スタートアップ大国イスラエル、その秘密と現状を知る…Aniwoのツアーに参加した

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イスラエルでイノベーションプラットフォーム事業を展開するAniwoがツアーを開催。歴史や最新スタートアップ事情を見た
イスラエルでイノベーションプラットフォーム事業を展開するAniwoがツアーを開催。歴史や最新スタートアップ事情を見た全 21 枚

国民一人当たりのVC(ベンチャーキャピタル)投資額、1万人当たりのエンジニア数、アメリカNASDAQ上場企業数(米国以外)世界トップのイスラエル。著しい成長を続けるイスラエルは今、年間800社ものスタートアップ企業が生まれる、スタートアップ大国となっている。

インテル、ダイムラー、BMW、コンチネンタルといった自動車関連企業かつビッグネームとの提携や巨額投資も相次ぎ、自動車業界も無視することはできない存在となっている。

そんなイスラエルの歴史的背景から、最新のスタートアップ事情までを味わえるツアーが今月3日から8日開催された。ツアーを企画・運営したのは、「賢者の選択」で有名な矢動丸プロジェクトとイスラエルでイノベーションプラットフォーム事業を展開するAniwoだ。

Aniwoについては詳しくはこちら

このイスラエルツアーでは、イスラエル日本大使館から現地VC、スタートアップ、大学を回り、イスラエルのスタートアップ文化がどのようにして形成されているかを知ることができる。また最終日には、聖都エルサレムにも訪問し、歴史的背景の理解を深めることもできる。

「オリジナリティを尊重する」文化

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ツアーはイスラエル日本大使館を訪問するところから始まる。今回我々にイスラエルの現状を教えてくれたのは、イスラエル日本大使館公使、大隈氏だ。

イスラエルは経済的には日本の15分の1ほどのGDPだが、人口も15分の1なので、生活水準は日本と変わらないという。しかし小さい国であるがゆえに、「つながりたい人にすぐつながれる」という環境がスタートアップの隆盛を後押ししている。「若さ」も手伝って意思決定が早く、またAI教育、サイバー教育などにもいち早く参入している。

一方で、テクニオン大学など世界有数の大学を抱えるイスラエルだが、全体的な学力水準は低いという。

これは日本とは違い「オリジナリティを尊重する」文化が良くも悪くも教育に反映されているからと考えられる。基本的な教育スタイルは成績優秀な人材を引き上げる形(優秀な人材のみを集めて特別学校に入れる、など)なので学力格差が大きくなる。建国からまだ70年、イスラエルの教育が後にどのようになっていくのかは見物である。

またこの「オリジナリティを尊重する」文化と、生産現場との相性が良くないというのもネガティブな面として挙げられる。ライン生産がうまくいかないのだ。ライン生産をしようとすると、ライン工がオリジナルのパーツや手法を導入し始め、成り立たなくなるのだという。

※余談だが、イスラエルに出店しているラーメン屋の店主によると、2日も店を開けると味が変わってしまう(店員が勝手にこっちの方がいいと変える)そうで、片時も目を離せないようだ。

こうした文化的背景から経済格差も生まれているものの、外交問題などの影に隠れ顕在化には至っていないそうだ。

スタートアップの根源は「兵役」

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このツアーの中ではイスラエルのスタートアップ企業であるNETAFILIM社 Head Of Professional ServicesのRam Lisaey氏や現地VCのVertex社のDavid Heller氏、イスラエルPayPal社のErez Dickman氏に話を伺う機会があった。

彼らの話に共通するキーワードとして度々登場したのが「兵役」である。

イスラエルでは高校卒業後、ユニットや個人により期間が異なるが、男性は約3年、女性は約2年の兵役がある。前線で銃を握るような部隊に配属される人もいるが、高校までで特筆すべき成績を残した人は、8200部隊(イスラエル国防軍の諜報部隊組織)をはじめとしたインテリジェンス部隊に配属される。

実はイスラエルの起業家はインテリジェンス部隊の出身者が多く、ここで学んだ軍事技術、人脈、課題解決能力等を生かし起業するのだ。

一方で、国防軍や政府は、技術が公に流出していくことをどう思うのか。Vertex社のDavid Heller氏はこう答えた。

「そもそも技術をそのまま流用しているということはない。技術を進化させるノウハウを学び使っているだけ。ただ国としても国を脅かすような情報を流さない限り、政府は何も言わない風習もある。」

アメリカでは政府機関で仕事した人材(例えばDARPAやNASAなど)は、その近しい分野の企業で働こうとすると、国に制限をされる。しかしイスラエルではそういったことはないようだ。

必要は発明の母

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かのマサチューセッツ大学と肩を並べるともいわれるイスラエル工科大学(テクニオン大学)。学長自らが、イスラエル建国以来のイノベーションの歴史を教えてくれた。

ユダヤ人向けの工業大学として1912年に設立されたテクニオン大学。当初は17人の生徒でスタートし、1924年~48年にはエンジニアの育成にだけ特化した。転機が訪れたのは1954年、「航空機」の学部がきっかけだった。当時、四面楚歌だったイスラエルの存続には空軍の力が必要不可欠だったからである。同年、航空機会社が設立するが、そこで働く5000人の社員のほとんどがテクニオン大学出身だったという。

1970年に起きたヨルダン内戦では、フランスからのミサイル用半導体部品の供給が止まった。これにより自国での生産を余儀なくされたイスラエルは、開発に着手、これが昨今のハイテク技術の始まりだそうだ。

イスラエルは「必要は発明の母」のもと発展してきた国であると語られた。イスラエルはその環境、情勢ゆえに国防に注力し、必要に迫られ急速な発展を遂げてきた。現代の日本にはない危機感をイスラエルに住む人々、一人一人が抱えている。

最先端と古の文化が共存する

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ツアー最終日には聖都エルサレムを回るプランが用意された。

エルサレムは今までの「先端」や「イノベーション」の世界とは隔絶された古い文化の集まる街である。ツアーの参加者であり、本企画の視察団長である千本会長は「先端と古い文化の入り乱れる国、いま世界で一番注目されているイスラエルを是非観ていただきたい」と話した。

イスラエルは世界に離散していたユダヤ人が帰還して安全に暮らすために建国された国であり、その文化は深くユダヤの文化に由来しているものが多い。

シャバットと呼ばれる安息日では、金曜の夕方から土曜日まで「働いてはいけない日」に入る。基本的に火を使うことも制限される。このため町では交通渋滞がなくなり、ホテルでの料理もサーブされなくなる(実際にはIHで温めなおした料理を出すことが多い)。またエレベーターのボタンを推すことも許されず、各階停車のエレベーターが用意されるらしい。

このようにスタートアップが生み出す最先端の技術と、古の文化やシステムが表裏一体となって、それを目の当たりにすることができるのがイスラエルの面白いところだ。

次回のツアー実施は未定だが、イスラエルのスタートアップエコシステムに少しでも関心を持たれた方は、一度訪問してみることをお勧めする。日本とは真逆のその文化とイノベーションに驚き、感動することになるだろう。

Aniwoについてはこちらから

《吉田 凌》

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