【ルノー メガーヌ 新型】4コントロールはドライビングプレジャーとコンフォート、安全性に貢献

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ルノー・メガーヌGT
ルノー・メガーヌGT 全 32 枚 拡大写真

ルノー・ジャポンは11月9日より、新型『メガーヌ』を発売した。4代目となる新型メガーヌは、GT及びGTラインの2種類が日本に導入され、どちらもルノー・スポールの手が入っている。

◇ドライビングプレジャー、コンフォート、コストパフォーマンス

4代目メガーヌの開発にあたり重視したポイントは3つある。ひとつはドライビングプレジャーで、Cセグメント初の4コントロール、いわゆる四輪操舵が採用された。これにより、「これまでにない異次元の楽しみが得られる」とはルノー・ジャポンプロダクトプランニング部の近棟伸邦氏の弁。

次にコンフォート、快適性だ。「これは先代の反省を踏まえ、開発の大きな柱となった」という。ここでも4コントロールが貢献している。「この四輪操舵を採用することでロールコントロールが出来るようになった。具体的にはロールをかなり減らすことが出来るようになり、足回りの剛性をかなり下げている。それによって乗り心地が向上している」と説明。本国でもこの部分は高く評価されており、GTグレードの販売比率が先代の1%から12%へ向上しているという。

最後はコストパフォーマンスだ。GTは205psで334万円と、「競合他社と比較しコストパフォーマンスの高いクルマだ」と述べた。

◇アッパークラスを目指したデザイン

エクステリアデザインでは、「サイドに大きな特徴がある」と近棟氏。ひとつはブリスター風のフェンダーでかなり膨らんだ形状だ。これは、「全長を長く見せるようなデザインで、これにより今回のメガーヌが目指したアッパークラスの雰囲気を形作っている」という。

更にルノーらしい特徴として近棟氏はドア下部の削ぎ面を挙げる。『ルーテシア』以降、「ドアの下回りでスポーティな印象を出すデザインに取り組んでいる。それがメガーヌにも採用されている」と述べる。

ボンネットにプレスラインが入ったのも大きな特徴だ。パトリック・ルケモンがデザインのトップだった時代は、ルノーのボンネットにプレスラインはほとんどなく、なだらかなものだった。しかしこのメガーヌは、「かなり精緻なプレスラインが入っており、アッパークラスのイメージを出すために採用された」という。そして、「デザインの初期段階から採用が決まっており、生産技術や工場を巻き込んでかなり苦労して作り上げたものだ」とした。

リア周りでは、横長のテールランプが目に付く。近棟氏は、「リアフェンダーの張り出しと相まってワイドな印象を与えている」とし、更に「このランプはLEDで、奥行きが45 mm。なおかつ階段状のエッジを綺麗に見せることで、奥行き感とともに浮遊感のあるデザインだ」と話す。

「インテリアもこれまでのルノーとはかなり印象の違うデザインだ」と近棟氏。「これまでのルノーはどちらかというとあまり“マス”を感じさせないデザインだったが、今回はあえてマスを感じさせている」という。これもエクステリアデザイン同様、アッパークラスの印象を与えるためだ。

◇10年以上前から開発を継続している4コントロール

さて、注目の4コントロールだが、日本に導入されるのはGTグレードのみだ。60km/hで逆相違と同相違が切り替わる(スポーツモードでは80km/h)。逆位相は俊敏性、敏捷性、また小回り性も狙っている。近棟氏によると「リアがステアすることでハンドルの舵角が4割少なくなる」。最小回転半径も4コントロールの有無で40 cm 違い、その結果5.2 mと「小さく出来たので、取り回しが楽になった」という。因みに最大の切れ角は2.7度だ。

60 km/h 以上(スポーツモードでは80km/h以上)では同位相に動く。これはスタビリティとレスポンス向上を目的としている。「高速のレーンチェンジなどで、ヨーが発生してクルマが動くことを待たずに、ふっと動いてくれるので、誰でも気持ちの良いハンドリングを味わってもらえるだろう」と近棟氏。「ただいわれないとわからないかもしれない。そのぐらい自然な仕上がりだ」とも。

4コントロールについてはもうひとつ採用理由があった。それは安全性だ。「リアがブレイクしないという制御が安全性にもかなり役立っている」と近棟氏。ルノーはこの4コントロールを10年ほど前の『ラグナ』から採用しており、それ以降ずっと開発を続けている。「今回採用されたシステムは究極のものといえ、かなりシンプルなシステムである」という。「車速と舵角、そしてハンドルを切るスピードというクルマの動的に関わる部分ではこの3つをベースに制御。この部分に関しては特許を取得しルノーにしかない技術となっている」。

またレスポンス向上を狙い、「サブフレームとボディの間にあったクッションを廃し、直接マウントした。そうすると今度はコンフォート性が落ちる可能性があるので工夫している」と述べる。具体策としては、ロワアームの位置、構造、取り付け方の最適化。もうひとつはサスペンションの剛性を下げたことだ。「4コントロールによりロールをコントロール出来るので若干柔らかくしても追従性が良いので剛性を下げられた。また、フロントウィッシュボーンのマウント部も改良を施すことで、ゴツゴツ感をなくしている。更にバンプストップラバーもプログレッシブなものに変更された」。こうしたことでコンフォート性も確保。

ESP(電動パワーステアリング)のモーターはラック部分に取り付けられた。通常このクラスのハッチバックはシャフトに取り付けられるが、あえてGTモデルだけはラックに取り付けられ、「レスポンスを向上させている」と、レスポンス性とコンフォート性を両立していることを強調した。

メガーヌのプラットフォームは日産と共通のCMF、CDクラスだ。『キャシュカイ』や『ローグ』、ルノー『カジャー』と共通のものだ。このプラットフォームにより、「ボディ剛性はかなり上がり、低速域でのハーシュネスの少なさにもつながっている。この辺りも本国では非常に評価されている」と述べた。

日本に導入されるエンジンは、1.6リットル直噴ターボで205ps、280Nmを発揮。トランスミッションは6速のEDC、乾式単盤クラッチから、7速湿式多版クラッチに変更。「より滑らかな変速が実現出来た」とした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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