仮設トイレと言えば、設置や撤収に手間がかかるが、N&Nコーポレーション(本社・愛知県名古屋市)が「インフラ検査・維持管理展2018」(18~20日、東京ビッグサイト)に展示した仮設トイレはそれが簡単だ。なにしろ自走式の“トイレカー”だからだ。
従来の仮設トイレは設置したい場所までトラックで運び、下ろしてから据え付けて固定する。撤収する場合は逆の手順で行うが、その際タンク内の汚物をすべてきれいに吸い取ってからトラックへ積むことになっている。なかなか手間がかかるのだ。
それをもっと簡単にできないかという発想で生まれたのがこのトイレカーだ。スズキの軽自動車『キャリイ』をベースに、仮設トイレを荷台部分に載せている。一見すると、キャンピングカーや移動販売車のように見える。
仮設トイレ部分は2つの個室と手洗い場があり、住宅のトイレのように広くて清潔だ。給水タンクには便器水洗用と手荒い用として100リットル貯水でき、約100回分の使用が可能だという。一方、汚物タンクは280リットルの大容量で、普段はバルブが閉じられているので臭いが個室にこもる心配もない。
しかも、トイレカーは陸運局から「特殊8ナンバー糞尿車」として正式に車体登録を受けているので、屎尿処理施設にそのまま乗り入れることができる。これまでのような煩わしい手間が必要ないわけだ。
「工事現場で主に使われていますが、これまでの仮設トイレより非常に評判がいいです。最近は女性が働いているケースも増え、女性の間で特に好評です。なにしろトイレのようには見えませんからね」とN&Nコーポレーション関係者は話す。トイレカーの話を聞きつけて、隣の工事現場から「使わせてください」とやってきた人もいたそうだ。
同社ではトイレカーのリース・レンタルをメインに展開している。料金はトイレのタイプにもよるが月15万円がベースとなっており、1日の場合は1万5000円とのことだ。現在、約130台保有し、7割が常時稼働しているそうだ。