ランボルギーニ3本目の柱、ウルスにはハイブリッドモデルも登場…ランボルギーニアジア・太平洋地区代表【インタビュー】

自動車 ニューモデル 新型車
ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ
ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ 全 8 枚 拡大写真

ここ数年、日本を含めグローバルで成長しているランボルギーニ。特に日本は同社にとって2番目に大きい市場だという。そこで近々投入が噂されているSUV『ウルス』を含め、同社の現状について話を聞いた。

◇日本はランボルギーニにとって2番目に大きな市場

----:ランボルギーニの2016年の世界新車販売は史上最高の3457台を記録し、前年比7%増。これは6年連続で前年実績を上回るという実績です。また、日本市場においても、382台と前年比9.5%増で、2014年の187台と比較すると大幅な伸びです。そこで、太平洋アジア地域や、日本で何か特別な販売戦略を持っているのかを教えてください。

アウトモビリ・ランボルギーニアジア太平洋地区代表のアンドレア・バルディ氏(以下敬称略):アジアパシフィック全体で、グローバルでの販売台数の1/3を占めており、今後もこのバランスは保っていきたいと考えています。その理由は、世界中の為替変動を含めたボラティリティをカバーするためであり、リスクをヘッジするためにも、このバランスの取れた状態で安定した販売を遂げていきたいのです。

もちろんアジアの全てのマーケットは重要ですが、成熟度はそれぞれ違っており、それに伴ってアプローチも変えていかなければいけません。その中で日本は本当に特別なマーケットで、ランボルギーニにとって2番目に大きなマーケットなのです。従ってリソースを集中させていますし、日本のマーケットに投資をすれば必ずお客様から良い反応が返ってくる。なのでクオリティをはじめ、デザイン、パフォーマンスなど全てに妥協せずに努力をして投資をすれば、全てが日本において評価に繋がると自信を持っていますので、これからも日本のマーケットのお客様を大切に考えていきます。

----:では、今後日本での投資の具体的な予定があれば教えてください。

アウトモビリ・ランボルギーニ日本及び韓国カントリーマネージャーのフランチェスコ・クレシ氏(以下敬称略):新しいディーラーは今後も可能性のある地域で考えていきたいと思っています。最近オープンした横浜と神戸は我々の受注や販売に貢献していますし、実際に我々の今年度の成績は対前年比で+33.5%成長(1~8月期)しています。そして今後導入するSUVについても日本では大きな機会に繋がると考えています。特に日本の北部での可能性はとても高いでしょう。

----:今後、日本においてさらに市場を開拓するとすればどういった層に向けて拡大を図っていくことを考えていますか。

クレシ:近々導入予定のSUV、ウルスによってゲームはガラッと変わると思っています。今お話ししたように、ウルスは日本においても大きな可能性を秘めていると思っており、売上に関しても期待を高く持っています。

しかしいくら台数が増加したからといって、我々はニッチであることに変わりはありません。このエクスクルーシブスポーツカーセグメントを見ると、世界での販売台数は6000台から7000台に留まるでしょうし、我々もエクスクルーシブであり続けます。

それでも、今後さらに(今のマーケットの中で)新しい層をターゲットするとすれば、ファミリー層です。毎日使いたいとか、家族をたくさん乗せたいなど、今までの我々のモデルでは希望に応えられなかったユーザーにターゲットをあてていけたらと思っています。

◇ウルスで倍増しても、エクスクルーシブ性は保つ

----:全体として、ランボルギーニの台数にまだ伸びしろがあると感じましたが、具体的にどのくらいまで台数を伸ばしたいと考えているのでしょうか。その一方で、エクスクルーシブセグメントは台数を伸ばしていくと、そのエクスクルーシブ性が薄れてしまう可能性もあると思いますが、いかがでしょう。

バルディ:このセグメントは本当に競合が少なく、その競合も全てエクスクルーシブなブランドです。そして、このセグメントの台数は、数千台レベルであり、他のマスブランドの何百万台などとは桁が違います。

我々も去年の販売台数は世界中で約3500台と数千台レベルでした。それを50のディーラーに分けると本当に台数は僅かでしかありません。しかし、3つ目のモデル、ウルスによって、販売台数を2倍にできる可能性もあるかもしれません。これはランボルギーニにとって大きなジャンプとなります、それでも台数は数千台規模なので、エクスクルーシブであることには変わりはないでしょう。

例えばプレミアムブランドとうたっているブランドでも、数万台規模で、やはり桁が違ますね。なので、我々のこのポジショニングは大切にしていきたいのです。パフォーマンスや細部へのこだわりや、研究開発に惜しみなく時間をかけることによってコストも高くなってしまいます。これがマスブランドや、プレミアムブランドとの大きな違いで、これがエクスクルーシブなのです。

まだまだ売れる可能性はもちろんあるでしょう。しかし、我々の生産能力が限られているため、時によってはお客様にご自分のランボルギーニを受け取るのにしばらく待ってもらわなければいけないこともあります。それでも一台一台丁寧に作り、富裕層のパフォーマンスを好むお客様に丁寧に一台一台届けていきたいと思っています。

◇ウルスにはハイブリッドモデルも

----:今このタイミングで3つ目のモデルとしてSUVを投入するのはなぜですか。

バルディ:現在ランボルギーニブランドはとても高い評価を得ており、それがさらに上がってきていますので、今が良いタイミングだということが挙げられます。これを出すことによってニッチの中であっても、さらに販売台数を上げることができるでしょう。とても良い決断だったと思っています。

また、3つのモデルを持つことによって、それぞれのライフサイクルの循環がうまく回るようになりました。新しいモデルが発表されると、もうひとつのモデルが終焉を迎える様に、うまく循環し、ビジネス的にもうまく回っていると感じています。

ではなぜSUVか。もちろんセダンという選択肢もありましたが、我々が出すのは単純なSUVではなく、スーパースポーツSUVです。従って他の競合はまだやっていないところに投資するので、新たな可能性が広がると信じています。

----:最後にお尋ねします。世界中で進んでいる電気化の流れについてどう感じていますか。

バルディ:どのメーカーもこの電気化についての議論は進めているでしょうし、それはランボルギーニにおいても同様です。しかし現行のパワートレインは規制に合致しており、今あるものの中で、ファントゥドライブやエモーション、そしてパフォーマンスをお客様に提供していきたいので、今すぐに電気自動車に切り替えるということにはなりません。ただし、ウルスには2種類のエンジンを搭載予定ですが、そのひとつは、ハイブリッドになるでしょう。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 史上最強のVW『ゴルフGTI』、6月20日デビューを予告
  4. 「パジェロですか?」三菱が初公開した次世代SUVに熱視線! SNSでは日本導入を求める声
  5. 宮崎「シーガイア」にサーキットがオープン! セグウェイの「電動ゴーカート」を日本初導入
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る