【グッドイヤー アイスナビ7】冬商戦は「ベクター4シーズンズ」と2枚看板で

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グッドイヤー アイスナビ7
グッドイヤー アイスナビ7 全 8 枚 拡大写真

日本グッドイヤーは8月1日より、プレミアムスタッドレスタイヤ『アイスナビ7』を発売した。このスタッドレスと昨年発売したオールシーズンタイヤの『ベクター4シーズンズ』で、冬タイヤ商戦に立ち向かうという。

ベクター4シーズンズが拡販に貢献

日本グッドイヤー代表取締役社長の金原雄次郎氏によると、「本年上期の業績は順調に推移しており、国内タイヤメーカー全体の同期の販売本数(の平均)と比較をすると、それを若干上回るレベル」と述べる。この好調さは「昨年上梓したオールシーズンタイヤのベクター4シーズンズの拡販が大いに貢献している」とコメント。

更に、「このオールシーズンタイヤの普及に伴い、グッドイヤーブランドそのものに対するユーザーの関心が高まっている」としており、アイスナビ7はこのタイミングに「満を持して市場投入する」期待の新型スタッドレスタイヤとなる。

金原氏は、「奇しくも今年はアイスナビシリーズ投入20周年を迎える。この冬の商戦に向けて、ベクター4シーズンズとアイスナビ7の2枚看板で戦っていきたい」とコメントした。

氷上コーナリング性能と制動力が注目のアイスナビ7

日本の冬の路面コンディションは地域によって様々だ。最も路面温度が低く、凍結路面の頻度が多い北海道や東北、そして水分を含んだ日本海エリアなど路面コンディションは多岐にわたる。アイスナビ7は、「そのような厳しいコンディションであったとしても、日常使用における通勤から、スキー、スノーボードなどレジャー目的の使用に至るまで、雪上、氷上性能において最も優れたトラクション、ブレーキ性能を求めるユーザーがターゲットだ」とは、ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーアジアパシフィック地区消費財タイヤプロダクトディレクターのジェナー・パウエル氏の弁。

日本グッドイヤーが日本国内における乗用車スタッドレスタイヤに求める性能の優先順位を調査したところ、「氷上ブレーキ性能が最も高く、続いて氷上におけるハンドリング性能を含めたコーナリング性能だった」とパウエル氏。その結果をもとに、アイスナビ7は、「日本のあらゆる氷上、そして雪上性能に特化した開発に取り組んだ」という。

そして、「アイスナビ7は最新のトレッドデザインとコンパウンドにより、氷上と雪上性能を高めたプレミアムスタッドレスタイヤだ。消費者調査に基づき、あらゆる冬のコンディションにおいて高い性能を達成するために設計された」とし、更に、「アイスナビ6と比較し、氷上において7%制動能力が向上するも、ドライ性能とライフ性能に関しては同等のレベルをキープ。また、アイスナビ6よりも接地圧が分散され、エキストラコンタクトコンパウンドを採用することにより、4%転がり抵抗を改善させた。これは我々のスタンダードの夏タイヤと同等のポジションだ」と話す。

つまり、「我々の開発ターゲット通り、ドライ性能はそのままに全ての氷上性能がアイスナビ6より大きく改善されている。特に氷上コーナリング性能と制動性能は注目に値する」と大いに評価した。

冬のドライブを楽しく、安全に過ごすならグッドイヤー

日本グッドイヤーの、この冬のマーケティング戦略について、同社マーケティング本部長の有田俊介氏は、「ベクター4シーズンズとアイスナビ7の2つを軸として、“冬のドライブを楽しく、安全に過ごすならグッドイヤー”をコンセプトに、コミュニケーションを展開する」と述べる。

具体的には、テレビを軸にしながらデジタルメディアを中心に、雑誌等様々なターゲットメディアを活用する形で展開。公式ホームページに誘導しながら店舗に送客を図る。更に、「今年開催される東京、名古屋、大阪のモーターショーに来場するクルマに興味のあるお客様に向けても、ボリュームとしてしっかりリーチできるように展開する」と話す。

地域としては、「北海道を中心とした降雪地域は、スタッドレスを中心とした展開。そして非降雪地域ではあるものの、時により雪が降る東名阪を中心とした地域では、オールシーズンタイヤをコミュニケーションしながら、タイミングによってスタッドレスに仕分け、その地域地域での親和性を高めていく」と説明。

ベクター4シーズンズは、昨年冬のテレビCM放映以来、「現在、年間を通して使える素材で放映中だが、今後冬用のテレビCMに切り替える。また、昨年、“事実。東京にも突然雪が降る”というテレビCMを放映したが、こちらもバリエーションを増やしながら、展開を図る」。冬バージョンのCMは10月より放映予定だ。

そして、アイスナビ7のコンセプトは、「“冬を楽しむニュースタッドレス”とし、ターゲットは30歳代後半から40歳代の男女。降雪地域に住んでいる方を中心にしながらも、ウィンタースポーツにも興味のある方々にリーチしていきたい」と有田氏。具体的には、「発売と同時にグッドイヤーのホームページでも特別ページを設けながら、様々な広告を中心としたコミュニケーション展開に結びつけていく」とした。

テレビCMは、「冬を楽しむニュースタッドレスというキャッチコピーのもと、氷上のブレーキ性能が7%アップ、エッジ性能13%アップといった機能訴求だけにとどまらない、よりエモーショナルなところで、ブランディングを踏まえた楽しいテレビCMを制作した」とし、こちらは9月より放映が予定されている。

オールシーズンとスタッドレスはカニバらない

有田氏によると、「現在オールシーズンタイヤ自体を使ったことがない方がほとんどだが、使ったことのある方の満足度は95%と高く、実際に使用するとその良さがわかってもらえる」としながらも、「グッドイヤーの中でフォーシーズンズの割合は小さく、認知はまだまだ。これから柱に育てていきたい」。

一方、販売面においては難しい状況もあるという。金原氏は、「日本市場は既にスタッドレスとサマータイヤの二本立てが基本。販売店の方々はこの2セットを使い回していくという感覚で、それが崩れると商売上の本数が落ちるのではないかという懸念を持っている」と明かす。

その懸念を、「消費者から利便性や性能からオーダーをかけてもらう方向で変えていきたい。そこで消費者認知をどんどん上げていかなければいけない」という。

有田氏は、「調査結果によると、シーズンごとにタイヤ交換が面倒な人は半分ぐらい。それが障害となりスタッドレスを買わない人は、交換が必要ないオールシーズンであれば購入に前向きになり、新たな需要が生まれる可能性がある。つまり、スタッドレスとのカニバリにはならない」と分析。

更に金原氏も、「サマータイヤのまま不安を感じながら乗っている人もいるだろう。欧州の例では、自分の家の周りだけが中心で走行距離が伸びない女性が、オールシーズンを使う傾向にある。日本でも似たような傾向になるかもしれない。これまで雪が降って来て心配だなと思いつつも運転している人達が、フォーシーズンズを履いて安心だと思ってくれたら嬉しい」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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