「いつかはGS」ファン待望のBMWアドベンチャー、『R1250GS』5年ぶり新型…インターモト2018

R1250GS HP
R1250GS HP全 29 枚

ドイツ・ケルンにて開催中の「インターモト」(二輪車の国際見本市、10月2日~7日)では、BMWが「GSシリーズ」の新型フラッグシップモデル『R1250GS』、そしてスポーツツーリングの新型『R1250RT』を発表した。

GSシリーズの最高峰がモデルチェンジするのは、2013年登場の『R1200GS』から5年ぶりとなる。人気モデルだけに、バイクファンらは待望であった。

カム山を切り替えて、最適なバルブリフト量を

BMW R1250GSBMW R1250GS
新型の水平対向2気筒エンジンは排気量を85ccアップ(1169cc→1254cc)し、新たな可変バルブタイミング・リフト機構「BMWシフトカム」を採用。これは吸気側カムシャフトに、ラージカムとスモールカム、2つのカム山を隣り合うようにして設け、スロットル開度や車速、エンジン負荷に応じてカムを切り換え、バルブリフト量や開閉タイミングをフレキシブルに変えるというもの。

つまり、アクセル開度の小さいうちは低中速用カムでバルブリフト量を少なくし、大きく開ければ高速用カムでバルブリフト量を増やす。力強い低中速トルクと高回転パワーが両立でき、最大トルクを14%(125Nm→143Nm)向上し、発生回転数は6500rpm→6250rpmに低く抑えた。

常用域のトルクアップは明らかで、扱いやすさ、ゆとり、速さに大きく影響するのも間違いない。最高出力も125PS→136PSで、11馬力のアップだ。

アッパーグレードとなるのが「スタイルHP」で、オフロードでの走破性を高めるために、ラジエタープロテクターやフレームプロテクション、ゴールドクロススポークホイール、ラリーシート、ラリーフロントガラスなどを装備し、BMWモータースポーツカラーを採用している。

元祖アドベンチャー、人気は絶大!

1980年 R80G/S1980年 R80G/S
バイクファンになら説明するまでもないだろう、BMWのGSシリーズは「一生つきあう」と言わんばかりの熱烈ファンが世界中に存在する。どうしてなのか……!? 未舗装路も走れる装備、走破性を持ちながら、オンロードでは大排気量エンジンのゆとりを活かして高速道路もツアラーモデルのようにスピーディに、そして快適に走れる万能マシンが「アドベンチャー」と呼ばれるセグメントだが、その先駆けが「GS」であり、後継モデルたちもそのシーンを牽引している存在なのだ。

水平対向2気筒エンジンを搭載し、1980年に発売された初代『R80G/S』は、世界で最も過酷なラリー「パリダカールラリー」で4回も優勝するという輝かしい功績を残し、金字塔を打ち立てる。88年には『R80GS』と『R100GS』の2本立てとなり、94年の『R1100GS』からはニューエンジンで排気量が上げっていき、99年には6速化した『R1150GS』、そして2004年に『R1200GS』として生まれ変わり、その後DOHC化、空水冷化するなど進化と熟成を繰り返し、現在に至る。

◆世界中の熱烈ファンがもう新型を狙っている!

R1250GS HPR1250GS HP
その人気ぶりは凄まじく、2008年からは世界一のGS乗りを決める「INTERNATIONAL GS TROPHY」なるものも2年に1回開催される。これはGSだけのワールドカップ、いやオリンピックか……!? 各国代表が3人組のチームとなって川を渡り、崖を登り、さまざまな困難を乗り越える。ライディングテクニックや体力はもちろん、冒険を乗り切るためのいろいろな能力が求められ、それこそが“GSワールド”なのだ。

「GS」に憧れるライダーは多く、「いつかはGS」「次もGS」「ずっとGS」といった具合で、今回の新型もファンらの注目必至で、バイクファンらが、そしてGS乗り当人たちがああでもない、こうでもないと、すでにザワついている。日本導入が待ち遠しいかぎりだ。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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