【コンチネンタルタイヤ勉強会】ウインター性能とウエット性能の両立…スタッドレスは特殊

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コンチネンタルタイヤ・ジャパンのグレゴリー・メイ代表取締役社長(向かって右)と高橋徹雄執行役員/営業部長
コンチネンタルタイヤ・ジャパンのグレゴリー・メイ代表取締役社長(向かって右)と高橋徹雄執行役員/営業部長 全 10 枚 拡大写真

2018年7月24日。コンチネンタルタイヤから新作のスタッドレスタイヤ『バイキング・コンタクト7』を発売。これに伴い、メディアを集めた勉強会が開催された。

まずは、コンチネンタル・ジャパンの技術・製品担当部長である高橋徹氏より、ウインタータイヤのグリップメカニズムとコンチネンタルタイヤの設計思想について説明が行われた。

雪上および氷上のトラクション・メカニズムにはいくつかの要素がある。キャタピラのように雪にギヤの歯が深く刺さるような状況となれば非常に高いグリップ力の確保が可能。スノーチェーンも同様のグリップ理論で、「バイキング・コンタクト6」のパターンデザインにも採用されている。サイプの角度は大工道具のカンナの刃の角度が理想であるとして、その角度を目指した設計が行われている。

雪上でトラクションを得るために最も大切なのはラバーつまりコンパウンドで、とくにスリップ率が低い(一般的に考えれば速度が低い)ためにはラバーの性能が重要。スリップ率が上がっていった状態でのグリップを確保するのがブロックのエッジ。ブロックのエッジを増やしていくとその効果が高まる。そのうえでサイプをプラスすることで広い速度域でのグリップ確保ができる。スリップ率が高い領域ではラバーよりもブロックのエッジとサイプの効果のほうが、高いグリップを生むということになる。

タイヤはアイス性能に振るとスノー性能が落ち、スノー性能に振るとアイス性能が落ちる。スタッドレスタイヤはその両方を担う必要があり、タイヤの開発としては非常に難しい。スタッドレスタイヤというと雪が降る地域なら世界中で使われていると思われがちだが、スタッドレスタイヤが使われるのは、ヨーロッパではスカンジナビアの一部、ロシア、中国、日本、北米の一部で、非常に小さなマーケットで売られる特殊なタイヤで、コンチネンタルの本国であるドイツでは販売されていない。


ドイツなどヨーロッパなどで使われるヨーロピアン・ウインタータイヤはアイス路面よりも、ドライ、ウエット、シャーベット状スノー路面での性能が重視される。ヨーロッパでは、もっと高速で走れる性能が求められるため、ショルダー部分が丸いラウンドショルダー形状のウインタータイヤを用いる。高速でのレーンチェンジやワダチ越えなどの性能はラウンドショルダーのほうが有利。だが、スタッドレスタイヤは氷上路面でのグリップを確保し接地面積を広げたいのでスクエアショルダーとなっているのが特徴。そこに柔らかいゴムを使っている、というわけだ。

日本のスタッドレスが本領を発揮するのはアイス路面。とくに北海道の都市部などでみられるような、昼間に雪や氷が溶け、夜のうちに再凍結。それをタイヤが磨く、いわゆるブラックアイス状態はかなり特殊な路面状況であるが、そこでの性能が重視されていて、今回発売するバイキング・コンタクト7もドライ、ウエット、シャーベット、アイスといったあらゆる路面に対応するタイヤとなっている。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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