フロントウィンドウを使ったARメータークラスタ…OLIVESTONEが考えるCASE車両のUX[インタビュー]

フロントウィンドウを使ったARメータークラスタ…OLIVESTONEが考えるCASE車両のUX[インタビュー]
フロントウィンドウを使ったARメータークラスタ…OLIVESTONEが考えるCASE車両のUX[インタビュー]全 1 枚

人間工学は、車両の設計においても欠かせない学問分野のひとつだ。疲れないシート、操作しやすいコンソールやスイッチ類。見やすいメータークラスタなど、運転しやすいクルマ、ひいては、誤操作や疲れも少ない安全なクルマの実現に貢献する。CASEなどの次世代車両は、さらにUI、UXという概念も欠かせない要素となる。

とくにメータークラスタは、運転にもっともかかわる部品であるにもかかわらず、自動運転やコネクテッドカー技術が広がる中、運転にかかわるセンサーや情報は増える一方だ。情報ごとの値を表示するメーターからフラットディスプレイを利用したマルチファンクションディスプレイに置き換わりつつある。連動して、画面操作や画面の遷移、表示方法に、UI/UX(User Interface/User Experience)をベースとした新しい知見が求められている。

次世代車両のデザインやUI/UXについて、10月31日に東京モーターショーシンポジウム2019【レスポンスセミナー】CASE・MaaS時代の車内UI/UXの最前線で専門家に最新動向を語ってもらう。その講演者の中から、オリーブストーン 取締役 UXデザイン統括 キム・ギョンス氏にCASE車両のメータークラスタUI/UXについて聞いた。

車両のUI/UXを手掛ける会社と聞いていますが、日本では類似の会社はあまり多くありません。まず、オリーブストーンはなにをやっている会社なのでしょうか。

会社のミッションは、ユーザー経験(UX)の本質を研究することです。社員数は26名で、多くがクリエイターという会社です。業務としては、車両に特化しているわけではありません。商品デザイン、企業ブランドのデザインなども考えます。UXデザインでは、製品やアプリの操作性の向上、画面でのインタラクションや製品3Dアニメーションを考えるモーションデザインを行っています。

社内には、アプリやソフトウェアの開発チームもあり、AndroidやiOSのアプリ開発も行っています。開発を手掛けるのは、UI/UXデザインをする上でそれが本当に便利なのか使いやすいのかを検証する必要があるからです。UI開発においてユーザーのフィードバックは重要な開発プロセス要素です。弊社ではプロトタイプ開発を含め、実装もできる耐性をとっています。

具体的にはどのような製品を手掛けているのでしょうか。

例えば、重機のコントロールアプリのUIの設計、スマートVTMというネットバンキングやカードの発行を行う端末デザインなどの実績があります。プロジェクトの形でクライアント企業とともにデザインやUIを考えてプロトタイプもつくりながら実装していきます。

自動車関係では、主に運転席まわりのメータークラスタと後席のディスプレイです。今年のCESで展示されたヒュンダイのIVIプラットフォームのUIデザインも担当しています。メータークラスタは、CASE車両においてさまざまな提案が各社からだされているところです。多数の情報をいかにわかりやすく表示するか、デザインとUIが問われる部分です。

後席のディスプレイというのは、ミニバンなどに取り付ける後席モニターのことでしょうか。

いえ。もっと多機能な情報端末のディスプレイを考えています。車両の情報は、おもにドライバーのためのものでしたが、シェアリングカーや自動運転カーでは、助手席や後席の人に与える情報も重要になってきます。コネクテッド機能が強化されると、後席の人も手元で地図画面をみたり、コンテンツを見たりしたいでしょう。イメージは、後席のディスプレイオーディオと思ってください。

現状でドライバーのスマートフォンやタブレットを、車両のナビやディスプレイオーディオとつなぐ機能はありますが、CASE車両においては同乗者の端末も、同様につながってくるはずです。目的地検索、地図表示、ナビ設定、エアコンや照明の設定、テレビや音楽再生も後席から操作が可能になります。

高級車には、そのような機能はすでに搭載されていますが、タブレットやスマートフォンと連携できるということは、一般的なクルマにも搭載しやすいことを意味します。後席の独立したディスプレイオーディオは、シェアリングカー、ライドシェアでは有効なのではないでしょうか。

これからのCASE車両の進化の方向性についてどのように考えていますか

セミナーでは、メータークラスターのアナログからデジタルへの変化や歴史についても簡単に触れたいと思っています。その中でも説明しますが、さまざまな制御装置、ADAS機能により車両のセンサー類の数が増えています。これにコネクテッド機能が加わり、クルマに必要な情報は増える一方です。ディスプレイの重要性も増すばかりです。

視線をたくさん動かさないためには、物理的なメーターからマルチファンクションディスプレイへの流れは必然です。次の進化は、クラスターそのものをなくして、フロントウィンドウ全体をHUDとしたディスプレイです。これにAR技術を適用すれば、さらに新しいUXを提供できると考えています。

東京モーターショー/10月31日開催CASE・MaaS時代の車内UI/UXの最前線セミナーはこちら

《中尾真二》

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