【オートモビルカウンシル2017】近代アウディの歴史はクワトロ

自動車 ニューモデル モーターショー
アウディ スポーツクワトロS1(右)とスポーツクワトロ(左)
アウディ スポーツクワトロS1(右)とスポーツクワトロ(左) 全 21 枚 拡大写真

8月6日まで千葉県幕張メッセで開催されている、“オートモビルカウンシル2017”に、アウディジャパンは“クワトロ”をテーマに、ヒストリックモデル3台と、最新の『RS5』を展示している。

アウディのルーツは1899年にアウグスト・ホルヒが設立した高級車メーカーにさかのぼる。そして、1932年にホルヒ、アウディ、ヴァンダラー 、DKWという4つのメーカーが合併し、アウトウニオンという会社が設立。その時に、ブランドシンボルのフォーリングスも生まれた。

「現代のアウディの歴史は1980年に登場したアウディ『クワトロ(通称ビッグクワトロ)』から始まったといっても過言ではない」と話すのは、アウディジャパン代表取締役社長の斎藤徹氏だ。

「1976年から77年の冬にかけて北欧で走行試験を行っていたアウディの開発チームが同行させていたVW 『タイプ183“イルティス”』という軍用の四輪駆動車が雪道で発揮する走破性に着目。この機構を当時開発中だった高性能の新型乗用車に持ち込めないかと考え、そこから誕生したのが1980年のジュネーブショーでデビューしたアウディクワトロなのだ」とそのデビュー時のエピソードを披露。

このクルマは、第二世代のアウディ『80クーペ』をベースに開発され、『200』のパワフルな5気筒ターボエンジンを採用。「フェンダーも拡張するなどしてスポーツ性を強調した新しいクーペとして誕生した」という。

アウディクワトロのラリー仕様車は1981年から世界ラリー選手権、WRCに参戦。「初戦のモンテカルロラリーから圧倒的な速さを見せ、世界を驚嘆させた」と斎藤氏。1982年にマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、83年にはドライバーズタイトル、84年にはドライバーズとマニュファクチャラーズの両方のタイトルを獲得。85年までに合計23の勝利を掲げ、「名声を不動のものにした」と称賛。

そして、「現代の乗用車スポーツ四駆の歴史はアウディクワトロが切り開いた。アウディはその技術を全てのラインナップに展開し、今日まで絶え間なく進化させてきた。その結果、クワトロはアウディの代名詞になった」とした。

今回展示されている車両の1台はWRCグループBに1984年から投入された『スポーツクワトロS1』だ。この車両は、アウディ本社のヒストリックカー部門である、“アウディトラディション”からこのイベントのために特別に持ち込まれたもので、「伝説的なラリードライバー、ワルター・ロールがドライブした85年型モデル。476馬力以上を発生するモンスターマシンだ」と紹介。また、このラリーカーのホモロゲーションを取得するために、214台の市販バージョンが生産されたが、この市販バージョンの『スポーツクワトロ』も同時に展示されている。

WRCのグループB はあまりにも高性能になりすぎてしまったために86年を最後に中止。そこでアウディはこのスポーツクワトロを用い、アメリカのパイクスピークというヒルクライムに85年から87年まで参戦し、世界記録を樹立した。

また88年からはモータースポーツの場をサーキットへ移し、アメリカトランザムシリーズや IMSAシリーズに、200や『90』を投入して勝利を挙げている。更に1990年と91年のドイツツーリングカー選手権で 『V8』が優勝し、その後各国のツーリングカーレースに『A4』などで参戦した。

そして、1999年からはルマン24時間耐久レースを頂点とする世界耐久選手権に参戦し、「TFSIや TDI、エアロダイナミクス、軽量化技術、e-tron.、クワトロといったアウディの先進技術がレースの場で磨かれ、今日に至っている」と説明。

斎藤氏は、「オートモビルカウンシルのテーマ、 “クラシックミーツモダン”ということなので、37年前に登場した初代のアウディクワトロから連綿と継承されている、アウディのモータースポーツの技術を受け継ぐモデル、RS5をこの場で発表した」と述べた。

また、同社広報部部長の丸田靖生氏によると、「今回展示しているスポーツクワトロS1は実際に、世界各地のヒストリックカーレースでデモ走行を行っている車両。アウディトラディションは、必ず動くクルマを世界中で展示する方針を持っている」とし、「それ以外に各オーナーの好意でオリジナルのクワトロやスポーツクワトロを展示。これら3台が揃うということはなかなかないので、ゆっくりと見てもらいたい」とコメントした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 【スバル レガシィアウトバック 新型試乗】クロスオーバーSUVの先駆“車”は、大らかな乗り味が「選ぶ理由」…島崎七生人
  2. かつての『ハイラックスサーフ』、15年ぶりのモデルチェンジへ…トヨタが予告
  3. 今スズキの250ccスポーツが面白い!快適ツアラーな『GSX250R』に俊足エクスプレスの『ジクサーSF250 / 250』もPR
  4. 東京E-Prix 市街地コースは臨海都心に準備…フォーミュラE[写真32枚]
  5. 【スバル レヴォーグレイバック 新型試乗】「アウトバック」以来、30年にわたる挑戦の成果…諸星陽一
  6. シエンタにもマッチ、トーヨータイヤが「OPEN COUNTRY A/T III」のサイズラインアップを拡充
  7. ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
  8. 三菱『エクリプス クロスPHEV』は、新しい毎日に踏み出せる「今の時代、最強の1台」だPR
  9. ホンダ『フリード』次期型予想に注目! ボディ拡大? デザインは?…土曜ニュースランキング
  10. 日産『エルグランド』一部仕様変更、安全装備を強化
ランキングをもっと見る