スズキの真剣…モトクロス名門復活と RM-Z の魅力アップを信じられる

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スズキ RM-Z450/250(2018年モデル)プレス試乗会
スズキ RM-Z450/250(2018年モデル)プレス試乗会 全 28 枚 拡大写真

スズキが、2018年のモトクロス世界選手権および全日本モトクロス選手権におけるファクトリー体制での参戦を休止する。そんな残念すぎる衝撃的ニュースが10月下旬に流れた。

スズキとオフロードレースの歴史は古く、かつては「イエローマジック」「オフロードのスズキ」とも呼ばれ、スズキの黄色いマシンがモトクロスシーンを席巻した時代も長らくあった。最近でも、2015年にスズキファクトリーチームの小島庸平選手が全日本モトクロスのトップカテゴリー「IA1」でチャンピオンを獲得したのは記憶に新しい。

そんなスズキだが、市販レーサー『RM-Z450』および『RM-Z250』の開発、販売はこれまで通り継続していく方針というからひとまず安心だ。

そして思うことがある。これまで、オフロード専門誌を中心としたRM-Zシリーズのメディア向け試乗会に参加してきて感じたことである。

それはモトクロッサーの開発に、真摯に向き合うスズキの姿勢。当たり前のことだが、我々メディアにそれがしっかり伝わってくるのだ。

メディア向けには車両を貸し出して、テストをしてもらうという方法もあるが、スズキは毎年モトクロスコースで必ず試乗会を開催し、そこに開発陣が集まり自らの言葉で車両を説明してくれる。

さらに我々が乗り出すときには、メカニックらがサスペンションの初期荷重などを調整してくれ、まるでワークスライダーのようにコースへ送り出してくれるのだ。

コンペティションモデルなのだから、サスペンションやレバー類の調整が大前提なのは言うまでもないが、そんな当たり前のことをスズキはしっかりやり続けている。昨年自分が好んで乗ったサスペンションのセッティング値がしっかり記録されており、今年おこなわれた試乗会でも同じように調整しておいてくれるというきめ細かな準備にも感心する。

スタートグリッドではスコップを手にした開発メンバーが地面をならしてくれ、納得がいくまでRM-Zの強みのひとつ「スズキ ホールショット アシスト コントロール(S-HAC)」を繰り返し試すことができる。

おまけにファクトリーチームのエースライダー小島庸平選手もそこにはいて、新型の乗り味などを直で聞くことができてしまう。もちろん市販車と小島選手が乗るワークスマシンでは異なるところは多いのだが、ベーシックなところは近く、小島選手のコメントが大きな参考になるのは言うまでもない。

そして試乗が終われば、どう感じたかを洗いざらい聞いていき、そこには真剣さしかない。そんな試乗会に参加するたびに、エンジニア陣のモトクロッサー開発における志の高さを目の当たりにしてきた。

来年度のレース活動休止は少し寂しいが、こうした開発チームがあれば、きっとまたモトクロスレースへのファクトリーチーム参戦が復活するだろうし、RM-Zシリーズもますます性能を高めていくに違いない。

2019年モデルの試乗会を楽しみにしている。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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