運転が楽だ。それを実現しているのは、シートの快適さ、目線の高さ、それにトルクフルなエンジンである。シトロエンではアクティブクルーズコントロールと称するいわゆるACCが装備されている。これは全車に標準。ちゃんと停止まで追従する全車速対応であるのだが、何と…一度止まってしまうとキャンセルされてしまう。確かにゼロまでは追従するが、再発進が出来ないのだ。これじゃ意味なし。至急に改善することを望むばかりである。

静粛性に関してはとりあえず及第点。しかし、このところ急速に車内音が静粛になりつつあるヨーロッパディーゼルの中では平均的レベルで、決して飛び抜けて静かとは言えない。

ガソリン車との価格差を考慮すると、あまり距離を乗らないユーザーにとってはガソリンをチョイスする方が、トータルコスト的には良いのかもしれないが、ファミリーカーという前提を付けるとこのトルクフルなディーゼルは捨て難い。我が家も2家族で出かける可能性が高くなった今、にわかに3列シート車購入が現実味を帯びているが、グランドC4ピカソはその有力候補である。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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