2019年ダカールラリー参戦、HINO Team SUGAWARA の新型車両は750馬力で総合5位以上を狙う

勝つための車両、チームはクラス優勝10連覇がかかる

シェイクダウンと実戦テストは終了

攻めの姿勢で新開発、高速指向

手前が新開発した2号車
手前が新開発した2号車全 16 枚

勝つための車両、チームはクラス優勝10連覇がかかる

来2019年のダカールラリーに向けて、ダカールの鉄人の異名をとる菅原義正氏率いるHINO Team SUGAWARAは、19日、新しいチーム体制と新開発の車両とともに決意表明を行った。チームはクラス優勝10連覇がかかっているが、狙いはもっと上のようだ。

【画像全16枚】

2019年のダカールラリーは、大会史上初となるペルー1カ国での開催となる。レース期間、総距離数(約3000km)は例年より短縮されるが、昨年大量のリタイアを出したピスコ砂漠も健在だ。コースが短縮されるということは、ただでさえアドベンチャーラリーからスプリントレースをリエゾンでつなぐ傾向が強くなり、砂漠のF1とまでいわれる近年のダカールラリーでは、排気量の小さい(10リットル未満クラス)日野にとってはより厳しくなる可能性がある。しかも、今年は同じクラスにフォードの参戦もあり、まったく予断を許さない。
HINO Team SUGAWARA2019年ダカールラリーの決意表明HINO Team SUGAWARA2019年ダカールラリーの決意表明
2019年は日野のクラス優勝10連覇(現在9連勝中)がかかった重要なレースでもある。しかし、「目標はあくまでトップ5(総合5位以内入賞)であり、連覇を守るための車両ではなく、勝つための車両がほしかった」(2号車ドライバー菅原照仁氏)と、エンジンや車体から新開発した新型車両を投入する。

シェイクダウンと実戦テストは終了

すでに6月には新型車のシェイクダウンを兼ねたテスト走行を終え、7月には「SILKWAY RALLY」(2009年に始まった中国・中央アジア・ロシアをつなぐオフロードラリー)に新しいチーム体制での実戦テストも行っている。テスト走行では日野自動車 下義生代表取締役社長自ら運転してその完成度を体感したという。通常、市販車ベースでも世界選手権クラスの競技車両となると普通の人は運転するのさえ簡単ではない。

しかし、下社長はテストコースの140km/hバンクコーナーを難なくクリアできたそうだ。スクラッチ開発の競技車両ながら完成度の高さを伺わせる。なお、実戦テストとなったSILKWAY RALLYでは、2号車総合6位、1号車総合9位で2台とも完走している。このとき、HINO Team SUGAWARAの新しいナビ、メカニックやサポートチームも参戦し、本番のダカールラリー向けた貴重な経験を積むこともできたという(菅原義正氏)。
HINO Team SUGAWARA2019年ダカールラリーの決意表明HINO Team SUGAWARA2019年ダカールラリーの決意表明
鉄人、菅原義正氏が運転する1号車は、前回の車両をベースにリファインする。2018年までの車両は日野『レンジャー』をベースとしたもの。2019年モデルの主な改良点はサスペンションをやわらかめにしたことと、キャブサスに横方向のダンパーを追加し、振動を抑え、高速安定性を向上させた。リーフスプリングはマルチサスと呼ばれるタイプ。1号車はさらに板バネをオイルとともにゴムシールで保護している。

攻めの姿勢で新開発、高速指向

2号車は、フレームとエンジンからダカールラリー向けに設計開発された。フレームはボックスタイプとし、重量は据え置きでねじれ剛性を従来モデルの2倍とした。市販車のフレームはコの字型が一般的だが、ボックス構造の専用フレームで、まず高速走行、安定性のため足回りセッティングの基礎部分をしっかり作る。これにより荒れた路面でも直進安定性を確保できるサスペンションが実現できる。加えてホイールベースも200mm延長し、より高速指向の車両になっている。
HINO Team SUGAWARA2019年ダカールラリーの決意表明HINO Team SUGAWARA2019年ダカールラリーの決意表明
エンジンはA09をベースにレースチューンしたもの。2018年までは700馬力だった出力を高回転型にモディファイし750馬力まで引き上げた。同じエンジンで50馬力も上げるのは相当難しい。エンジントルクは変わっていないというので、高回転型エンジンだ。オフロードラリーということを考えると、チューニングの方向は逆のような気もするが、近年のダカールラリーは、S字も土手に乗り上げながらなるべくまっすぐ進むほどだという。ストレートでなるべく高い速度を維持しないと上位陣とは戦えないと、照仁氏はいう。

クラスが違うのでそれはしょうがないのだが、チームの目標はあくまで総合順位で5位以内なので、攻めの姿勢を崩さない。新型車両のパワーウェイトレシオは上位クラスの車両並になっている。ただ、馬力と高速走行に余力があれば、スピード勝負の戦いに車両、ドライバーともに余裕がでる。

最後に照仁氏は「勝つためには新型が必要だった。これはもっと上を狙うための第一歩だ」と力強く語った。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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