【ランボルギーニ チェンテナリオ】オーナーと本社の信頼関係で完成したワンオフモデル

自動車 ニューモデル 新型車
ランボルギーニ・チェンテナリオ
ランボルギーニ・チェンテナリオ 全 32 枚 拡大写真

日本に割り当てられた唯一のランボルギーニ『チェンテナリオ』のクーペが、一部報道陣に公開された。

チェンテナリオはランボルギーニの創業者、フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念したモデルだ。2016年のジュネーブモーターショーで発表され、クーペとロードスターそれぞれ20台のみの限定で生産される。販売価格は175万ユーロ(税抜)で、全て完売している。

搭載されるエンジンはV型12気筒NAで最高出力は770hp、0-100km/h加速は2.8秒。0-300km/h加速は23.5秒、トップスピードは350km/hを超えるという。

◇日本をイメージしたワンオフモデル

チェンテナリオはランボルギーニのワンオフ戦略を受け継ぎ、アドペルソナムの手で各オーナーの要望を取り入れながら、個性ある1台に仕上げられている。今回日本で公開された1台も、日本をイメージして制作された、いわばワンオフモデルである。

ランボルギーニ麻布マネージャーの柳原拓郎氏によると、このチェンテナリオはオーナーの提案で、「レッドカーボン素材を使用し、赤をメインに、白を一部に使ってデザインされた」という。

実は、同じテーマでイタリア側からも日本をイメージした提案があった。「ブラックカーボンを使って赤を差し色に使う、日本の武士道のイメージだった。しかし、アドペルソナム部門のディレクターをもってしても、オーナーの提案であるレッドカーボンを使って、白をコントラストに入れた仕様の方が正直良い、とお墨付きをもらうほど素晴らしいものだった」と振り返る。

◇本国しかないシミュレーターを活用

この仕様を決めるにあたり、オーナーと本国の開発陣とは密にコンタクトを取り合い、場合によっては直接イタリアまで出向き、打ち合わせを行いながら進められた。「全部で5回から6回イタリアへ行った」と柳原氏。チェンテナリオは内外装の細かいところまでオーナーの要望によって塗り分けることが可能だ。「現地では日本にはない、実車と同じように見えるシミュレーターを使って色を塗ってくれるので、イメージが具現化しやすかった」と述べる。

これはインテリアにおいても同様だ。アルカンターラの素材は共通だが、「今回採用された仕様はこれまでランボルギーニにはなく、レッドカーボンの色味に合わせたアルカンターラがオーナーのために作られた」。実は、それまでランボルギーニが持っていた赤いアルカンターラは明るすぎてミスマッチだったことから、「少しトーンを落としたカラーになっている。内装についてもどこに白を入れるか、どこをレッドのレザーにするかなどを決めるまでにかなり時間がかかったが、これらも本国のシミュレーターのおかげだ」という。

◇本国とオーナーの信頼関係で出来ないことが出来るように

今回、積極的に本国に通うことで、信頼関係が生まれ、また絆も深まった。「もともとはジュネーブショーで登場した、ブラックカーボンにコントラストカラーを入れるぐらいしかアイディアとしては出なかった。ここにオーナーも招待されており、その場でカラーカーボンの打診も行ったが、その時は本社技術部からは出来ないと回答された」と明かす。

しかし、「実際にイタリアに通ううち、それが可能になったのだ。これはオーナーの熱意が通じたということだろう」と柳原氏。

「イタリアに行きさえすれば、大変そうなことが簡単だったり、出来ないといわれていたことが出来たり、見られないといわれていた場所に連れて行ってもらえたりと、オーナーに対して丁寧に対応をしてもらえた。特別な思い出を作ってもらおうという姿勢だった。こちらからの依頼に対し、100%以上の提案をしてもらえた」とオーナーと本社との間で親密な関係が生まれていたことを語る。

これにまつわり、柳原氏はもうひとつエピソードを披露した。本来ミラーはデザインの段階では黒だった。それをイタリアの生産ラインでオーナーが見たときに、「ミラーは黒ではなく、レッドカーボンなどにしておけば良かったとちょっと残念がっていた」という。そこで、日本でフィルムなどを貼ってそこは調整しようと考えていた。最後にイタリアに呼ばれ、まさに木箱に積みこまれる寸前のところを見学していた際、「気づいたらミラーもレッドカーボンに合わせてあった。まさに提案した以上のことをやってくれ、オーナーは大喜びだった」と柳原氏も笑顔だ。そのときにランボルギーニの担当者に聞いたところ、「こちらの方がかっこ良いからという回答だった。それもコミュニケーションをずっと取っていたからこそ、オーナーの好みが分かっていたからこそ出来たものだろう」と述べた。

このチェンテナリオ、様々なオーダーや日本の消費税を加えた結果、日本円でおよそ3億円相当になったという。

今回日本に入ってきたクーペは20台中19台目のクルマだ。「ロードスターは再来年ぐらいまで生産完了にはならないと聞いている。まだロードスターは2から3台しか出来ていないようだ」と柳原氏。

そして、日本へは「このクーペが1台のみ、ロードスターは2台入ってくる予定だ」とした。

このランボルギーニチェンテナリオは9月2日と3日にランボルギーニ麻布(東京都港区)にて一般公開される。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  2. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  3. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る