スーパースポーツで雪道を楽しむ、という贅沢…Audi R8 Spyder の絶対的安心感に驚き

試乗記 輸入車
Audi R8 SpyderとAudi Q2で岡本幸一郎氏がスノードライブ
Audi R8 SpyderとAudi Q2で岡本幸一郎氏がスノードライブ 全 52 枚 拡大写真
せっかく雪道を走れるタイヤを装着したクルマの用意があるので、どこか雪のあるところへ行こうという企画を拝命した次第。ところが、なんとクルマはAudi R8 Spyder(スパイダー)と、Audi Q2 の1リッター車という組み合わせ。アウディの中でもっとも高額なフラッグシップスポーツと、もっともリーズナブルなエントリーSUVという鮮やかなイエローの2台で、3月でもそこそこ雪の残っていそうな奥志賀を目指すことにした。

◆あらゆるシーンで絶対的な安心感がある、Audi R8 Spyderの走り

都内を早朝に出て、関越道~上信越道へ。信州中野インターチェンジで高速を下りて、通称「オリンピック道路」へと道なりに進む。天候は晴れ。高速道路ではチェーン規制が実施されていなかったが、スキー場の点在するエリアに入る手前で、ちゃんと冬用タイヤを装着しているかをチェックしていた。ということは、この先はやはりそういう状況なんだろうということで期待して先へ進んでいくと、まさしくそのとおり。見わたすと周囲の樹木も霧氷が着いていて、幻想的な風景を織りなしていた。路面にはうっすらと雪。ところどころ凍っている。

そんな中でも、ウインタータイヤを装着したR8スパイダーの走りは実に頼もしい。ミッドシップでquattro(クワトロ)四輪駆動システムというアウディの中でも唯一のパッケージとなるR8だが、おかげで滑りやすい路面でも十分なトラクションを得ることができ、不意に挙動を乱すこともなく、いたって安定してイメージどおりにラインをトレースしていける。それは、このカテゴリーで競合する他のスーパースポーツ列強に対してもR8が優れている部分でもある。いかなる条件であろうと扱いやすく、安心して快適に走ることができるのは、R8が強みとするところに違いない。その点では初代R8もライバルをリードしていたように思うが、現行の2代目はさらに全体的に走りが洗練されて、より扱いやすく上質な走りを身に着けている。
アウディR8スパイダー
むろん今回は公道ゆえ控えめに走ったのだが、かつてスポーツドライビングを試した機会に、そのパフォーマンスがいかに高いものであるかもすでに体験済みだ。極めて剛性の高い車体を土台に、よく動いてしっかり路面を捉える足まわりや運転状況に応じて自動的に駆動トルクを最適に前後配分してくれるquattroシステムが効いて、限界域でも唐突な動きがなく、クルマのすみずみまで神経が行き届く感覚もあって、挙動がとても掴みやすく、コントロール性にも優れる。そうした高いポテンシャルは、ごく普通に走っているときはもとより、こうした厳しい路面状況においても絶対的な安心感の高さにつながる。

最高出力540馬力を発揮する5.2リッターV10エンジンも素晴らしいというほかない。たとえこういう場所で、その本領を発揮させることはできなくても、迫力あるエキゾーストサウンドは十分に味わうことができる。大排気量の自然吸気エンジンならではのリニアな出力特性は、滑りやすい路面でも乗りやすいことがよくわかった。

ところで、ひそかに感心するのがフロントのリップスポイラーのデザインだ。こうしたスーパースポーツでは、段差などを乗り越える際に備えて一時的にフロントの地上高を高める機構を採用しているものがいくつか見受けられるところ、R8には設定がないのだが、よほどでなければ干渉することはなく、R8の場合は不要ということがわかった。今回も轍のある路面を走ってもぜんぜん問題なかった。それでいて間隔が広くて見た目にスカスカな印象もない。絶妙な位置関係といえそうだ。
アウディR8スパイダー
せっかくのスパイダーで来たことだし、雪は積もっているものの降ってはいなかったので、雪景色の中でルーフをオープンにする。ソフトトップは50km/h以下なら走行中も約20秒で開閉可能で、サイドウインドウを立てて後方にディフレクターを装着すると風の巻き込みも小さく、外気温が低くてもヒーターを入れておけばあまり寒い思いをすることもなく開放感満点のオープンエアドライブを楽しめるのもこのクルマのよいところだ。なお、写真ではスパイダーらしさを伝えるためあえてウインドウを下ろしていることをお断りしておきたい。

◆1リッター2WDでもストレスなし、シャシー性能が活きるAudi Q2

一方のQ2も、あらためて感心させられることが多々あった。アウディのSUVの中でもエントリーモデルのQ2のみquattroの設定がなく、2WDのみのラインアップとなっているわけだが、その実力は侮れず。こちらはウインタータイヤではなくスタッドレスタイヤが装着されていて、これぐらいの雪道なら問題なく走れることを確認。これも、もともとレベルの高い路面追従性に優れるシャシー性能と、それをアシストする優れた電子制御デバイスも効いてのことだろう。

「1.0 TFSI」には排気量わずか1リッターの3気筒エンジンが与えられるものの、こうした山岳路にありがちな少々の上り勾配でもなんのその。また、行き帰りの高速道路でもストレスを感じさせることはなく、思いのほかよく走ってくれた。3気筒でも音や振動に安っぽい印象があまりないところもよい。

ルックスもなかなかのもので、アウディとしては珍しくチャレンジングなスタイリングは、小さいながらも大きな存在感を放っているし、エントリーモデルとはいえアウディクオリティで仕立てられたインテリアの雰囲気もなかなかよい。最新のインフォテイメントシステムもぬかりなく装備している。
アウディQ2
アウディならではの「バーチャルコクピット」も、触れるたびにナイスアイデアだとつくづく思う。とりわけR8にとってはより恩恵が大きいように思える。というのは、見た目の話で。実用車ならまだしも、R8のようなスーパースポーツではとくに、インパネのもっとも目立つ場所にディスプレイがあるのは少々興ざめする気もするところだが、それでもカーナビはやはりあったほうが重宝するのはいうまでもなし。そんな相反する思いにも、バーチャルコクピットならしっかり応えてくれるというわけだ。むろんカーナビ以外の諸々の情報にもラクにアクセスできて、運転時でも視線移動が小さく目視しやすいところもありがたい。

おそらく筆者にとって今シーズン最後の雪道をちょっと惜しみつつ、滑りやすい路面でもいかんなく発揮する、Audi R8 SpyderとAudi Q2の基本性能の高さをあらためて実感した1日であった。
アウディR8スパイダー
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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《岡本幸一郎》

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