ロールスロイス初のSUV、カリナン を発表…自分で運転、全てに使える“頂点の”1台

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ロールスロイス・カリナン
ロールスロイス・カリナン 全 16 枚 拡大写真

ロールス・ロイスモーターカーズは5月10日、同社として初のSUV『カリナン』を発表した。

◇世界最大級のダイヤモンドから命名

現在多くのラグジュアリーブランドはSUVをラインナップしている。そのトップともいえるロールスロイスからカリナンがデビューした。

「カリナンとは、世界最大のダイヤモンド原石の名前で、その所有は英国王室だ。そこからカットした世界最大級のカリナン1はロンドン塔に保管されている。つまり、ダイヤモンドの頂点の名称を名付けたのだ。まさにロールスロイスのSUVに相応しい名前だろう」と、ロールスロイス・モーターカーズCEOのトルステン・ミュラー・エトベシュ氏は語る。

ロールスロイスのユーザー層は徐々に若返っており、ショーファードリブンカーではなく、ドライバーズカーとして購入されている割合が高くなっている。また、同社が属する市場においても、セダン、あるいはオープンではなく、それ1台で全てをまかなえるクルマが求められており、その答えのひとつがSUVだ。そこでロールスロイスとしても市場の声に応える形で3年前に開発を発表したのだ。

◇リアゲートを持ったロールスロイス

注目すべきはロールスロイスがこれも初めて採用した“ザ・スクラブ”と呼ばれるテールゲートを持つスタイルだろう。そのリア周りのデザインは機能性が重視され、“ジュエリー類”は控えられた。ロゴはナンバープレート設置部分上部の薄いメタルフィニッシャーの上の小さな専用台座に個別に取りつけられ、テールランプのデザインも、全てのライトを格納した2つの狭い縦型のユニットでシンプルに作られている。

そして、むき出しの鉄製エキゾーストパイプとスキッドプレートにより、力強さと可能性を想起させている。

◇2種類のリアシート

ラゲッジスペースは560リットル、プライバシーカバーを外すと600リットル、リアシートを倒すと1930リットルまで拡大可能だ。

リアシートは2種類あり“ラウンジ・シート”と“個人シート”の2つのコンフィギュレーションが選べる。ラウンジ・シートは後部に3人用のスペースを備え、かつ電動可倒式のためこのベンチシートはファミリー向けといえるだろう。

個人シートは、実用性よりもSUVが提供可能な究極のラグジュアリーを重視するユーザー向けだ。後部の独立したシート2席は、ロールスロイス製ウィスキーグラスとデカンタ、シャンパンフルート、クールボックスを収納したキャビネット付き固定式リアセンターコンソールによって分割される。

この個人シートにはガラス製パーティションを用いると、座席エリアとラゲッジルームを分割出来、車中の静かさに加え、熱気・冷気がラゲッジルームに侵入した際も、車内は最適な温度に保つことが出来る。

◇魔法の絨毯は健在

カリナンに乗り込むために、キーのアンロックボタンか、ステンレススチール製ドアハンドルに手を伸ばすと、車高を40mm下げ、乗り込んでスタートボタンに触れると、車高が40mm上がり標準の車高になる。

ロールスロイスがどのモデルでも追及している“魔法の絨毯のような乗り心地”はオフロード、オンロード走行の両方で実現されている。そのために、新型軽量アーキテクチャーと最新型自動レベリング式エアサスペンションを採用。既存のエアサスペンションシステムの全面的にリエンジニアリングするとともに、エンジンの刷新などで実現させた。

サスペンションシステムは、衝撃を緩和するため空気量を増量した大型エアストラットが追加され、エンジンは、571psを発揮。また、可能な限りの低回転(1600rpm)で最大トルクを発生する(850Nm)新型6.75リットルツインターボV型12気筒エンジンを搭載した。

また、サスペンションは毎秒数百万回の計算を行い、車体と車輪の加速に応じて入力情報とカメラ情報を管理。新型ダブルウィッシュボーン式前車軸と5リンク式後車軸が、4輪ステアリングを追加したのと同様のラテラルロール・シアフォース制御を可能にした。

オフロード走行の場合、電子制御式緩衝装置調整システムがけん引力を失いつつある車輪を検知。空気圧縮システムを用いて車輪を押し下げ、各車輪が常に地面に接触し、最大限のトルクが全ての車輪に供給されるようにしている。

これらの機能を最大限活用出来る1つのボタンがある。ロールスロイス社内において“エブリウェア(どこでも)ボタン”と呼ばれているもので、これを1回押せば、カリナンのオフロード性能が全面的に起動する。荒れた道路、砂利道、湿った草むら、ぬかるみ、雪原、砂の上を含め、どのような状況でもスムーズに走行出来るよう、850Nmのトルクを4つの車輪全てに間断なくフル供給するのだ。また、カリナンは最低地上高が高く、深い雪、砂でも走行可能で、最大渡河水深は超高級SUVの中で最大の540mmになる。

発表された価格はイギリスで21万ポンド(税抜き)である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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