自動運転量産化に向けて戦国時代へ突入

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米半導体大手Intelが5月にカリフォルニア州サンノゼ市で実施した自動運転ラボの様子
米半導体大手Intelが5月にカリフォルニア州サンノゼ市で実施した自動運転ラボの様子 全 3 枚 拡大写真

◆5月シリコンバレーが業界全体にとってのキックオフ

世界各地で今夏、自動運転に関する大きな動きが相次いで発生している。

そのキッカケとなったのは、米半導体大手Intelが5月にカリフォルニア州サンノゼ市で実施した自動運転ラボの開設だ。

そのアドバンスド・ヴィークル・ラボ・イン・シリコンバレー(Intel Advanced Vehicle Lab in Sillion Valley)では、世界各国のメディアを集めて自動運転ワークショップ(Autonomous Driving Workshop)を実施した中で、自動運転用のプラットフォームを開発して自動車メーカー各社に供給することを明らかにした。

6月には、同プラットフォームの開発で、Intel、BMW、モービルアイに次いで、独自動車部品大手のContinental(コンチネンタル)が参画することが明らかになったことで、自動運転プラットフォーム事業の骨格がはっきりと見えてきた。

続く7月、フランスのストラスブール市で開催されたITS(Intelligent Transport Systems)の欧州会議を取材した際、BMWの自動運転担当者にIntelと共同開発する自動運転用プラットフォームの動向について聞いてみた。すると「原理としては、半導体や基盤といったハードウエアのみならず、ソフトウエアはクラウドサービスを含めた総括的なプラットフォームだ。現在、コンソーシアムのような形式も考えており、主要な自動車メーカーに声をかけているが、当然のことながら興味を持っているメーカーが数多い」と答えた。

◆さらに加速するインテルの自動運転

Intelは8月、モービルアイとの共同開発する米SAEの自動運転レベル4に対応する自動運転車を合計100台、アメリカ、イスラエル、そして欧州で公道実験を行うことを明らかにした。

そして8月半ばには、FCA(Fiat Chrlysler Automobiles)が、Intel、BMW、モービルアイ、そしてContinentalによる自動運転プラットフォームを使用すると発表した。

これと同時期に、シリコンバレーのメディアが、新型アウディA8の自動運転向けの技術に、Intelのプログラマブル・ソル―ションズ事業本部(PSG)とIntelの子会社Wind Riverが提供するプロセッサーを採用すると伝えた。新型アウディA8は今年7月上旬、同社がスペインで開催した独自イベントの中で登場し、世界で初めてSAE自動運転レベル3の機能を量産することが明らかになり世界的に大きな話題となったモデルだ。今回の決定についてはアウディ側はIntelが持つFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)の技術力を評価したと語る。Intelは2015年12月にFPGA大手のAltera(アルテラ)を買収しており、今年5月のサンノゼでの自動運転ワークショップでも、FPGAのエキスパートがIntelの自動運転プロジェクトの将来性について自信も見せていた。

このように、今年5月を起点として、自動運転の量産化に向けて自動車産業界と電機・IT産業界における激しい競争が本格化している。

◆2020年の実用化を目指す5Gがカギ

こうした欧米での動きと同期するように、日本でも自動運転に関わる大きな動きがあった。8月10日、Intel、エリクソン、デンソー、トヨタ、トヨタIT開発センター、日本電信電話(NTT)、そしてNTTドコモが、オートモーティブ・エッジ・コンピューティング・コンソーシアム(Automotive Edge Computing Consortium)を発足させた。

これは2020年頃の実用化を目指している、次世代通信技術5Gに対応するものだ。

5Gは現在普及している4GやLTEと比べると、送信データ量や多く、データ通信速度が速い。さらに、データ送信の遅延が少ないことから高速で移動する自動車分野での活用が期待されている。

2025年に向けては、自動車メーカー各社はSAE自動運転レベルがより高い、完全自動運転の実用化が検討している。前述のモービルアイによる計画の他、スウェーデンのボルボも2021年までにSAE自動運転レベル4の量産化を表明している。

また、自動運転のレベル高度化と平行する形で、車車間通信(V2V)、路車間通信(V2I)、さらには歩車間通信(V2P)などを総称するV2Xの領域でも5Gを活用した技術革新が進む。

こうした時代変革の中で、エッジ・コンピューティングという技術領域を基盤として、5G開発で大きな影響を持つエリクソンとIntel、さらに日系大手自動車メーカーと大手通信事業者がタッグを組んだ意味合いは極めて大きい。

インテルについて
https://www.intel.co.jp

《桃田健史》

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