【マツダ3 新型試乗】走りに個性光る、ベストなエンジンはディーゼル…渡辺陽一郎

マツダ3 新型
マツダ3 新型全 8 枚

日本の5ドアハッチバックでは、『マツダ2』(旧デミオ)やホンダ『フィット』などの5ナンバー車が人気だが、海外では全幅が1800mm前後に達するミドルサイズが売れ筋だ。このカテゴリーに含まれる新型『マツダ3』(旧アクセラ)を試乗した。

ベストなエンジンはディーゼル

マツダ3 新型(SKYACTIV-D 1.8)マツダ3 新型(SKYACTIV-D 1.8)
まずセダンの2リットルガソリンエンジン搭載車を試す。エンジンは実用回転域に余裕があって扱いやすいが、車両重量が1350kgと少し重いから、十分な性能とはいえない。有段式6速ATはダイレクト感が伴う半面、無段変速のCVTに比べると、走行状態によってはエンジン回転が高まりにくく加速感が物足りない。

6速MTも採用してドライバーのコントロール領域を広げると良いが、『CX-3』とは異なり、マツダ3には2リットルガソリンと6速MTの組み合わせがない。

1.8リットルクリーンディーゼルターボは、1500回転以下では駆動力が下がるが、そこを超えると相応に力強い。高回転域まで回さなければ、2.5リットルのガソリンエンジンに近い感覚で運転できる。

SKYACTIV-Xは2リットルガソリンに比べて価格が67万円高いので、ベストなエンジンはディーゼルだ。ディーゼルも2リットルガソリンに比べて27万円高いが、エコカー減税額を含めると、実質17万円前後の価格上昇に収まる。

前方視界は良いが…

マツダ3 新型マツダ3 新型
走行安定性は良好だ。機敏に曲がる性格ではないが、車両の向きが操舵角に応じて正確に変わる。後輪は突っ張り感を抑えながら、適度に踏ん張る。挙動の変化が穏やかに進み、アクセル操作で多少は姿勢を変えられるから、運転の楽しさも高まる。

乗り心地は少し硬いが、タイヤが上下方向へ素直に動いて粗さを意識させない。走行安定性と乗り心地は優れた部類に入る。

取りまわし性は、前方視界は良いが、側方はいま一歩で後方は見にくい。特に5ドアハッチバックの斜め後方の視界は劣悪だ。『C-HR』にも当てはまる話だが、ここまで視界が悪いと安全性に悪影響を与えてしまう。

マツダ3は走りの個性、インプレッサは機能の総合力

マツダ3 新型マツダ3 新型
後席は閉鎖感も気になる。外の景色が見えにくく、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半だ。前席の下に足が収まるから4名乗車は可能だが、膝先はフィットよりも狭く窮屈に感じる。マツダ2は前席優先と割り切れても、マツダ3ではファミリーユースも想定される。選ぶ時には注意したい。

ライバル車のスバル『インプレッサ』に比べると、2リットルエンジンの動力性能は同等で、走行安定性と運転感覚の楽しさはマツダ3が勝る。後方視界と後席の居住性はインプレッサの圧勝だ。マツダ3は走りの個性、インプレッサは機能の総合力に魅力がある。

マツダ3 新型マツダ3 新型

■5つ星評価
パッケージング:★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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