【ボッシュ モビリティ エクスペリエンス】レベル3の自動運転テスト車に試乗…「レーダーロードシグニチャー」搭載

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ボッシュ モビリティ エクスペリエンス 全 30 枚 拡大写真

ボッシュは、ドイツで開催された「モビリティ エクスペリエンス 2017」において、レベル3の自動運転技術を搭載したテスラ『モデルS』や、オートパーキング機能のデモを行った。

最新の自動運転技術を搭載したモデルSには、「レーダーロードシグニチャー」を用い蘭トムトム社と協力して開発した自動運転用マップ技術や、ドライバーのモニタリングシステム、6つのレーダーセンサーとライダーセンサー、ステレオカメラなどを搭載。「レーダーロードシグニチャー」は、数十億個の反射点で構成されており、レーダー信号を反射させ道路標識やガードレールなどを認識する。説明員によれば、「GPSによる位置情報では2~10mの誤差が生じるが、このレーダー信号による地図を使用すれば、数cmの正確さで車両の位置を決定することが可能」だという。また、メーター上部に設置されたカメラで常にドライバーをモニタリングしており、ディスプレイを注視した場合などには、音とアナウンスで警告が発せられる。

オートパーキング機能のデモでは、ドライバーが行った駐車方法を車両が記憶、その後ステレオカメラと超音波センサーを使用して再現する。ディスプレイのボタンを指で押している間のみ車両が動き、離すと停止する仕組みだ。まだ開発中の機能で市販車には搭載されていないが、例えば家族で利用する際は、父親が一度駐車を記憶させ母親や子供が指一本で楽に駐車を行う、ということも可能になる。

完全自動運転の実現に向けて開発が進められるドライバーアシスタントシステム。自動ブレーキ、衝突回避システム、レーンアシストなど様々な機能が近年市場に浸透してきている。自動ブレーキ機能は、オランダで32%、ドイツでも25%の車両に搭載されており(2015年時点)、ESPやACCの普及から今日までEU圏での事故死傷者数は着実に減少している。世界各国のNCAP(自動車安全テスト)でも、評価基準となる機能は増えており、ユーロNCAPでは2018年に対自転車ブレーキシステムも追加される予定だ。「緊急自動ブレーキは路肩に人がいるのを認識してから、その人が道路に出てくるかを判断し、衝突しそうであればフルブレーキングする。その一連の流れを190ミリ秒の速さで行う。人間よりも速く反応するため、安全性を担保できる」(説明員)。

左折(日本における右折)アシストシステムにおいては、レーダーベースシステムが対向車を非常に正確に認識し、どれくらいの速度で近づいてくるかを計測。左折するだけの猶予があるかを判断し、なければ警告と共に発進できぬようブレーキをかける。システムは、対向車がそのまま直進すると想定した場合も左折可能かを1秒間あたり何度か計算するため、もし対向車が突然停まった場合にも状況を判断しアシストを行う。レーダーシステムにのっとっているため、光や天候の影響を受ける心配もない。

また、市街地での自動走行にむけてより重要になってくるのが、ローカライゼーションだ。360度周囲状況を把握する必要がある。ボッシュではテスト車両に長距離レーダーセンサー(約250mを検知)、中距離レーダーセンサー(約80m)、ライダーレーダー(約200~250m)、ステレオカメラ、超音波センサーなどを搭載、開発を行っている。それぞれの機能には長所と短所があるため、組み合わせて使用することでそれをカバーする。ビデオは人の目と同じように物を認識できるが、暗い場所では機能しない。レーダーは天候や光(昼夜)に左右されないが、木材などの柔らかい素材の認識を苦手とし、フリースペースとしてしまう可能性がある。その部分は超音波センサーで補う。そこにライダーも組み合わせることでより対象を正確に認知できる。これらのコンポーネントはシステム一式でも単体でも提供可能とのことだ。

高解像度マップもローカライゼーションに欠かせないアイテムだ。正確な自車位置把握はもちろん、クラウドから受信したダイナミックデータを用い、工事現場や車線規制の有無、速度制限、危険ゾーンの認識などをリアルタイムで行うことを目指す。マップの更新も、ボッシュのIoTクラウドを通じてマッププロバイダの情報と比較できるようにする。説明員は「高解像度マップは現在開発段階だが、近い将来市場に出るのではないか。2020年まではかからないだろう。自動運転でなくても、データポイントは必要。OEMからの需要もあるので、精度を上げていく必要がある」としている。

協力:ボッシュ


《吉田 瑶子》

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