【マツダ3 新型試乗】セダン以上に一体感の増したハンドリング…岡本幸一郎

マツダ3 新型 ファストバック
マツダ3 新型 ファストバック全 10 枚

往路でセダンのディーゼルに乗ったあと、帰路はファストバックのガソリンに乗り換えた。名称を「ファストバック」としたのは、これまでとは違う特別感をネーミングでも表現するためだというが、独特の後ろ姿はたしかにやけに印象に残るものだ。

伸びやかなセダンに対して、凝縮感のあるファストバックと、同じクルマでまったく異なる個性を表現できているのが面白い。後方視界や後席の開放感にはそれなりに制約があるのは想像されるとおりだが、このスタイリングが手に入ると思えば十分に納得できる。

あえてガソリンを選ぶ価値をもう少し

マツダ3 新型のSKYACTIV-Gマツダ3 新型のSKYACTIV-G
エンジンスペックが最高出力116ps/4000rpm、最大トルク270Nm/1600-2600rpmのディーゼルに対し、ガソリンは同156ps/6000rpm、199Nm/4000rpmと数値を見るとそれなりに差はあるものの、いざドライブすると性能としてはそれほど違いを感じなかったというのが正直なところ。

踏み始めは飛び出し感を伴うほどレスポンスがよくダイレクト感もあるものの、そこから先は比較的なだらかな特性で、あまり高揚感らしきものはない。素直な性格で扱いやすいのはよしとしても、全体的に線が細く、もう少し何か面白味があったほうが、あえてガソリンを選ぶ価値が見えてきそうだ。

マツダ3 新型 ファストバックマツダ3 新型 ファストバック
たとえば、せっかくSKYACTIV-Gに設定されたSPORTモードを選択したときだけでも、もう少し性格が変わるとなお良いかなと思う。音や振動も実用域ではよいが、回すと思ったよりも気になった。ご参考まで、今回の実走燃費はSKYACTIV-Dが18km/リットル台だったのに対し、Gは約13km/リットルだった。

気になった点は、ACC関連にも見受けられた。まずスイッチの操作性があまりよろしくなく、また制御ロジックが車間距離や車速の維持を優先しすぎているきらいがあり、前走車を検出したときなどに急激に減速して後続車に迷惑をかけてしまいそうに感じられたので、もう少し見直したほうが良いように思えた。

セダン以上に一体感の増したハンドリング

マツダ3 新型 ファストバックマツダ3 新型 ファストバック
フットワークはセダンのディーゼルに比べるとキビキビとしていて、ファストバックのほうが軽やかさは際立つ。セダンもよく曲がるがファストバックはもっとよく曲がる。それは前後とも軸重がそれぞれ50kgずつ軽いことに加えて、ファストバックが意図的にそのように味付けされているからでもありそうだ。曲がるのに体が横に揺すられる感覚が小さいのは、マツダ自慢のGVC(G-ベクタリングコントロール)効果だろう。

リアサスのビーム化による影響は、車速と路面の条件によっては、やはりセダンと同じくこちらも乗り心地の硬さや振動の収束に時間がかかることを感じるものの、かわりに得られた一体感の増したハンドリングはなかなか気持ちがよい。欲をいうと、もう少しステアリングフィールにしっかり感としっとり感が出せるとなお良いかなと思う。

期待値が高すぎたせいか、SKYACTIV-Gのほうもパワートレインにやや物足りなさを感じたのが正直なところ。微妙なニュアンスなのだが、あともう少しのプラスアルファがあるだけで、受ける印象はぜんぜん違ったものになるような気がする。せっかくのデザインがさらに生きるよう、そこに期待せずにいられない。

マツダ3 新型 ファストバック(右)とマツダ3 新型 セダン(左)マツダ3 新型 ファストバック(右)とマツダ3 新型 セダン(左)

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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