マツダ雪上試乗で実感、「躍度」の重要性とは?

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マツダ雪上試乗会
マツダ雪上試乗会 全 24 枚 拡大写真

マツダのクルマ開発の大きなテーマになっている「意のままにクルマを走らせる」とは、いったいどういうことなのだろう。

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よく上手い人ほど速く走ってもクルマを滑らかに走らせることができる、と言われる。実際、上手い人の運転する車に乗ると唐突な加速や減速なくクルマを走らせているのが判る。興味深いのは、案外強い加速や減速をしていることだ。にもかかわらずスムーズとか滑らかとか感じてしまう。なぜそう感じるのか。その答えが「躍度」にあるとマツダは言う。

マツダの北海道における開発拠点、剣淵テストコースで雪上試乗会が行われた。今回のテーマは「躍度」。この躍度について様々な体験をすることができたので、報告したいと思う。

いきなり核心めいたことを言ってしまうと、躍度とは加速度の変化率のこと。例えば、0.1Gで加速をずっと続けているときの躍度は、加速度が変化していないのでゼロとなる。例えば0.1Gの加速から0.3Gの加速に加速度を変化させた時の変化度(率)が躍度だ。躍度の大きさ(強さ)は加速度の変化を時間で割ったもの。0.1Gから0.3Gに0.2G変化させた時、かかった時間が1秒なら躍度は0.2G/s。2秒かかったら0.1G/sとなる。

ちなみに、電車の加速度は発進時で0.1G前後。躍度も0.1G/sくらいなのだという。このくらいの加速度(G)、躍度だと吊革を持たずにスマホや雑誌を読むこともできる。もちろんたまたまそうなっているわけではなく、意図的に躍度を小さくした発進停止を行っているわけだ。ポイントはここ。躍度を意識的に小さくするような操作(コントロール)ができることである。

今回は躍度をテーマに3つのテストを行った。1つめのテストは、上り下りのある狭い圧雪路を使い、前走車の走りに追従する形で、アクセルスロットルの開き方を「早開き」、「標準」、「遅開き」と変えて走り比べてみた。

早開きは、アクセルを少し踏んだだけでスロットルが大きく開き、意図せずグッと加速する。こんな味付けにすると、躍度は大きく跳ね上がり、タイヤが空転してしまう。狭い圧雪路だと前輪が滑った瞬間横の壁にクルマが近づいて行ってドキッとする。遅開きにすると、アクセルを少し踏んだだけではクルマが前に進まないので、ついアクセルを多めに踏みすぎてしまう。その結果、クルマは唐突に加速して、前輪が滑り出してしまう。アクセル開度と加速のバランスの重要さがよくわかった。

2つめはブレーキ。ブレーキのマスターバックの効きを弱くしてブレーキを重くするというもの。面白かったのは、力は必要だがブレーキはマスターバックのアシストが少ないほうがコントロールしやすかった。ただし、減速した後再び加速しようとアクセルを踏み込むと、ついアクセルを踏みすぎてしまう。ブレーキの重さとアクセルの重さのバランスが取れていないとクルマは運転しにくいというのがよくわかる。

3つめは、スラローム。これは単独走行で、まずは40km/h程度で滑らかに走行。横Gセンサーによるデータを見ると、頂点が中央にあるきれいな波型の波形になっている。次に速度を上げて走らせてみると、ハンドルの切り遅れが出て躍度が大きくなってしまう。データも白波が立つような頂点が後ろにずれた波型になってしまい、場合によっては前輪も滑り出してしまう。ハンドルの切り遅れや切り過ぎによっても(横方向の)躍度は大きくなるので、ハンドルを切り遅れないように操作すること…これはクルマ側から見るとハンドルの応答性の良さ、舵に対する応答の正確さ大切だということになる。

マツダでは、クルマを意のままに操るというのは、「運転計画」と「運動計画」どおりに運転できることだと考えている。運転計画というのは、例えば高速道路の合流で、目標の場所までに加速しハンドルを切るといった運転操作の計画。運動操作は、運転計画に従ってアクセルを踏む量やハンドルを切る量、速さなどを操作しようとする計画(操作しようと思うこと)。つまりこう走りたいという考え通りに体を動かし走らせることだ。躍度を自由にコントロールするというのはクルマの性能の基本となる特性だといっている。

意のままにというマツダの謳うクルマの面白さ楽しさを実現するために同社が考えていること。今回はそれを滑りやすい雪道の中で体験することができた。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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