JR九州が省エネタイプの新系列車を導入へ…インテリアは「やさしさ」を強調

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3両編成2本が投入される821系電車。最高速度は120km/hで定員は407人(座席定員137人)。
3両編成2本が投入される821系電車。最高速度は120km/hで定員は407人(座席定員137人)。 全 5 枚 拡大写真

JR九州は1月26日、省エネタイプの821系近郊型電車と、YC1系ハイブリッド車両を投入することを明らかにした。

821系は2月末に搬入される予定で、フルSicパワーモジュール(フルSic)を搭載。国鉄時代に登場した415系近郊型電車に比べて、消費電力を70%程度低減できるとしている。制御機器やサービス用電源を適切に変換する補助電源装置の信頼性も高まっているため、より安定的で安全な輸送を確保できるという。

「Sic」とは「Silicon Carbide」(シリコンカーバイド)の略で、従来、電車の整流器などに使われているSi(シリコン)に、C(炭素)を加えた半導体デバイス。シリコンに比べて電力損失が低く、高温でも動作するという特徴を持っており、これを電車のVVVFインバータ装置に適用することで、大幅な省エネを実現できるという。

ただ、インバータ装置自体の消費電力は1%程度に過ぎないため、大幅な省エネ効果を期待できない。そこで、電力損失量の10%程度を占めるモーター部分やブレーキ部分を含めた、主回路全体にSicを適用するフルSicが開発され、2015年には小田急電鉄(小田急)1000形電車のリニューアル車両に、鉄道車両としては世界で初めて導入されている。

一方のYC1系は、JR九州としては初の蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両(ハイブリッド車両)で、6月に搬入される予定。

ブレーキ動作時に発生する回生電力を蓄電池に蓄えることで、国鉄時代に登場したキハ66・67形気動車に比べて、燃料消費量を20%程度低減。駆動方式が電気式となるため、従来の液体式に比べて、騒音や二酸化炭素の排出を抑制できるという。

両車とも台車個別制御ブレーキシステムや車両・地上設備の状態を車内から監視できるシステムを搭載。空調装置やブレーキ装置などの機器を共通化することでコストも削減できるとしている。

インテリアは「やさしさ」を強調し、1人あたりの座席の幅を拡大。LEDの足下照明やダウンライトタイプのLED照明、4ヶ国語対応の案内表示器などを設置する。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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