八重洲出版、「YAESU LIBRARY」を開催---雑誌のポテンシャルを感じた

モータースポーツ/エンタメ 出版物
八重洲出版「アーカイブ図書館」
八重洲出版「アーカイブ図書館」 全 10 枚 拡大写真

『Motorcyclist』『Old-timer』『driver』『AUTO CAMPER』などを出版する八重洲出版は創業60周年を迎えた。これを記念して9月8日から18日まで、同社本社からも近い東京都中央区の京華スクエアで、バックナンバーを一堂に集めたアーカイブを公開した。

常に日本のモータリゼーションを見つめ、その主役であるクルマを紹介し、最近では、ニューモデルはもちろん、心に響く忘れられない名車達の記憶を呼び戻し、新たなモビリティの価値や魅力に多方面から迫る出版物を多数発行する八重洲出版。その創刊号からのバックナンバーが集められ自由に閲覧ができるイベント。京華スクエアのエントランスに設けられたアーカイブ図書館、「YAESU LIBRARY」と名付けられたそのスペースでは、連日来場者が絶えず貴重なバックナンバーに目を通していた。

筆者も会期中訪れ、しばし昔に思いを馳せる時を過ごすことがができた。書籍ごとに分けられ、所狭しと並べられたバックナンバーの数々、背表紙に書かれた特集のタイトルなど、いずれ劣らぬ魅力を今も強烈にはなっている。

会場を訪れた際に案内してくださった『driver』(ドライバー)編集部の土田さんは「当時ならではの企画はもちろん、中には今でも十分通用する企画もたくさんあるので僕たちも勉強になります。もちろん編集部では資料として今も閲覧は可能ですが、なかなか皆さんにご覧いただく機会というのはなく、今回はいろんな方に各誌を知っていただき、八重洲出版を知っていただくいい機会になったと思っています」と話す。

「例えば会社の近所の方で、八重洲出版は何となく知ってくださっていた方も、どの雑誌を作っているのかはご存じでない方もいらっしゃいます。書店ではよく目にするこの雑誌を作っていたのか、と改めて認識してくださるケースもありました」と土田さん。バックナンバーは、地元の方とのコミュニケーションツールにもなっているようだ。

筆者もせっかくお邪魔したので、限られた時間ながら、バックナンバーに少し目を通してみることにした。例えば『ドライバー』誌。今は「driver」だが、かつては「ドライバー」だった。

ページを捲ると、新型車の紹介インプレッションはもちろんだが、今も昔もドライブ企画は人気なのだろうか、手書きの地図やコメントで曲がる箇所まで事細かに記されていたりする。読者はこの雑誌を持ってドライブをしたに違いない。ほかの部分でもクルマの紹介にも、今とは少し異なる「情熱」と「温もり」を感じさせる。付録として、運行記録というよりはドライブ日誌が毎月記入出来るシートが付いていた。切り離してそれを閉じ、読者のカーライフにおけるまさに「思い出の編纂」までも、自動車雑誌はサポートしていたのだ。WEB全盛、IT全盛の今では逆にすたれてしまったような体裁や、コンテンツのスタイルは今見るとかえって新鮮さを感じる。

「かつての新型車」はやがて名車と呼ばれるようになる。そうしたクルマを大切にする人、再生させる人のための、通称“サビ取り雑誌”『Old-timer』は、なんといってもその表紙を眺めているだけでもクルマ好きは安らぐほどだ。会場ではこの表紙デザインのタペストリーも販売されていた。

またカーライフはより多様に、ディープに、そして自由な旅を可能にする。そんな『AUTO CAMPER』誌や、4輪だけではなく、ライダーとしてモビリティライフをスタートさせた人も少なくないだろうが、そんな人の必読書『Motorcyclist』。さらには自転車の専門誌『CYCLE SPORTS』から、『ラジコンマガジン』まで、すべて読み耽っていると時間がいくらあっても足りない企画展だった。

あの頃を懐かしむのももちろんだが、雑誌でなければできないこと、雑誌だからこそできたこと。そんなことを今改めて披露してくれた。この企画展に出かけて、雑誌のポテンシャルを改めて見せつけられた気がした。WEBか雑誌か、ではなく、WEBでできなくても雑誌ならできることもある。そんな示唆を含んだ企画展だった。

《中込健太郎》

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