「北前船で行けたルートがイケてない」タテに動く人やモノをヨコに動かす…4市1社の気概

自動車 ビジネス 国内マーケット
JR西日本の舞鶴線と、京都丹後鉄道の宮津線が接続する西舞鶴駅
JR西日本の舞鶴線と、京都丹後鉄道の宮津線が接続する西舞鶴駅 全 5 枚 拡大写真

新潟市、敦賀市、舞鶴市、豊岡市の4市が、WILLER流のノウハウをもって推し進める「日本海縦断観光ルート・プロジェクト」。9月25日の設立発表会では、「ヨコの連携が重要」と各市関係者が重ねて伝えた。

彼らに共通するキーワードは「北前船」。新潟県は、この北前船(きたまえぶね)についてこう説明している。

「北前船は、瀬戸内から松前の間の日本海側を航行する、積み荷を各地で売買する商船(買積み船)のこと。のちにそう呼ばれるようになったもので、当時は北国船(ほっこくせん)とか弁財船(べんざいせん)などと呼ばれていた。北前船が活躍したのは、江戸時代の半ばから明治の20年代ごろまで。流通が発達していなかった当時、ものの値段は地域によってまちまち。北前船はものを安いところで買い、高いところで売りさばき、その差益で成り立つ商売だった。北前船が盛んに行き来する日本海沿岸の諸都市は、船が運ぶ利益とモノと情報で栄えた」(新潟県/新潟文化物語)

新潟市の篠田昭市長は、この北前船を例にあげ「北前船が航行されていた時代のように、日本最大の物流ルートも復活させ、観光やモノの流れを再びにぎやかにしたい」と意気込む。

「背骨から日本海へ」の時代を経て
北前船の航路とおもな港

この北前船時代から150年を経たいま、東京や大阪を起点とした鉄道や高速道路、航空路は充実したが、日本海岸を結ぶアクセスに革新的な発展はほぼない。かつて、京都からの山陰線特急や、大阪からの日本海縦貫特急「白鳥」などがあったが、「白鳥」や寝台特急「日本海」などは、国鉄分割民営化や利益不振などで消滅。高速道路がそれを補うかたちで延伸し、物流や観光の流れは高速道路へとシフトした。

いっぽう、列島の南北は、中国道や中央道、東北道を背骨とし、枝分かれする日本海連絡ルートが次々とつくられた。上越新幹線をはじめ、山形新幹線、秋田新幹線、北陸新幹線、そして山陰山陽方面は浜田自動車道や米子自動車道が開通し、伯備線特急に振り子電車が投入され、高速化が図られた。京都も舞鶴若狭自動車道が開通し、南北が行き来しやすくなった。

日本海沿いを新しい筋肉でチカラづける

そしていま、日本海沿いは「新潟なら新潟、舞鶴なら舞鶴と、旅行者は一点のエリアを回遊して、同じルートで帰ってしまう」という共通の悩みを抱えている。

この現況を打破すべく、ヨコのつながりを強化しようと、まず4市が立ち上がる。その間を取り持つ担い手として、新潟でレストランバスを走らせ、京都丹後鉄道を運営するWILLERに白羽の矢が立った。

WILLER流で推し進める同プロジェクトの柱は、人材・設備・情報の3つ。それぞれのエリアが共通の想いで取り組める仕組みのうえで、これまでにない路線・車両・ターミナルといった設備を整え、国内外に広く伝わる情報ネットワークをはり、人を呼び込みヨコの仲間へと動かす。

この発表会で、5者がくり返し伝えていたのは「5者にとどまらず、自治体も民間もこれからどんどん参入してもらい、日本海側全体のブランド確立をめざす」という点。北前船や特急「白鳥」といった時代の日本海側ルートではなく、沿岸地域のあらゆる部位を、まったく新しい筋肉でチカラづけていく――彼らの言葉ひとつひとつに、そんな気概を感じた。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る