少量多品種・全体最適が生んだフレキシブル生産…マツダ生産技術の秘密

マツダ生産技術見学会
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マツダの地域ごとの販売台数をみると海外での販売がおよそ86%だというが、グローバルのシェアでいくと2%ほどとなる。海外でも認知されているグローバルブランドでありながら、業界のスモールプレーヤーだ。

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「スイング生産」と「フレキシブル生産」で対応

マツダ生産技術見学会マツダ生産技術見学会グローバルで11の生産拠点を持つとはいえ、トヨタの90以上(2012年:関係会社工場含む)と比べると、工場の規模、生産能力の違いは明かだ。また、新世代車両以降、モデルやラインナップが整理されたが、マツダの生産体制の全体傾向としては、少量多品種といっていいだろう。

もっとも、成熟市場が増えた現在、少量多品種の傾向は、製造業全体に見られる傾向でもある。工場をたくさん持つ製造業なら、工場ごとに製品ラインを分割させる戦略が可能だが、拠点やラインが限られた状況では、ラインを部分最適するより、拠点をまたいだ全体最適の戦略が求められる。

マツダは、この課題に対して「スイング生産」と「フレキシブル生産」で対応する。スイング生産は、おなじ工場で複数車種(乗用車からクロスオーバーまで)の生産を機動的に行う縦スイングと、グローバルの拠点間で生産計画を分散させる横スイングの2種類がある。

これを実現するには、工場のラインが、車種やモデルごとの専用ラインではなく、複数の車種に動的に対応する必要がある。そのために考案されたのが、フレキシブルラインだ。

3つのモジュール化された機能を持つ生産ライン

マツダ生産技術見学会マツダ生産技術見学会フレキシブルラインは、「治具モジュール」「汎用セルモジュール」「工程モジュール」という3つのモジュール化された機能を持つ生産ラインのことだ。マツダはこれをFML(フレキシブルモジュールライン、Flexible Module Line)と呼んでいる。

治具モジュールは、ライン上のロボットや組み立て機械の位置決めを、専用の治具で簡単に行えるようにするものだ。ロボットなどは基本的に、プログラムによって組み立てる車種を変えることはできるが、ロボットの設置位置などは、精密に行わないと、正しい組付け、溶接ができない。治具を使うことで、動的なライン変更に対応できるようにした。

汎用セルモジュールは、ロボットを汎用化し、生産車両が乗用車からSUVに代わっても同じロボットで対応させるという取り組みだ。ロボット自体がもともと汎用的(プログラマブル)という特性を持つので、これを強化し同一ラインにどんなボディが流れてきても、制御の切り替えは自動的に行われる。

工程モジュールは、ラインにバイパスをあらかじめ用意しておき、作業工程の違いがあっても、ライン全体として同期をとりながら複数の車種の組み立てを可能にする。たとえば、SKYACTIV GとSKYACTIV Xは、同じガソリンエンジンだが、補器類などがかなり異なる。SKYACTIV Xはディーゼル並みの高圧縮でリーン燃焼を制御する。そのためにエアサプライヤーという過給機が取り付けられる。工程モジュール構想は、このような生産工程の違いを吸収してくれる。

<協力:マツダ(工場見学会)>

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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