農学系女子がリケジョに転身!ヤマハでバイク開発「ブレーキのスペシャリストに」

「ブレーキのスペシャリストになりたい」と話す渡邊真帆さん
「ブレーキのスペシャリストになりたい」と話す渡邊真帆さん全 7 枚

ヤマハ発動機に入社2年目の渡邊真帆さん(PF車両ユニット 車両実験部)は、新型バイクのABSブレーキを担当するセクションで働いている。

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男性ばかりのエンジニアに混ざって、ABSの動作確認などを細かくチェック。もちろん完成車に至るまでは、さまざまな条件下で実験担当が試走を繰り返し、仕様が決まっていくのだが、渡邊さんの所属するグループは台上評価、つまりシャーシダイナモで走行状態を再現し、ブレーキの効き具合やフィーリングを最適化していく。バイクメーカーという技術畑の中に紅一点、最近話題の“リケジョ”=理系女子である。

バイク=不良という認識だった

ヤマハ発動機 PF車両ユニット 車両実験部の渡邊真帆さんヤマハ発動機 PF車両ユニット 車両実験部の渡邊真帆さん
----:女性が自分だけで、やりにくいと感じることは?

渡邊さん:大学生のときのインターンシップ(就業体験)でヤマハ発動機にお世話になって、そのまま就職しました。(職場の男性エンジニアたちに)気を遣っていただいているのはわかりますが、ダメなときは厳しく指導してもらっています。それより、いま手がけている車両はスポーツモデルなのですが、実車に跨ると地面に足が届きません。対象とするお客様とギャップが出て、そこがもどかしいところです。

----:もともと理系女子だったのでしょうか?

渡邊さん:いいえ、大学生の頃は農学系で環境のことを学んでいまして、有機栽培ですとかモモやブドウの研究をしていたんです。

----:バイクはいつから好きに?

渡邊さん:それまでも原付スクーターには乗ったことがありましたが、大学生のときに先輩が乗っているバイクのリアシートに乗せてもらい、こんなにも楽しいんだなっていうことを知りました。そこから免許をとって『YZF-R25』を購入し、通学やツーリング、たまにサーキットも走っていましたが、自分でライディングが下手だと感じていたので練習会にもよく参加していました。

入社してからオフロードにも興味が出て『TT-R125』を買い、いまでは大型二輪免許も取得したので『MT-10SP』を含め、3台を所有しています。
ヤマハ YZF-R25ヤマハ YZF-R25
----:同時に3台も?

渡邊さん:いろいろな乗り方をしたいなって…。そうすると1台に絞れなくなっちゃって、どんどん増えてしまったんです(笑)

----:一気にバイク好きになったのですね。

渡邊さん:高校生のときはバイク禁止でしたし、“バイク=不良”という誤解したイメージだったことを覚えています。バイクは自分で乗りたいと興味を持たないと触れる機会もないので、そういう間違ったイメージを抱きやすいのでしょうね。

----:バイクのどこに惹かれるのでしょうか?

渡邊さん:まず見た目がカッコイイですし、風を肌で感じて走れるところが好きです。

女性でも気兼ねなく乗れるスポーツバイクを

ヤマハ発動機 PF車両ユニット 車両実験部の渡邊真帆さん(右)ヤマハ発動機 PF車両ユニット 車両実験部の渡邊真帆さん(右)
----:農学系からリケジョへ転身って、苦労もあったのでは?

渡邊さん:工具の使い方や機械のことが分からなかったので、もっとバイクの整備を自分でしておくべきだったと思いました。

----:やり甲斐を感じるときは?

渡邊さん:今もやり甲斐は充分ありますが、まだ自分が1台の完成車を評価できるところまでいっていないので、そこまで辿り着けていません。

----:ABSブレーキを担当するグループに所属しているとのことですが、日々思うのはどういうことですか?

渡邊さん:お客様がブレーキを掛けたときに不安に感じないようなフィーリングやタッチにしたいと思っています。

----:これから、やりたいことも沢山あるのでは?

渡邊さん:ブレーキのスペシャリストにもなりたいですし、車体全体を見れるようにもなってみたいですね。まずはどんなセクションでもやってみたいと思います。

----:どんなモデルをつくりたいですか?

渡邊さん:やってみたいのはスポーツモデルですが、女性として自分に何ができるかなと考えると、難しいのかもしれません。でも、女性でも気兼ねなく乗れるスポーツバイクがつくれたら最高ですよね。

ヤマハ発動機で一体どんなバイクがつくれるか、ビジョンはまだボンヤリしているのかもしれない。ただし、これまでにはなかった、女性ならではの視線を活かしたニューモデルをいつかつくりたいと、渡邊さんの胸の内は希望に満ちあふれている。まずはこの上ない絶妙なABSブレーキを、世に送り出すところからスタートだ。
ヤマハ発動機の女性エンジニア、と渡邊真帆さん(左)と神谷久美子さん(右)ヤマハ発動機の女性エンジニア、渡邊真帆さん(左)と神谷久美子さん(右)

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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