【キャデラック XT5クロスオーバー 試乗】走りはまさにクルージング、余裕あふれるサイズと上質さ…諸星陽一

試乗記 輸入車
キャデラック XT5クロスオーバー
キャデラック XT5クロスオーバー 全 11 枚 拡大写真

アメリカを代表するプレミアムブランドであるキャデラックのミドルSUVが『XT5クロスオーバー』。モデルラインの流れとしては『SRX』の後継となる。

今でこそ、ランボルギーニやマセラティ、そしてロールスロイスといったブランドからもSUVが発売される時代だが、ゼネラルモーターズはそうした動向に敏感に反応。20世紀終盤の1999年にキャデラックブランドに『エスカレード』を導入した歴史を持つ。エスカレードはフルサイズであり、少しコンパクトなモデルを望む声もあったのでミドルクラスとしてXT5の前身となるSRXを2003年に導入。SRXは2代にわたるモデル展開をし、2016年にXT5にバトンを手渡した。

XT5はV6もしくは直4エンジンを搭載する4WD&FFというモデル展開だが、日本に導入されているのはV6・3.6リットルの4WDモデルのみ。ミッションは8ATが組み合わされる。グレードは標準となるラグジュアリーと上級のプラチナムの2タイプのみ。

全長4825mm、全幅1915mm、全高1700mmのボディは堂々としたもの。車重は2トンに迫る1990kgとヘビー級だ。このボディを引っ張るV6エンジンは374馬力/368Nmのスペック。グッと盛り上がるトルクによって押し出されるように加速する様は迫力にあふれている。V6は可変バルブタイミング式のDOHCヘッドを持ち、静かにそして滑らかに回転を上昇させる。

その走りはまさにクルージングという言葉が似合うゆったりとしたもので、スパッ、スパッと機敏な動きを示すコンパクトカーとは双璧を成す落ち着いたもの。あくまでも余裕をもって走るその姿は、日本の道路においては一種独特のものであり、確かな風格を表現している。

高い車高を持つXT5のコーナリングはそれなりにロールを伴うが、大きくロールしながらがんばってコーナーを回るようなクルマではないし、それは似合わない。あくまでも優雅にゆったりとコーナリングするべきクルマだと感じる。ボディの大きさだけではない、内装の上質さなどもそうした無理な走りを求めてはならないと語るような余裕感にあふれているのだ。

普通にSUVというクルマの使い道を考えれば、キャンプへ行ったり、河原へクルマを下ろしてバーベキューをしたりというアクティブなアウトドアライフを想像するだろう。もちろんXT5もそうしたシチュエーションを実現するに十分なユーティティや走破性を持つが、それよりもオンロードでの長距離移動や町並みでの普段使いが似合うのは確か。

標準モデルが619万円、プラチナムが699万円となかなか庶民には手が届かないレベルではあるが、キャデラックというブランドバリューを考えれば妥当、もしくはリーズナブルと言えるかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  2. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  3. 「衝撃の価格」中国メーカーの大型3列シートSUVが話題に!「むしろ経営が心配」の声も
  4. 「復活まじうれし!」「全色欲しい」新型スズキ『GSX-R1000』発表に、SNSは話題沸騰!
  5. トヨタ「クラウン」「アルファード」など21車種、64万台超の大規模リコール[新聞ウォッチ]
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る