アルテオン はバリューフォーマネーが高く、VWのフラッグシップらしいクルマ…マーケティング担当[インタビュー]

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VWアルテオン
VWアルテオン 全 24 枚 拡大写真

フォルクスワーゲングループジャパン(以下VGJ)は、フラッグシップの『アルテオン』を導入し、その台数を順調に伸ばしているという。そこで、このアルテオンの導入経緯やポジショニング等について話を聞いた。

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◇アルテオンがフラッグシップになった理由

---:そもそもアルテオンというクルマはなぜ開発されたのでしょう。過去にはフラッグシップの『フェートン』がありましたが、結局消滅してしまいました。そういった背景の中、『パサート』よりも上のクラスにあえて投入した理由をまずは教えてください。

フォルクスワーゲングループジャパン営業本部商品企画課プロダクトマネージャーの沢村武史氏(以下敬称略):まず、『パサートCC』というクルマがありまして、2007年ぐらいから日本へ導入されました。その後、フェイスリフトしてフォルクスワーゲン『CC(以下パサートCC含めCCと表記)』に改名しました。アルテオンはこのクルマの実質的な後継にあたるのですが、ポジショニングとしてはそのままCCの後継を踏襲したのではなく、本国サイドとしてはもうひとクラス、プレミアム方向へリポジショニングしたクルマとして企画されています。

CCもいわゆる一般的にいうDセグメント、パサートクラスのクルマよりも若干ボディサイズは大きめで、DとEの間ぐらい、Dアッパークラスのクルマとして企画されました。それをより鮮明に、さらにEセグメント寄りにして両セグメントのお客様を取り込めるようにしたいということが企画の発端です。

デザインに関しては、CCはどちらかというとエレガンス、スタイリッシュな綺麗なクーペスタイルのセダンでしたが、その一方で、少し優しい、おとなしい印象もありました。そういったところを踏まえ、より押し出しの効いた、迫力のあるデザインがアルテオンの特徴です。もちろんスリークなデザインや、スタイリッシュさは失わずに、より迫力があり押し出しのあるデザインに変えています。

アルテオンの企画は4~5年前に遡ります。まだフェートンがなくなるといった話もなかった頃で、ディーゼル問題が起こる前。基本的にはフォルクスワーゲンはフルラインナップ、拡大路線をとっていましたので 、フェートンとパサートの間に入るクルマとして進めていました。

そしてこのクルマが出た環境下、フェートンがいなくなり、ディーゼル問題もあり、アメリカや日本ではブランドを著しく損なう結果になっていました。そこで、アルテオンが担う役割が、当初の目的からやや変わり、アルテオン自体が中国を除いてはトップモデルという位置づけに変わったのです。

◇DとE両方のユーザーを取り込みたい

---:CCよりも少し上級クラスを狙いたいと想定したのはどの時点だったのでしょう。パサートとフェートンの間にアルテオンを入れたいという意図はとてもわかりますし、他メーカーでは4ドアクーペが出てきて人気を博しており、そこにCCがあったわけです。それでももう少し上に位置づけたいと考えたのは、フェートンがなくなることを想定していたとも捉えられるのですが、いかがでしょう。

沢村:もともとだったと思います。フェートンはパサートよりも2クラス上です。そうすると、例えばBMW『5シリーズ』や、メルセデス『Eクラス』が属するセグメントのカバレージがフォルクスワーゲンはスポッと抜けているのです。従って、そこにいるお客様を取り込みたいという欲はありました。

このアルテオンの強みはエクステリアデザインですが、インテリアに関しても、ホイールベースがパサートセダンより45mm長くなったこともあり、さらに広く、より上級クラスのクルマをお求めのお客様も満足出来るインテリアスペースははっきりウリといっています。

つまり、非常に押し出しの強い、主張の強いデザインで、かつクーペスタイルをとっていながらも、後席にも人がちゃんと乗れて、空間を広く使えているといったところで、Eクラスや5シリーズのエントリーレンジを考えているお客様を取り込めるのではないかという戦略がありました。

---:つまりCCはそこまではいかなかったというイメージでしょうか。

沢村:CCの時もそういう意図がないわけではありませんでした。ただし、CCではそういった人たちをあまりうまく取り込めなかったように思います。その理由は押し出しの弱さなどでした。

◇ブランドシンボルとしての位置づけ

---:そもそも日本にアルテオンを投入した理由は何でしょう。

沢村: 4~5年前から企画自体はスタートしており、フルラインメーカーとしてアルテオンは位置づけられていました。しかし様々な状況が変わりましたが、最終的に導入されたポジショニングでも、乗用車系のシンボルになるモデルが引き続き欲しかったというところです。

ブランドを引っ張っていくクルマだという点では、台数は出ませんでしたがCCもフォルクスワーゲンらしい綺麗なクルマということで、しっかり保っていたクルマでした。そこはアルテオンに名前が変わり、さらにハッチバックになってパワートレインも2リットル、280馬力もありますので、より受け入れられやすい要素を持ったクルマだということはわかっていました。

また本国で毎年新型車を見せてくれるイベントがあるのですが、それを見た我々のマネージメントが非常に格好いいと高い評価だったのです。

---:CCの台数を考えるとアルテオンを導入することは非常に難しい判断だったと思いますが。

沢村:もし、ディーゼル問題が起きた後で、この企画が持ち上がったとしたら違う結論が出ていたかもしれません。この判断をしたのは、ちょうど『ゴルフ』がカーオブザイヤーを受賞したりと勢いがあった頃で、輸入車ビジネスとしても全体的に好調でしたから。

◇競合輸入車からの乗り換えも期待

---:フラッグシップとして導入したわけですが、まだまだ知名度はとても低く、既に販売が開始されているのかどうかわからないような声も聞こえます。

沢村:特に新しいネーミングになったので、そこを浸透させていくというのはかなり大変なことです。しかし、想像以上の反響で納車が追いつかず、増産を本国にお願いするなどしばらくなかった活気があります。またお客様の評価としては、良い意味でのバリューフォーマネーは強く感じてもらえています。

本国の企画意図は、ひとクラス上のクルマと、今のパサートクラスの間を埋めるということなのですが、これはあくまでも本国の企画意図で、日本のポジショニングとしてはそこまで攻めてはいません。

明確に販売店にいっているのは、あくまでもターゲットは同クラスの上級モデルであったり、ドイツの小型クーペです。結局ドイツの競合メーカーの小型でも上級グレードの価格帯は、500万円から600万円を越えますし、それがクーペスタイルになるとさらに100万円プラスになります。そういったところまで視野を広げているお客様にとってこのクルマの価格と装備はものすごく刺さるようです。600万円を切る価格でここまで装備があれば、強豪ドイツ車メーカーであれば、700万円超えるでしょう。その点をお客様はしっかりバリューを理解して買ってくれているのです。ドイツ車メーカーを含めて新規のお客様が関心を示しているのは非常に心強いです。

◇輸入車に乗っているとひけらかさないユーザー

---:さて、CCのユーザー層と、アルテオンがターゲットとするユーザーそうとでは違っているのでしょうか。

沢村:デモグラ上ではVWのセダン系は平均60歳前後で、CCは平均57歳とあまり変わりませんでした。専門職や管理職が多く、当然高価格帯のクルマなので世帯年収もそれなりに高くなっています。相対的にはパサートに比べても、高収入でデザイン感度の高い人たちがユーザーでした。そして、高級志向、あるいは高級車を好むお客様でありながら、自分は輸入車に乗っているんだなど、ひけらかしたいお客様が来てるわけではなく、CCが欲しいという人で、自分で選んで納得をして購入されている、少し控えめで英語でいう、アンダーステーテッドなお客様でした。

そしてアルテオンも同様ではありますが、より輸入車志向のお客様を強く意識しています。現在全国で展示イベントを行ったりして、そのイベント担当に話を聞いてみたところ、男女問わず広く関心を持たれており、非常に引きの強いクルマだということがわかりました。そして結果的にそれが即商談に結びついたケースなどもあります。

販売店も何箇所か回って聞いてみましたが、やはり輸入車のオーナーが来場されています。なかなか今までのフォルクスワーゲン、あるいはパサートでは振り向いてもらえなかった高級車に乗っているお客様が、買う買わないは別として関心を持ってお店に足を運ぶなどの事例が増えて来ています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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