【SUPER GT 最終戦】タイトル争い展望…両クラスとも一筋縄ではいかない展開は必至の面白さ

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GT300ドライバーズランク1位の#4 メルセデス。
GT300ドライバーズランク1位の#4 メルセデス。 全 10 枚 拡大写真

SUPER GT 最終戦「MOTEGI GT GRAND FINAL」は12日、決勝250kmレースの開催を迎える。GT500、GT300ともにタイトル獲得をかけた最終決戦が繰り広げられることとなるが、果たしてどんな展開となるのだろうか。予選終了時点の状況から展望する。

まず言えることは、王座争いの帰趨のかなりの部分をタイヤと、タイヤに関する戦略が左右するだろうということ。実際、予選でもタイトルコンテンダーたちの順位状況にはタイヤ銘柄が影響したといえるわけだが(予選レポート参照)、決勝ではタイヤ関連の要件がさらに複雑化してくることが予想される。

決勝レース距離がシーズン最短の250kmで、原則全車ノーハンデのスピード勝負だという設定条件もタイヤ要件に絡む背景だ。寒くなってきた時季ということもあり、ドライバー交代を伴う1回のルーティンピットストップ時にタイヤ無交換を敢行する陣営が多くなる可能性が考えられる。普段の300km戦の時は、GT300では割と多用されている作戦であり、GT500ではあまり多くはない作戦ともいえるが、いずれにしても最終戦の250kmレース、実はスプリント寄りの設定ゆえにタイヤにタフさを求められてくる可能性もあるということなのだ。

さて、4陣営にドライバーズチャンピオン獲得のチャンスが残っているGT300クラスのポイント状況を見てみよう(本稿に示すタイトル条件等は全て手元計算)。

■GT300ドライバーズランク上位/最終戦予選終了時
66点(予選1位)#4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝&片岡龍也/YH)
56点(予選8位)#51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一&坪井翔/BS)
52点(予選3位)#65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹&蒲生尚弥/BS)
46点(予選2位)#55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一&S.ウォーキンショー/BS)

タイヤ略称:YH=ヨコハマ、BS=ブリヂストン
最終戦決勝の得点:1~10位に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1点

メルセデス勢が2台、レクサスが1台、BMWが1台。そしてタイヤ的には首位の#4 メルセデスのみヨコハマで、追う3車はブリヂストンだ。

#4 メルセデスにとって今回のポール獲得は大きい。これによって決勝での自力王座獲得可能順位の幅が2位から3位に広がっている。あとはシリーズ4強のなかで唯一、装着タイヤ銘柄が違うことがどっちに出るか。こればかりはレースになってみないと分からない。決勝日は一層の冷え込みも予想されるだけに、持ち込んだタイヤの当たりハズレという運(読みの成否)も交錯してきそうだ(雨の可能性は少ない)。

ランク2番手の#51 RC Fは予選で4強の最後方になってしまった。それでも8位なので上位浮上の可能性は残る。表彰台に乗ることが王座獲得の最低条件。その場合も#4 メルセデスの順位等、他力の条件がつくため、厳しいことは厳しい。なにより、#4 メルセデスの前に出ることが先決になる。

予選2位の#55 BMWは優勝が、同3位の#65 メルセデスは決勝2位がそれぞれ戴冠の最低条件。この2陣営の場合は、とにかく#4 メルセデスを抜いてレースに勝ち、あとは結果待ちということしかないだろう。

ポイントや予選順位的には#4 メルセデスがかなり有利。ただ、タイヤ銘柄が4強で唯一違うだけに、より一層ラクな展開に転ぶ可能性もあれば、予期せぬ苦境に陥る可能性もあるという概況のGT300だ。

続いてGT500クラス。ドライバーズタイトル獲得の可能性はレクサスLC500の4陣営と日産GT-Rの1陣営、計5陣営に残された状況となっている(ホンダNSX勢はチャンスなし)。

■GT500ドライバーズランク上位/最終戦予選終了時
69点(予選3位)#37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)
63点(予選2位)#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&A.カルダレッリ/BS)
62点(予選1位)#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/MI)
53点(予選7位)#36 au TOM'S LC500(※中嶋一貴&J.ロシター/BS)
51点(予選9位)#38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)

タイヤ略称:BS=ブリヂストン、MI=ミシュラン
最終戦決勝の得点:1~10位に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1点
※中嶋一貴はWECとの日程重複による欠場があるため、ロシターとは獲得ポイントが異なり、個人としての戴冠権なし

優勝が最低条件の#36 LC500(ロシター)と#38 LC500は、予選順位的な状況や他力が大きく必要な面を含めてほぼタイトル圏外と見るべきだろう。ランク上位3陣営が予選3-2-1位と並ぶ、実に面白い形勢となった。

BS装着レクサス勢がパフォーマンス面で圧倒的優位を誇示してきたといっていい今季の流れではあったが、そこで流石の存在感を示してきたのがミシュラン装着GT-R、日産の旗艦ともいえる#23 ニスモ号である。勝ち星こそないものの、一時はポイントリーダーに立つほどの活躍を演じ、最終戦まで可能性をつないだ。そして予選では圧倒的なタイムをマークしてポールポジション獲得を果たしている。

しかし、自力王座の可能性があるのはランク首位(予選3位)の#37 LC500のみ。平川&キャシディは2位以内なら王座決定という優位さを有しているのだ。

ここで仮に、予選上位3台がそのままの順位で決勝を終えた場合を想定する。#37 LC500が80点、#6 LC500は78点、そして#23 GT-Rは82点となり、松田&クインタレッリが逆転戴冠、となる計算だが、おそらくこうなりそうな場合、レクサス勢は2~3位の順位を最後に入れかえてくるのではないか。そうすると#37 LC500が84点、#6 LC500は74点、#23 GT-Rが82点で、#37 LC500が逃げ切ることになる。

カギを握る存在は、予選4位の#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲&千代勝正/MI)だ。#23と#46、ミシュラン装着のGT-Rがその順序で1-2を固めてゴールすることができれば、レクサス勢の順位に関係なく#23 GT-Rは王座に就ける。つまりはこの2台だけが履くミシュランが決勝でどんなパフォーマンスを見せるかがGT500王座戦線最大のカギ、ともいえるだろう。

注目要素満載の“ダブルタイトルマッチ”SUPER GT 最終戦もてぎ決勝レースは、12日の午後1時30分から53周で争われる。GT500、GT300、両クラスとも最終ラップまで予断を許さない展開になること必至である。

《遠藤俊幸》

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