大日本印刷(DNP)は3月2日、自動車や住宅などのシェアリングサービス向けに、スマートフォン(スマホ)で鍵の開閉ができるデジタルキーのプラットフォームを開発したと発表した。
開発したプラットフォームでは、デジタルキーの生成と開錠・施錠のための電子証明書を、対象となる自動車や家、ロッカーなどのドアとスマホに発行するためのクラウドサービスと、アプリ開発キットを提供。デジタルキーの安全な運用につなげていく。
デジタルキーには、インターネットの通信セキュリティなどで広く使用されている公開鍵暗号方式を採用。共通鍵暗号方式は秘密鍵を発行しネットワーク経由で送付することから、コスト増加や情報漏洩のリスクがある一方、公開鍵暗号方式は、電子証明書を用いて正当な利用者を認証し、ドアの開錠・施錠を行うため、高度なセキュリティを保ちつつ、管理コストやリスクを低減できる。
DNPでは、デジタルキーと電子証明書の発行に関わる基本機能として、スマホ用アプリに各種サービスと一緒に組み込まれることを想定。プラットフォームをカスタマイズすることで、車や家、ロッカー等の各種シェアサービス用のデジタルキーに加え、オフィスや工場などのIoT機器の動作解除など、さまざまな用途に利用できる。
具体的な利用事例としては、自動車や民泊などのシェアリングサービス利用および不動産の内見や、車のトランクやコンビニの宅配ボックスに荷物を届ける際の一時的なデジタルキーの発行などを想定。また、DNPが提供する決済手段やポイントサービスなどが利用できる「DNPマルチペイメントサービス」と組み合わせることで、デジタルキーと決済サービスを連動することも可能だ。
DNPでは今後、自動車関連や宅配ボックス、IoT機器等のメーカー、レンタルやシェアリング、宿泊や不動産関連、宅配等の事業者など、さまざまな企業に同サービスをプロトタイプとして提供。各業界向けのカスタマイズを行ったうえで商用化し、2022年度に10億円の売上を目指す。