【マツダ3 新型試乗】ガソリンMHEVはディーゼルの代わりになるのか?…中村孝仁

マツダ3セダン MHEV(25L)
マツダ3セダン MHEV(25L)全 67 枚

いわゆるスモールプラットフォーム群と呼ばれる、横置きエンジンのプラットフォームを持つクルマから、ディーゼルエンジンが消えつつある。

【詳細画像】マツダ3 セダンのMHEVと旧ディーゼル

マツダのラージプラットフォーム群と呼ばれる、縦置きエンジンプラットフォームでは、依然として直列6気筒のディーゼルが主流だが、今やディーゼルが販売できるのはほぼ日本市場だけ、という背景もあってか、マツダは横置き4気筒ディーゼルエンジンの、さらなる開発に終止符を打ったようだ。

マツダ3セダン ディーゼルマツダ3セダン ディーゼル

とにかくヨーロッパの排ガス規制はますます厳しくなり、それに対応するためには、もはやアドブルー(排出ガスのNOxを浄化する尿素水)は不可欠。マツダは最後の手段としてそのアドブルー追加という奥の手もあったはずだが、それに対する開発費用を考慮すれば、中止の判断もやむを得ない。

それに代わって(というわけではないだろうが)、最新の『CX-5』に搭載される、2.5リットル4気筒と、モーターを組み込んだMHEVを、ある意味ではディーゼル代替えとして投入した。

今回試乗したのは『マツダ3』のセダン。広報車としてまだ残っていた、同じマツダ3セダンのディーゼルと乗り比べをしてみた。

◆今もってクラス最強の1.8リットルディーゼル

マツダ3セダン ディーゼルマツダ3セダン ディーゼル

最初に試乗したのはディーゼルの方。かつてはCX-5に至る、それよりも下のクラスにはほぼすべて、横置きの4気筒ディーゼルが搭載されていた。しかし今、そのCX-5を除いた他のディーゼルは、すべてカタログ落ちしている。

実はCX-5のみ、今も旧型となったモデルの販売が継続されているようで、新型と並びマツダのオフィシャルサイトには、旧型が掲載されているのである。恐らくそれだけ、人気の高かったディーゼルを、設定の無くなった新型にのみではカバーできない、という判断があったのかもしれない。

まあそれはともかくとして、マツダ3に搭載されるのは1.8リットルのディーゼルユニット(CX-5は2.2リットル)。排気量の差はともかく、性格的にはそっくりで、エンジン音も変わらない。湧き上がるようなトルク感のある乗り味は、今もってこのクラス最強と言って過言ではあるまい。低く抑え込まれたノイズにしても、一旦走り出して常用域に達すれば、ディーゼル特有のノイズは全くと言ってよいほど耳に届かず、耳障りに感じる「音」は皆無である。

エンジン重量が重いために、当然ながらフロントへの軸重が重いということは、本来ハンドリングにもそれなりの影響が出てよいはずだし、サスペンションもそれなりに固めないといけないはずなのだが、かといって乗り心地に影響が出ているかと言えば、それは全くと言ってよいほど感じられない。

◆価格と車重はイーブン

マツダ3セダン ディーゼルマツダ3セダン ディーゼル

それでいながら、トルク感のある重厚な走りと、低燃費(今回はちゃんと測ってはいないがおおよそ14km/リットル台)が得られ、それによるランニングコストへの恩恵も大きいのである。

ただし、ディーゼル搭載車はガソリン車と比べておおよそ30万円ほど価格がアップしていた。だから、それをランニングコストで補うためには、年間走行距離にもよるが、まあ最低5年くらいは乗り続けないと、元が取れないという寸法だったのである。それでもディーゼルは好評を博していた。

2025年10月に発売された時の価格は、ディーゼル車の価格が288万7500~326万5900円の範囲にあった。そして今、代替えともいえる「25L」の価格は、319万円(オフィシャルサイト表示)とされている。つまり旧型となったディーゼルの中間グレード、XDドライブエディションを選べば、価格は317万7900円だから、ほぼトントンということになる。

車両重量にしても25Lが1410kg、対するディーゼルは、今回車載のスペックシートを取ってこなかったので、正確なところはわからないが、調べてみた限りでは1420kgだから、ほぼイーブンである。電池の重さがエンジンの重量差をチャラにしたということだろうか。

◆2.5リットルガソリンMHEVの実力は

マツダ3セダン MHEV(25L)マツダ3セダン MHEV(25L)

で、次に最新の25Lに試乗した。MHEVの威力と、このサイズに2.5リットルというある意味オーバースペックのエンジンを搭載するこのクルマ、さすがに出足にしてもパーシャルからの加速感にしても、顕著に速いと感じられるクルマであった。

とはいえ、CX-5の時に感じられたスムーズな車速の伸びを感じられず、スペック上は若干CX-5の方がパワフルな設定になっているとはいえ、基本は同じである。色々聞いてみると、CX-5については、基本かなりファインチューニングが行われていて、ある意味専用のアジャストが行われているそうだが、マツダ3についてはいわゆるポン付け、まあレトロフィットとでも言おうか、細部に至るファインチューニングはなされていないようなのである。これが違いとなって表れている。

それでも顕著にパワフル感は感じられるし、やはりディーゼルよりもまた一段と静粛性は高い。ただし、燃費は相応というか、MHEVなのにこれかよ…という10km/リットル台で終わってしまった。値段がほぼ同じだから、ランニングコストはやはりMHEVの方が高いということになる。

◆ディーゼルの代替モデルとなり得るか

マツダ3セダン MHEV(25L)マツダ3セダン MHEV(25L)

結論から言って、個人的にマツダ3の場合は、ディーゼルの代替モデルにはなっていないという印象だ。このクルマがすでに誕生から7年が経過して、すでにモデルチェンジの時期を迎えていることを考慮すれば、次期モデルはファインチューニングが施されたモデルが登場するであろうことは、想定内。

Cセグメントのセダンが少ない昨今、貴重な存在と言えるモデルだが、今買うなら、まだ残っているはずのディーゼルがお勧めである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。  

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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