LiB主要4部材の世界市場、中国メーカーは補助金政策終了で今後苦戦も 矢野経済調べ

リチウムイオン電池(LiB)主要4部材 世界市場規模推移と予測
リチウムイオン電池(LiB)主要4部材 世界市場規模推移と予測全 1 枚

矢野経済研究所は、リチウムイオン電池(LiB)主要4部材の世界市場を調査し、民生小型機器用や車載用などのLiBセル用途や主要4部材の出荷動向、国別の設備投資や部材価格の動向などを明らかにした。

同研究所では、2018年のLiB主要4部材世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比34.2%増の196億6742万4000ドル(約2兆1400億円)と推計した。LiB世界市場は2016年以降、車載用LiB市場を牽引役に成長が続いている。車載用LiB市場ではこれまで補助金政策で成長を続けた中国市場にて、2019年からは環境規制が施行され、いよいよ外資系自動車メーカーの電動車ラインアップ分の需要が動き始めた。また、欧州では乗用車のCO2排出量について2021年の目標値を平均95g/kmとする規制を実施予定で、2020年代前半までは欧州でも自動車メーカーの電動車の拡大が続くと見られ、車載用LiB向け主要4部材需要も引き続き拡大を予測する。

注目は、引き続き存在感を維持している中国メーカーだ。出荷数量における国別構成比では正極材63.6%、負極材74.0%、電解液69.7%、セパレーター56.7%と、6割以上となっている正極、負極、電解液に続き、セパレーターも2018年で6割に迫る勢いを見せている。補助金政策が予定されている2020年までは中国部材メーカーの存在感が維持されるとみるが、2021年以降は成長が停滞する可能性もある。中国の電動車市場は2019年からの環境規制を経て、これまでの補助金主導からマーケット主導へと切り替わる流れとなっており、これまで中国自動車メーカー主体だった同市場は今後、外資系自動車メーカーと競合することから、市場環境が厳しくなると考える。外資系自動車メーカーのセルの調達先は中国最大手のCATLをメインに上位セルメーカーに限定されていると見られ、セルメーカー間における再編や淘汰も今後想定される中、自国の上位セルメーカーへの供給獲得、海外セルメーカーへの販路拡大を進められない中国部材メーカーにとっては今後厳しい状況になると考える。

将来展望については、2019年からの中国の環境規制や、2021年に予定されている欧州における乗用車のCO2排出量の厳しい目標値設定の中、世界市場では、2020年代前半までは自動車メーカーの電動車ラインアップ生産が促進され、これを受けた車載用LiBの生産拡大が続くことで主要4部材需要の拡大は今後も続くと予測。2022年のLiB主要4部材世界市場規模は、2018年比70.4%増の334億0356万1000ドル(約3兆6000億円)を見込む。

ただし、今まで電動車市場を牽引してきた中国にて補助金無き後、容量よりもコスト重視の観点からLFP正極材や乾式セパレーターが見直される可能性、また世界的にはHEVが中長期的に成長する可能性も考えられ、この場合、これまでの高容量一辺倒の開発とは違う方向性での取り組みが求められることが予想される。さらに、これまでの容量価値に加え、今後の電池開発ではリユース等の観点から寿命価値という新たな開発の方向性が加わる可能性があり、LiB主要4部材に対する需要も変化する可能性があると考える。

《纐纈敏也@DAYS》

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