市場でもラリーでも大活躍、2台の日産車の物語

モータースポーツ/エンタメ 出版物
『ダットサン510と240Z』
『ダットサン510と240Z』 全 1 枚 拡大写真

『ダットサン510と240Z』
ブルーバードとフェアレディZの開発と海外ラリー挑戦の軌跡
著者:桂木洋二
発行:グランプリ出版
定価:2000円(+消費税)
2018年4月30日刊行
ISBN987-4-87687-355-5

“510”と呼ばれた3代目日産『ブルーバード』、そしてロングノーズ・ショートデッキで日本のみならず海外でも一世を風靡した初代日産『フェアレディZ』。そのどちらもサファリラリーをはじめとした海外ラリーで大活躍した。本書はその開発史とラリー参戦にまつわる事実をまとめたものである。

BC戦争という言葉をご存じだろうか。Bはブルーバード、Cはトヨタ『コロナ』。その2車の熾烈な開発、販売競争を例えたものである。1959年にデビューした初代ブルーバードの後を追うように初代コロナがデビュー。しかし、ブルーバードの好調さにコロナは太刀打ちできなかった。しかし、2代目になったブルーバードはデザインを含めて不評を買い、コロナに大きく水をあけられた。そこで、日産はブルーバードのモデルチェンジを早め3年11か月で3代目になる。それが510ブルーバードだ。スーパーソニックラインIIと呼ばれるスタイリッシュなボディデザインや四輪独立懸架式のサスペンションなど、最新の技術を盛り込んだのだ。日産はそのブルーバードで海外ラリー、特にサファリラリーに参戦し、結果として成功を収める。

そのブルーバードの後を継いで国際ラリーに参戦したのがフェアレディZだ。北米市場を意識し、安価でありながら6気筒エンジンを搭載することでパワーを確保。そのデザインはスポーツカーの常道であるロングノーズ・ショートデッキで大いに人気を博した。ラリーでの活躍も、そのサイズから豪快な走りでファンを大いに沸かせたものである。

本書ではこの2車の開発史をはじめ、そこに至るまでの軌跡が詳細に記されている。また、なぜラリーに参戦したのか、そのラリー車両開発でのエピソードを含め様々な視点で詳細に述べられているのは興味深い。当時のチーム監督をはじめ様々な関係者への取材活動の成果である

なお本書は1994年刊行の新装版である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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