【懐かしのカーカタログ】「エアロデッキ」も輝いた…ホンダ アコード(3代目)1985年6月

ホンダ アコード(3代目)1985年6月
ホンダ アコード(3代目)1985年6月全 5 枚
「あんなクルマもあったなぁ」「いい時代だった」…当時、憧れを抱いて手にしたカタログのページをめくりながら“在りし日”を振り返る。新連載『懐かしのカーカタログ』第3回目は、3代目ホンダ『アコード』だ。

◆1台の重み・存在感が大きかった時代

1枚目の写真でカタログの背後に写っているのは、発表当時、報道関係者に配られたプレスキットだ。URLが記されたカード1枚をサッと手渡され「広報資料や写真、カタログはここからダウンロードできます」が一般的になりつつある現在とは大違いで、コンセプト/エクステリア・インテリア(デザイン)/メカニズム/データと全4分冊、印刷入稿用の清刷りやモノクロ紙焼き写真も同梱されており、3冊のカタログを加えれば重さはゆうに1kgを超えた。

言いたいのは、当時そういう資料を手渡されたときに伝わってきた、新型車にかけるメーカーの意気込みやエンジニアの熱意が、果たして今の方式で感じられるかどうか?ということ。時代背景が激変し、仕方ないかもしれないけれど、今に較べ、新型車1台1台の重み、存在感は比べ物にならないくらい大きかった時代だ。


3代目アコードは、初代のキープコンセプトだった2代目に代わって登場。“プレリュードのようなリトラクタブルヘッドライトのセダン(後に欧州仕様と同じ固定ライトの“CA”も投入された)”として話題になったが、日常生活を共にするセダンだからこその新しさ、ワクワク感で溢れた点こそ注目すべきセダンだった。同時に登場したエアロデッキも、2ドアのロングルーフにガルウイング型(真横から見れば、だったが)テールゲートを組み合わせた、ユニークでスタイリッシュな新しいクルマだった。

◆見た目だけでなく実力も“ただならぬもの”だった


スタイリングも斬新で心をときめかされたが、クルマとしての実力もただならぬものだった。とくに2600mmのホイールベースによる穏やかな乗り味、静粛性の高さ、足が組めた後席の広い居住空間は印象的だった。今見てもホンダ車中最良のデザインと思えるインパネには、日本精機製の夜間はブルーグリーンのクールなバックライトが灯るメーターが置かれ、シフトレバーをリバースに入れると、キンコンキンコン!と上品なチャイムの音がした。

一方のエアロデッキは、大きめのドアを開け乗り込むと低全高(1335mmだった)のスポーティな味わい。同時にルーフまで開くリがゲートを持つ使い勝手のよさも魅力で、ホンダの広報車を借り出した当時の僕は、自宅から離れた場所でちょっとした庭仕事をしに行くことになり、園芸用品をどっさり積み込んで出かけたもの。載せたのはスコップや長靴だったが、エアロデッキが、新しい生活スタイルを演出してくれるスマートなクルマであることを実体験したものだった。


4輪ダブルウイッシュボーンサスペンション、アルミ製シリンダーブロックの軽量、高性能エンジンなど、メカ的なこだわりはホンダ車ならではだった。セダンには兄弟車の『ビガー』も用意された。また1988年4月には日本車としては初の逆輸入車として、アメリカ製のクーペを導入。その流れは、4代目アコードのスタイリッシュなU.S.コードワゴンに繋がった。

とにかく個人的にもこの3代目アコードは「欧州車のどれかではなくこのアコードが欲しい」と強く思ったほどだった。アコードは現在も続いているが、存在感のある、輝いていた頃のアコードだった……と思う。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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