【SUPER GT 第5戦】鈴木亜久里が率いるARTA、両クラスのポールポジションを独占…GT500はNSX野尻&小林が2戦連続

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両クラスでポール奪取のARTA陣営。後列左から野尻、鈴木亜久里監督、チーム首脳の土屋圭市氏、小林。前列左からウォーキンショー、高木。
両クラスでポール奪取のARTA陣営。後列左から野尻、鈴木亜久里監督、チーム首脳の土屋圭市氏、小林。前列左からウォーキンショー、高木。 全 16 枚 拡大写真

SUPER GT第5戦の公式予選が5日、静岡県の富士スピードウェイにて行なわれ、鈴木亜久里が率いるARTAがGT500、GT300の両クラスでポールポジションを獲得した。GT500はARTA NSX-GTの野尻智紀&小林崇志が2戦連続での獲得となっている。

この日の富士の空は概ね「曇り」で推移し、8月にしては気温も路温も低めだった(予選開始時で気温27度、路温33度)。昼のピットウォーク直前には、エアレースパイロットの室屋義秀選手によるフライトパフォーマンスも実施されるなどして座が盛り上がったのち、午後2時35分からクラス別2段階ノックアウト方式の予選が始まった。

GT500クラス(参加15台)はブリヂストン(BS)タイヤ装着のレクサスLC500勢が開幕4連勝、シリーズ上位を独占中、という流れでカレンダー上の後半戦緒戦を迎えている。ただ、SUPER GTにはドライバーズポイント連動のウエイトハンデ制度があり、第6戦まではポイント×2kgを背負うのが原則だ(GT500は50kg超の場合、一部を段階的に燃料リストリクター調整に振りかえ)。BS装着のレクサス勢はハンデが厳しい領域のものとなってきており、ホンダ、日産の逆襲も見込まれる今回の第5戦である。

Q1を突破したのはレクサスと日産が各3台、ホンダが2台。Q2では各社1台ずつのマシンがメーカーを代表するような格好でポールポジション争いを展開した。その顔ぶれは#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/タイヤはミシュラン=MI)、#36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&J.ロシター/BS)、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&小暮卓史/BS)である。

そして、ハンデ数値52kgとレクサス以外では今季初めて“燃リス調整域”に入ってきた#23 GT-Rのクインタレッリがポール争奪戦を制した、と思われたチェッカーフラッグ直後、コンマ1~2秒差で競っていた“暫定3強”を一気にコンマ3秒以上突き放す1分29秒104をマークし、鮮やかにポールをかっさらっていたのが#8 ARTA NSX-GT(タイヤはBS)の野尻智紀だった。

野尻は「朝の走り出しはクルマの状態が良くなくて、正直『今週は厳しいかな』と思っていました」と振り返る。だが、「予選までのインターバルで良くなりましたね。最後(Q2)は攻める走りができました。今日は満足です」と会心のポール奪取劇を喜んだ。

相棒・小林崇志のアシストも光った。「Q1でのクルマの感触は自分にとっては完璧じゃなかったんです」と小林。「ただ、これで野尻選手が乗ったらかなりいいだろう、という感覚がありました。だからあまりクルマをいじらずに(Q2へと野尻を)送り出したんです。素晴らしいタイムを出してくれましたね」。今季から組んでいるコンビだが、クルマを介しての意思疎通は既に相当なレベルで実現できているようだ。

#8 NSXにとっては2戦連続、今季3度目のポール獲得。今度こそ、これを決勝結果につなげてレクサスの連勝をストップしたいところである。

GT500クラスの予選2位は#23 GT-R。3位に#36 LC500、4位には#17 NSXが続いた。5位が#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹&J-P.デ.オリベイラ/ヨコハマ=YH)で、6位が#38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)。トップ6はNSX~GT-R~LC500~NSX~GT-R~LC500と規則的に並ぶ結果となっており、決勝の戦いが一層興味深いものとなっている。

GT300クラス(参加30台)はBMWが1-2、そしてメルセデスが3-4と、ドイツのGT3マシン勢が前2列を占めた。そしてそのなかで、GT500との“ダブルポール”を実現したのが、日本人として初めてF1の表彰台に上がった男・鈴木亜久里が率いるARTA=オートバックス・レーシング・チーム・アグリである。#55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一&S.ウォーキンショー/BS)がGT300のポールを今季初獲得。

Q2でポールを決めた大ベテランの高木は、「実はお昼のトークショーで亜久里さんがダブルポールを予言していました」と笑わせつつ、「去年から使用しているBMW M6 GT3にとっては富士がいちばん相性のいいコース。前戦SUGOでリタイアしてしまってウエイトハンデが増えなかったこともあるので、『勝つチャンスはここ』と思って富士に来ました」と、冷静な分析と熱い意気込みを語り、「朝のフリー走行からトップタイムを出せるクルマに仕上げてくれました」とチームの仕事を讃えた。

高木にとって明日は、勝てばGT300の個人通算最多勝記録に並ぶという戦いになる。そして昨年は現GT500の小林と組んでポール・トゥ・ウインした夏の富士“連覇”もかかる。

GT300クラスの予選2~6位は以下の通り。
2位 #7 Studie BMW M6(J.ミューラー&荒聖治/YH)
3位 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝&片岡龍也/YH)
4位 #65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹&蒲生尚弥/BS)
5位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/ダンロップ=DL)
6位 #31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀&久保凜太郎/BS)

天候は当初の予報よりも好転気味であり、明日(6日)の決勝もドライコンディションでの戦いになりそうな気配が強まってきた。ただ、富士の空模様に予断は許されず、どういう天候推移になるかも含めて、前戦SUGO同様に混戦となりそうな雰囲気もまたある。決勝300kmレース(66周)は午後3時25分にパレードラップ発進予定だ。

《遠藤俊幸》

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